2025・1コラム 入浴のすすめと冬のメンテナンス



2025・1コラム 入浴のすすめと冬のメンテナンス

2025年1月18日 13:48更新
専門外来コラム


2025・1コラム 入浴のすすめと冬のメンテナンス

 

今年度の冬は乾燥が強く(関東)、昨年よりも寒さが強く感じるように思います。一般的には、年が明けてから2月あたりにかけて、寒さは本格化していきます。この期間は気温や気圧の上下が比較的小さく、異例の寒暖差などがない限りは、気象病が少し楽になる季節です。しかし、極寒ではあるので冷えによる不調には注意が必要です。よく言われている「冷えは万病のもと」というのは本当の話で、体を冷やしてしまうと血流が悪くなり、さまざまな体調不良が起こりやすくなります。そこで私がお勧めしているのが入浴習慣です。日本人にとって馴染み深い入浴ですが、海外では身体の調子を整える手段として温泉療法があるほど効能が注目されています。

 

  • 冬は気象病が楽に感じる季節

冬の気候は太平洋側と日本海側では特徴が異なりますが、おおむね気圧の変化が小さく、1日中寒いので寒暖差も感じにくいです。寒暖差疲労が起こりやすいのは、気温差が7℃以上に開き、朝-日中-夜で体感する温度が大きく変わる状況にある時です。最近では異例の寒暖差が起こることがありますが、特別な場合除いては、1月を過ぎてからは日中でも寒いので、寒暖差による影響は少なくなります。気になるのは乾燥や咳喘息、感染症の流行などです。今年はインフルエンザやコロナなどの感染症が爆発的に流行していました。一方で、気象病でクリニックを受診する患者さんは減るシーズンです。

 

  • 寒さによって気をつけたい不調は?

気象病の症状が出にくいとはいえ、寒さによる不調には注意が必要です。特に目立つのが冷え、首肩こり、頭痛、息苦しさなどです。体が冷えると血行不良になり、全身の酸素や栄養の巡りが悪くなります。そして、全身の緊張が高まるので体の柔軟性が落ち、動きも悪くなります。体が冷えている時に「なんとなく調子が出ない」というのを感じるのはこれらが影響しているかもしれません。冷えた血液が胃腸に回るとお腹を壊したり胃が痛くなったりと胃腸の不調も出やすくなります。

 

人は寒さを感じると、血管を収縮させて筋肉が縮こまり、体温を上げようとします。寒さで体が縮こまると起こりやすいのが首肩こりと、それに伴う緊張型頭痛です。寒い環境で眠っていると「朝起きたら首肩がガチガチになっていた」という方も多いと思います。頭と首肩の筋肉が繋がっていることもあり、首肩こりが酷くなると頭痛も発生しやすくなるのです。

 

寒さによる緊張は体だけでなく心にも影響しています。寒いと交感神経が優位に働くので呼吸が浅くなりやすく、息苦しさなど呼吸器系の症状を感じやすくなります。寒い時こそリラックスを心がけたいですね。

  • 入浴の効果

冷えによる不調を予防するためには入浴習慣をお勧めします。入浴の効果は実に幅広く、私は寒暖差疲労の対策や自律神経を整えるための方法の一つとしても入浴を推奨しています。入浴というのは、お風呂の浴槽に浸かってゆっくり温まることです。入浴には自律神経を整える、冷えの解消、血流の促進、心身のリラックス、安眠などさまざまな効果があります。今の季節は乾燥も気になるので、湯気が立った浴室の中で深呼吸をすると鼻や喉の粘膜が潤い呼吸もしやすいでしょう。

 

私たち日本人にとって、入浴はありふれた日常生活の一つかもしれません。しかし、入浴習慣をつけることで「何となく調子が良くなった」「よく眠れる」「冷えが取れる」というような変化をすぐに感じられるケースは多いです。冷えが解消されて血流が良くなり、ほどよいリラックス効果で睡眠の質が上がると、疲労の回復も十分に行われます。忙しい生活をしている人にとっては、お風呂にゆっくり入る時間を確保することは案外難しいのかもしれません。思い立った時だけでも良いのでお湯を溜めてみることから始めましょう。

 

  • 入浴の後はストレッチで全体をメンテナンス

入浴後は全身が温まって血流が良くなっているので、ストレッチを効果的に行うことができます。入浴で1日の冷えを取り、ストレッチで1日の凝りを取れば、十分に体のメンテナンスになります。睡眠の質もより高くなるので体が軽くなったように感じると思います。不眠でお悩みの方や疲れが取れないと感じている人は、「不調がデフォな私たちの 背骨リセット」P114・115に載っている“不眠を改善するメニュー”も合わせて行うと良いでしょう。ただし、就寝前に動きすぎてしまうと交感神経が優位になって頭が興奮してしまうので、ゆったり体を伸ばす程度にしてくださいね。

 

  • 運動と組み合わせると健康効果がアップ

自律神経を整えて調子を良くするためには、やはり食事・運動・睡眠をベースとした規則正しい生活が一番です。シンプルに運動で体を動かして全身を疲れさせるとお腹も空きますし、心地の良い疲労感で夜もぐっすり眠ることができます。学校や仕事で忙しくしていると机に向かっている時間が長く、身体よりも頭が疲れている事が多いことがあります。運動の習慣が無い人は、まずは座っている時間を減らす、エスカレーターを階段にする、通勤・通学の歩く距離を少し長くする、などの小さなことから始めるだけでも違います。もう少し頑張れそうな人は、120分以上の有酸素運動、例えばジョギングやサイクリング、水泳などを取り入れて体を動かす習慣を付けると、健康効果がアップするでしょう。

 





前へ:«
次へ:

  • このエントリーをはてなブックマークに追加


Blogメニュー


▶Blogトップ

アーカイブ