学生さんの気象病について
2017年10月28日 17:28更新
専門外来コラム
台風22号が予測よりはゆっくりと台風が近づいてきているようです。
台風22号より、本州寄りにある、前線を押し上げているので、大雨が数日続きそうです。
そのため、前線の影響→台風の影響となりそうです。
気温も下がってきていますので、気象病の方は、体を冷やさないようにして下さい。
気象病は、小学校高学年頃~中学生で初発の症状が出ている方も多いです。
共通している要因として、姿勢が悪く、首肩のこりがあります。
この原因の一つとして、鞄の重さが関係しています。
小学生のランドセルは、以前より大きくなり、内容量も増えています。リュックの方が肩にかかる負担が分散はされますが、荷物が重いと後ろから引っ張られます。それに対抗しようと、首は前に出てしまいストレートネックに近い状態となります。
中学生以降の肩掛けカバンでは、バランスが悪くなってしまい、首肩のこりに左右差が生じやすいです。
ランドセル、肩掛けカバンとの違いはあっても、荷物が重たいことで、体への負担が増えてしまいます。
電車やバスの移動時には、足元に荷物を置けるのが良いのですが、なかなかそうもいかないでしょう。
成長期に骨格の歪みや首肩こり、姿勢が悪くなってしまうと、リセットするのに時間がかかってしまいます。
少しづつでもストレッチ、運動などを取り入れていくことが、根本的な治療になります。
冬場は体を少し温めること、夏場は冷房で冷やしすぎないことも重要です。
デスクワークやスマホ使用時間の多い方々も、出来れば15分に1回1-2分程度のちょっとしたストレッチが出来れば、疲労の蓄積は少なくて済みます。
起立性調節障害と気象病の関係について
2017年10月24日 10:23更新
専門外来コラム
久しぶりの晴天ですね。
今日10/24火曜は天気が良く高気圧となっています。気象病の方は、今日は一安心かと。
しかし、明日は、また雨予報です。ご注意を。
起立性調節障害と気象病について話しをしたいと思います。
起立性調節障害 (Orthostatic Dysregulation:以下OD)とは以下の診断基準を満たします。
ODの症状
- めまい、立ちくらみが起きやすい
- 起立時の気分不快、意識消失が起きやすい
- 座位や立位での動悸や息切れが起きやすい
- 起床できず、午前中は調子が悪いが起きやすい
- 顔面の血色不良が起きやすい
- 入浴やストレスで体調不良が起きやすい
- 食欲不振、吐き気が起きやすい
- 腹痛、下痢が起きやすい
- 倦怠感が起きやすい
- 頭痛が起きやすい
- バス酔い、電車酔いなど乗り物酔いをしやすい
これら11項目のうち3つ以上に当てはまり、下記のサブタイプのいずれかに一致することで診断されます。
ODサブタイプ
- 起立直後性低血圧:起立直後に強い血圧低下があり、立ちくらみを訴えます。
- 体位性頻脈症候群:起立後の血圧低下はありませんが、頻脈、めまい、ふらつき、頭痛、呼吸苦などを訴えます
- 神経調節性失神:起立中に収縮期血圧、拡張期血圧ともに低下して、失神となります。貧血症状と似ています。
- 遷延性起立性低血圧:起立後数分経ってから血圧が徐々に下がってきます。
気象病の方で、布団から起き上がれない、朝の全身倦怠感が強いという方がいます。
起床時には、通常は交感神経が優位となって、問題無く起き上がれます。しかし、ODや気象病の方は、起床時に副交感神経が優位となっています。
そのため、OD+気象病の方が多いのが実際です。両疾患とも自律神経が乱れていることが原因となっているため、オーバーラップしていると考えます。
OD+気象病の方は、より症状が重い傾向があります。そのため、不登校や出勤困難が続いて、日常生活に支障をきたす場合が多いです。
ODは成長期により頻度が高くなりますが、デスクワーク+スマホの時間が長い女性の方にも多く見られています。
当院では、体位性頻脈症候群の方が多いです。
ODと診断され、治療を受けていてもあまり改善していない方は、気象病の治療を行うことで良い結果が見られています。
今回の台風による気象病について
2017年10月22日 07:54更新
専門外来コラム
今、日本列島に近づいている台風と気象病に関してです。
秋雨前線が、日本列島にいる時に、中心気圧が925hPaという大型の台風が、合流をする形になってしまいます
そのため、気圧の変化は非常に大きくなります。
①台風通過までの気圧低下、その後の急激な気圧上昇に注意が必要です。
②台風通過までの低めの気温、その後の急激な気温上昇。最低でも5℃以上の変化となります。そのため、寒暖差疲労も出やすくなります。
お体には特に注意が必要となります。ご注意を。
明日10/23月曜は、通常通り8:30から診療を行っております。
寒暖差疲労、冷え性の対策に対して
2017年10月16日 08:06更新
専門外来コラム
この時期に、こんなに冷え込むと急に体調が悪くなりますのでご注意を。
前回のブログで書きました寒暖差疲労についての、対策についてです。
10/13金曜日のNHKニュースウォッチ9さんで少しお話させて頂きました。
寒暖差疲労は、エネルギー消費が強くて、続くと冷え症状がでます。
冷え症は、四肢→腹部→体全体と3段階に分かれています。
細かい説明:
- 手足の冷え(末梢血管が収縮して冷えを感じます):症状としては手足の冷えが多くなっています。
- 内臓の冷え:下半身の冷えが、骨盤からまできます。症状としては、胃腸系、泌尿器系、婦人科系などの症状がでてきます。
- 体全体の冷え:ここまで来ると、全身倦怠感、めまい、ふらつき、頭痛、不眠、イライラ、不安などより様々な症状がでてきます。
寒暖差疲労、冷え性対策:
①体を外から暖める:
・ぬるめの38-40℃位のお湯に、肩までしっかりとつかる。時間は10分程度。
・暖めるポイント、手首、足首、首、両側肩甲骨の中心の4つが、よりポイントの場所です。
・両側肩甲骨の間に、洋服の上から張るタイプのカイロを使うのも一つです。低温火傷には注意が必要です。
・寝具をしっかりと使う。その際に、重要なのは、首を冷やさないようにすることです。
・服を厚めにする、一枚羽織る。特に首肩周りは、冷えやすいので、スカーフやマフラーを使用すると良い。
②体を中から暖める:
・体を冷やす食材を取り過ぎない。野菜では、夏野菜は体の冷やす性質を持つ物が多い胃。
・しっかりと噛む、ゆっくり食べる。一口入れて、咀嚼は20回位で。
・冷たい飲物は避ける。暖かい飲物をこまめに取る。
③体を軽く動かす:
激しい運動は必要ありません。筋肉疲労が強く残るのは避けた方が良いです。
・軽い筋力トレーニング、スクワット
・階段を使う。一駅分歩く。ウォーキング20分程度
・全身のストレッチ
④睡眠をしっかりと取る:
⑤呼吸方法:副交感神経優位にするためです。
・ゆっくりと深い呼吸を行う。胸式呼吸でも、腹式呼吸でも出来る方法で。
・3秒で吸って、3秒止める、6秒で吐いて、3秒止める。×4セット。
参考にされて下さい。
寒暖差疲労
2017年10月14日 08:10更新
専門外来コラム
寒暖差とは、気温の差です。前日比で、10/12木曜と13金曜では10℃前後の差が出ています。
人間が生きていくためには、体内を外の環境から、適切に保つ必要があります。気温も人間に与える影響は大きいです。自律神経が、気温に対して適切に反応をします。
- 外気温が高いとき:体内から熱を逃がすために、発汗を促します。副交感神経が優位になります。
- 外気温が低いとき:体内の熱を外に逃がさないために、末梢での血流が低下します。交感神経が優位となる。
寒暖差疲労とは、
寒暖差の大きい(通常は前日比から5℃以上の変化)環境にいると、自律神経の働きにより、体内を一定の状況にしようとエネルギーを消費することになります。このエネルギー消費が大きくて、疲労が蓄積した状態を寒暖差疲労といいます。
温度差は、体にとってはストレスですが、それが適切に対応出来ているときは、問題はあまり起きません。
それが対応出来ない、寒暖差疲労になると、①体が冷える(四肢→腹部→体全体)、②肩こり、首こり、頭痛、③めまい、④食欲不振、⑤布団から起き上がれない、⑥気分が落ち込むなど様々な症状が出ます。
体内のエネルギー消費が必要以上に進むことによる寒暖差疲労の中でも、冷え症になってしまうことが問題となります。
寒暖差チェックシート:
・暑さ、寒さが苦手
・エアコン(冷房、暖房)が苦手
・周りの人が暑いのに、自分だけ寒い。長袖が常に手放せない。
・顔がほてりやすい、全身がほてりやすい
・温度差が強いと、頭痛や肩こり、めまい、だるさ、関節痛、喘息、下痢などの様々な症状がでる。
・熱中症になったことがある、近い状態になったことがある
・季節の変わり目に、体調不良になる
・冷え症がある
・温度が一定の環境にいる時間が長い(オフィス、自宅でも一日中エアコンをつけている)
・代謝が悪い、体がむくみやすい。
1~3個で軽症
4~6個で中症
7以上で重症
当てはまる方は要注意です。次回のブログでは、対策方法をご紹介します。
気象病のチェックリスト
2017年10月10日 08:10更新
専門外来コラム
今週は木曜日位から、天気が下り坂になるようですので、ご注意を。
当院で使用しています、気象病を疑う方へのチェックリストの一部です。
□ ①天候が変わる時に体調が悪い。
□ ②雨が降る前や天候が変わる前に、何となく予測が出来る。
□ ③耳鳴りやめまいが起こりやすい。
□ ④肩こり、首こりがある。首の外傷歴がある。
□ ⑤猫背、そり腰がある。姿勢が悪い。
□ ⑥乗り物酔いをしやすい。
□ ⑦PC作業やスマートフォンの使用時間が長い。平均4時間/日以上
□ ⑧ストレッチや柔軟体操をすることが少ない。
□ ⑨歯のくいしばりや、歯ぎしり、歯の治療が多い。顎関節症と言われたことがある。
□ ⑩エアコンが効いている環境にいることが多い。夏冬ともに。
□ ⑪日常的にストレスを感じている。特に精神的なストレス。
□ ⑫更年期障害ではないかと思うことがある。男女ともに。
5つ程度あると気象病の可能性が高くなりますね。気象病の症状の強い方は、チェックに該当する箇所が増えてくる傾向にあります。
当てはまる方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?
気象病になりやすい方の特徴
2017年10月7日 08:34更新
専門外来コラム
明日、10/8日曜からは急速に天気が回復する(気圧も上がり、気温も上昇しまう)ので、その時も注意が必要です。
今日は、気象病になりやすい方の特徴をお話ししたいと思います。
気象病は女性がなりやすいと言われ、当院でも女性が多い。女性7:男性3の比率。
年齢は、小学生~80代までと幅広く。小学校高学年くらいから症状ありの方も多い。
女性は20代~30代がピーク、男性は30代~50代がピーク。
小学校から高校生くらいまでは、朝に調子が悪いことが多く、血圧も低いため、起立性調節障害の診断を受けている方も多い。起立性調節障害の治療を受けても改善していない方は、高い確率で気象病の事が多い。
男女ともに、デスクワークを長時間されている方の比率が高い。スマホの時間が長い。
冷暖房がしっかり効いている環境に長時間いることが多い。
姿勢が悪い。
歯のかみ合わせが悪い。
ストレスが強い。
運動をほとんどしない。
運動の種類では、歯をくいしばる状態が長いスポーツの方は起きやすい。
ムチウチなどの外傷を首に受けたことがある。
女性は、排卵日や生理周期でより症状が増悪する。
他にも様々な要因もあります。
次回以降のブログでは、もう少し分かりやすくチェックリストにしたのを載せたいと思っております。
自律神経と気象病
2017年10月4日 22:03更新
専門外来コラム
今回は自律神経の話をしたいと思います。
自律神経は、脳の中にある視床下部という部分から始まり、全身へと信号を出し、体の中の恒常性を維持しています。自律神経の機能があることで、生命維持ができ、環境への対応が出来ているのです。
自律神経には、交感神経や副交感神経の2種類があります。これは互いにバランスを取っています。
交感神経は、緊張している時や、運動した時に優位に働きます。血圧を上げたり、脈を速くしたり、呼吸を速くしたり、胃腸の動きが悪くなります。交感神経は、緊張しているときやストレスを感じるときに優位になります。
副交感神経は、リラックスしている時や寝ている時に優位に働きます。血圧を下げたり、脈を遅くしたり、呼吸を遅くしたり、胃腸の動きを活発にします。副交感神経は、寝ているときや、休んでいるとき、リラックスしているときに優位になります。
現代人は様々なストレスにさらされており、交感神経が優位に立つことが多くなっております。
自律神経が乱れた状態を、自律神経失調症といいます。
頭痛、めまい、吐き気など胃腸の不調、微熱や低体温、全身倦怠感、血圧不安定、動悸、気分の落ち込み、天気が悪いと不調(気象病)など様々な症状がでます。
自律神経は周辺環境に左右されます。気圧を含めた気象の変化にも、自律神経は左右されることになります。
○気圧センサーが過敏になって、自律神経が乱れて症状が出る。
○自律神経が乱れているから、気圧センサーも乱れる。
このように相互関係があるものと考えております。
実際に、当院では気象病+自律神経失調症の両方の症状をお持ちの方が多いです。
気象病と気圧の関係について
2017年10月2日 19:09更新
専門外来コラム
気象病の中でも気圧が最も重要な要因となります。
そのため、今日は気圧の話しをしていきます。
気圧(大気圧)というのは、地球の表面を覆っている空気の圧力です。ほぼ1気圧の中で私たちは生活しています。普段の生活ではあまり感じることはありません。
しかし、1平方㎝あたりの面積に約1㎏、1平方mに換算すると10tの重さが加わっています。体には何トンもの圧力が加わっていますが、つぶされることはありません。これは、外からの圧力と体内からの圧力が釣り合っているからです。バランスを保っているため、気圧が変動すると、体もその影響を受けます。
気圧は体のどこで感知しているのでしょうか?
気圧は、耳の奥にある内耳で、感知していると報告されています。
内耳は、三半規管と蝸牛(カタツムリの形をしている)から成り立っております。図は、気象病外来のページを参照されて下さい。
飛行機に乗ったりして、高度が変化する(気圧の変化)と耳の調子がおかしくなるのが分かりやすい一例です。
気圧の変化→内耳で感知→内耳につながっている前庭神経(平衡感覚に関係している)→脳。
その後、脳→視床下部に中枢がある自律神経(交感神経や副交感神経)のバランスが崩れる→様々な症状が出現。
というような流れになっています。
このように目に見えない気圧の変化を内耳で感じているわけです。
その気圧の変化に敏感な方は、気象病の症状が出やすくなります。
また明日以降に、続きを載せていきます。
気象病について
2017年9月30日 07:36更新
専門外来コラム
当院で気象病に対しての治療を行っています。
気象病とは正式な病名ではありません。気圧の変化、温度、湿度の変化などの気象状態の変化により、様々な体調不良が起きます。
・めまい
・吐き気
・頭痛
・肩こり、首こり
・全身倦怠感
・朝布団から起きられない
・関節痛
・手足のしびれ
・血圧の変動
・動悸がする、胸苦しい感じがする
・気持ちが落ち着かない、不安になる、うつ症状が強くなる
・気管支ぜんそくの増悪、目のかゆみや、アレルギー性鼻炎など
このように多岐にわたる症状が出現します。
当院で、気象病を扱うようになって1年が経過しています。現在は、月に70-100名前後の新規の患者さんが来られるようになりました。上記の代表的な症状も組み合わせている患者さんが多く見られております。
ご自身の体調変化が気象情報に左右されることがあれば、気象病を疑ってもみても良いでしょう。
次回以降のブログでさらに説明をさせて頂きたいと思います。
昨日位からは、アレルギー性の症状で受診される方が多いですね。近くに多摩川があることで秋の花粉症や、ダニやカビが繁殖も原因となっていますので、注意が必要です。
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