せたがや内科・神経内科クリニックBlog



自律神経が乱れやすい春の不調とメンタルケア

2025年3月4日 08:06更新
専門外来コラム


自律神経が乱れやすい春の不調とメンタルケア

 

春といえば、厳しい寒さから解放されて桜の開花を待つ季節。ポジティブなイメージが強いですが、実は自律神経にとって春は厳しい環境です。春は寒気と暖気が交互に訪れるため、暖かさを感じる日もあれば肌寒さを感じる日があり、日々の気温の変化が大きくなります。激しく上下する気温の変化に振り回されているところに、爆弾低気圧と呼ばれる急激な気圧低下が発生するのも春の特徴です。とにかく気候変化が目まぐるしいため、「変化」を大の苦手とする自律神経にとっては、かなり無理を強いられる季節です。そして、体調が不安定になりやすい時こそ気をつけたいのがメンタル面の健康です。気候変動が激しいだけで心の容量が少なくなり、普段は平気なストレスでも耐えられなくなってしまう、という事態もあり得ます。今回のコラムが自分を大切にするきっかけになると幸いです。

 

  • 春に気をつけたい4つの不調

[寒暖差疲労]

春は肌寒い日と暖かい日が交互に訪れるため、前日と当日との寒暖差、1週間単位での寒暖差が大きいのが特徴です。さらに、朝晩は冬の名残を感じる冷え込み、日中は最高気温が20℃前後の暖かさになるので、1日のうちで寒と暖の両方を感じ、体温調節機能を担当している自律神経は大忙しです。寒暖差疲労の症状は主に、冷え性、疲労感・倦怠感、首肩こり、頭痛、メンタルの不調、のぼせなどです。「心当たりがないのになんとなく調子が悪い」という方は寒暖差疲労の可能性があります。

 

[頭痛]

頭痛といえば大きく緊張性頭痛・片頭痛の2つに分けられますが(命に関わらない頭痛の場合)、春はこの両方が発症しやすい気候です。暖→寒の影響で体が収縮すると緊張性頭痛、寒→暖で血管が拡張すると片頭痛が起こりやすくなります。緊張性頭痛は血行を良くする方法が有効なので、温めたり首肩をマッサージ・ストレッチしたりすることで痛みを和らげることができます。一方で、片頭痛は急に血行が促された時に発作が起きやすいため、痛みが酷くて動けなくなった時は温めてはいけません。疼痛部を冷やすと一時的に痛みが緩和される場合もありますが、まずは暗い静かな部屋で安静にするのが優先です。緊張性頭痛と片頭痛では対処方法が異なりますので、どちらも症状があるという方は日頃のメンテナンスと症状が出た時の対処法を上手に使い分けていきましょう。

 

[花粉症]

今年は花粉の飛散が1月末(関東)に確認されましたが、気温が上昇し本格的にスギ花粉が飛び始めるのが3月です。花粉症の症状は鼻水・鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなど。最近では花粉による皮膚炎も増加しています。花粉症は一種のアレルギーなので、薬などで症状を緩和することができます。辛い方は早めに治療をして対策しましょう。

 

[メンタル]

春はメンタルを崩しやすい代表的なシーズンです。気候の変化、環境の変化が大きく、自律神経が乱れやすい要因がたくさんあります。冬は寒さの影響で交感神経が優位に働き緊張状態が続きますが、春になると副交感神経が優位になり、自動的に無気力状態になりやすいです。やる気が出ずに気持ちが上がらないことがあります。そんな中で寒暖差や気圧の上下も激しいので、気象病の症状として急に不安や落ち込みが激しくなることもあります。年度の変わり目で人間関係や居場所も新しくなる機会も多いので、ストレスを感じる季節です。女性は貧血が重なるとメンタルを保つことがより難しくなります。

 

  • 運動のメンタル効果

運動は、実はうつ病や不安症の治療に用いられるほどメンタル面に良い効果をもたらすと言われています。運動をすると“幸せホルモン”と呼ばれている物質の一つであるエンドルフィンが出るため、気分が上向きます。その他にも運動によって多くの脳内物質が活性化され、不安が和らぐ、やる気が出るなどの効果が得られます。さらに、定期的に運動習慣(例えば20分のランニングを週3回続ける)を付けると、脳の構造や神経系にも変化をもたらし、記憶力の向上や喜びを感じやすくなるなど、メンタル面において好循環をもたらします。人間は本来動くようにできています。心も身体も人間らしい生活を目指すことは、自律神経を整えるための最善策でもあります。運動が苦手な方もいると思いますので、まずは自分の好きな運動・できそうなことから始めましょう。

 

  • メンタルの安定はストレスマネジメントから

[自分を取りまくストレスを整理する]

気候変動(気圧、寒暖差など)、環境、人間関係、体調不良、個人的な悩み事など、私たちはさまざまなストレスに囲まれて生活しています。忙しく生活に追われていると、自分のストレスに気づくこともなく突然に限界を迎えてしまう方も少なくありません。まずは自分の状況を俯瞰で見て整理しましょう。その次に、「変えられるもの」「自分で減らせるもの」から変えてストレスのバランスを取ると良いかもしれません。

 

[“趣味を持つ”という余白を作る]

自分の好きなことをする時間がある方はどのくらいいるでしょうか?幸福を感じて生きている人の8割は、趣味があると言われています。趣味がメンタルヘルスを向上させるという事実は、さまざまな研究でわかっています。好きなことに没頭する時間は、仕事や心配事から解放される時間でもあります。逆に、趣味の時間が取れないという方は、それだけ時間にも心にも余白が無いという印でもあります。余裕のない生活はそれだけ自律神経にも負担がかかっているということです。趣味と言ってしまうと敷居が上がってしまうという場合は、生活の中で「気持ちが上がる」「心が躍る」瞬間を見つけてみましょう。好きなことを見つけている時間は、ストレスから解放される大切な時間ですね。

 

参考文献:

「スタンフォード式 人生を変える運動の科学」2020.4 大和書房. ケリー・マクゴニガル著

「不調にさよなら!自律神経を整える50のこと」2024.6宝島社. 久手堅司 監修

「毎日がラクになる!自律神経が整う本」2022.6 宝島社. 久手堅司 監修



寒暖差疲労対策~春に向けて実践したい運動~

2025年2月8日 14:16更新
専門外来コラム


寒暖差疲労対策~春に向けて実践したい運動~

 

1月下旬頃から、突然春のように気温が上がったり再び真冬の寒さに戻ったりと、寒暖差を肌で感じる日が多くなってきました。気象病や自律神経の乱れによる体調不良を抱えている人の中には、寒暖差による心身への影響が出はじめているのではないでしょうか?一般的には寒暖差は春・秋に注目されるイベントではありますが、年々寒暖差が気になる時期は長くなっているように思います。寒暖差による不調は低気圧によるものよりも少々自覚するのが難しく、対策も曖昧なところがありますが、生活の中で工夫すると過ごしやすくなるのは確かです。冬から春に向けて行いたい寒暖差対策についてご紹介します。

 

・寒暖差疲労は冬からスタート

最近の関東の気温の推移は、最低気温が0℃前後、日中10℃超えのパターンが多いです。この場合、1日の気温差が10℃近くになります。気温差が78℃以上になると寒暖差の影響を受けやすいとされているので、朝晩は厳しい冷え込み、日中はやや日差しを感じる暖かさとなり寒暖差を体感します。今年は年末年始にインフルエンザやコロナ・発熱を伴う風邪が大々的に流行したため免疫力や体力が弱っており、自律神経が乱れやすくなっている状態の人が多いでしょう。ご自身が想定していた以上に身体や心に負担がかかっていることがありますので寒暖差に負けないように対策をして頂きたいところです。

 

・トリプル寒暖差とは?

一時、「トリプル寒暖差」という言葉が注目されました。

▹1日の中での気温差

▹前日との気温差

▹室内外での寒暖差(家の中、電車の出入りなど)

トリプル寒暖差とは上記3つの寒暖差を指します。外気温が上下すると、それに適応するために自律神経が機能します。私たち人間の体温は一定に保たれているので、気温の変化に左右されずに一定の体温を保つため、気温差が大きいほど自律神経がたくさん働かなくてはなりません。1つの寒暖差だけでも体に負担がかかりますが、それがトリプルとなって積み重なると、とても不調の出やすい状況ができあがります。

 

・冬にやっておきたい寒暖差対策

[食事と睡眠で自律神経のベース作り]

2月は、年末年始の繁忙期を終えてやっと一息つくところでしょうか。冬の間に整えておきたいのが、規則正しい生活習慣です。基本的なことですが、その基本が自律神経の大切な土台を作ります。まずは食事と睡眠。食事は朝・昼・夜少しでも食べて体に規則正しいリズムを付けることから始めましょう。食べたり食べなかったりすると、血糖値の上下が激しくなり自律神経に負担がかかります。時間が無くて夜に食べ過ぎてしまうと消化にエネルギーが必要になり睡眠の質が落ちますので1回や2回にまとめて食べるのもお勧めできません。胃腸の調子を整えるためにはヨーグルトなどの乳酸菌、お米、カボチャ、豆や芋、食物繊維などを意識して食べると良いでしょう。

 

睡眠は自律神経を整え、心身の回復を図るために最も有効な方法です。今の季節は寒さや乾燥で睡眠が妨げられやすいです。眠る前(90分前がベストです)には入浴でしっかりと身体を温め、深部体温が下がるタイミングで寝床に入ると入眠しやすくなります。乾燥しすぎているようであれば加湿器を使用したり洗濯物を干したりして寝ると良いでしょう。また、寝床が冷たすぎると逆に身体が冷えすぎてしまうので、布団乾燥機などで少し温めておくと暑すぎず寒すぎず眠れると思います。

 

[寒暖差に合わせた服装調節]

冬の寒暖差で特徴的なのは、室内外・室内での寒暖差が大きくなることです。家の中と外だけにとどまらず、家の中では浴室やリビング、寝室などの気温差が大きく、行ったり来たりするだけで自律神経に負担がかかります。また、外では電車に乗る方は要注意です。駅のホームは外同様に寒いですが、電車の中は暖かくのぼせやすい環境です。寒さ対策として首が付く場所を守ることを推奨していますが、急に暖かい環境に出る時はマフラーなどを外すだけでも余計な体温が逃げやすくなります。服装の調節をするだけでも快適さが変わり、気分が悪くなったりするのを防げると思います。

 

・春に向けて実践したい運動

春に起こり得る気象病の症状として特徴的なのが倦怠感です。春は「寒さ→暖かさ」へと変わる時期であるため、副交感神経の働きが強く感じるようになります。ほどよく副交感神経優位だとリラックス状態なのですが、緊張が緩み過ぎてしまうと怠さや眠気が出てしまいます。また、外気の暖かさに対して体温が上がり過ぎないように、汗をかいて体温調整をする必要もあります。体を程よく緊張させ、そして汗をかく練習のためにも春に向けて運動を始めたいところです。

 

[まず浮腫みを取る]

冬の間、動くのが億劫で運動不足だった人は、全身がやや浮腫んでいる可能性があります。体に水分が溜まり過ぎていると、体温調節がしづらくなったり冷えやすくなったりして不調の原因になります。

浮腫みを取るには①ふくらはぎをストレッチ→②下半身を使う全身運動をお勧めします。ふくらはぎは“第二の心臓”と呼ばれていて、下半身に溜まった血液を心臓へと元に戻すポンプのような役割をしています。ふくらはぎが凝り固まって血行不良だったり筋力不足だったりすると、下半身に余分な水分が溜まりやすくなります。まずはふくらはぎや膝の裏あたりをテニスボールでゴロゴロ。ふくらはぎの動きを良くすると良いでしょう。次に全身運動です。簡単なものだとウォーキング、もう少し負荷をかけられるのであればジョギングや水泳などをすると全身の血流が良くなります。軽く汗をかく程度まで頑張れると、汗をかく練習にもなります。浮腫みが取れると体が軽くなったように感じると思いますので、春の倦怠感も予防できます。

 

[背骨のメンテナンスで自律神経を強くする]

背骨と自律神経には深く関係があります。自律神経の通り道をメンテナンスする癖を付けることで基盤をしっかりとしたり、キャパシティーを増やすことにつながります。特に首は自律神経にとって最も重要と言って良いほど大切な場所です。今回は首のケアから。賀来大樹さんとの共書籍「不調がデフォな私たちの背骨リセット」の中で患者さんに好評のエクササイズを紹介します。

 

・後頭下筋ほぐし(背骨リセットP24)

イスに座り、頭と首の境目の部分が刺激されるようにもたれかかります。20秒ほどを目安に行いましょう。

 

・モビライゼーション

後頭下筋をほぐしたら、足を腰幅に開いて立ち、腕を真横に大きく広げます。

左手と右手が交互に下になるように腕をひねりながら、同時に、首をひねって親指が上を向いている方の手の方を向きます。手は上・下、首は右・左、とリズムよく20秒続けましょう。

 

本来であれば一通りメニューをこなして頂きたいところですが、上記2つはその場で簡単にできるのではじめの一歩としてもお勧めです。首まわりが楽になり動きが改善されるので、頭痛やめまい・眼精疲労などの予防に役立ちます。首肩こりのエクササイズを行う時、腸腰筋(背骨と骨盤をつなげる筋肉)という筋肉のストレッチをしてから行うと、より効果が出ますので試してみてください。

 



2025・1コラム 入浴のすすめと冬のメンテナンス

2025年1月18日 13:48更新
専門外来コラム


2025・1コラム 入浴のすすめと冬のメンテナンス

 

今年度の冬は乾燥が強く(関東)、昨年よりも寒さが強く感じるように思います。一般的には、年が明けてから2月あたりにかけて、寒さは本格化していきます。この期間は気温や気圧の上下が比較的小さく、異例の寒暖差などがない限りは、気象病が少し楽になる季節です。しかし、極寒ではあるので冷えによる不調には注意が必要です。よく言われている「冷えは万病のもと」というのは本当の話で、体を冷やしてしまうと血流が悪くなり、さまざまな体調不良が起こりやすくなります。そこで私がお勧めしているのが入浴習慣です。日本人にとって馴染み深い入浴ですが、海外では身体の調子を整える手段として温泉療法があるほど効能が注目されています。

 

  • 冬は気象病が楽に感じる季節

冬の気候は太平洋側と日本海側では特徴が異なりますが、おおむね気圧の変化が小さく、1日中寒いので寒暖差も感じにくいです。寒暖差疲労が起こりやすいのは、気温差が7℃以上に開き、朝-日中-夜で体感する温度が大きく変わる状況にある時です。最近では異例の寒暖差が起こることがありますが、特別な場合除いては、1月を過ぎてからは日中でも寒いので、寒暖差による影響は少なくなります。気になるのは乾燥や咳喘息、感染症の流行などです。今年はインフルエンザやコロナなどの感染症が爆発的に流行していました。一方で、気象病でクリニックを受診する患者さんは減るシーズンです。

 

  • 寒さによって気をつけたい不調は?

気象病の症状が出にくいとはいえ、寒さによる不調には注意が必要です。特に目立つのが冷え、首肩こり、頭痛、息苦しさなどです。体が冷えると血行不良になり、全身の酸素や栄養の巡りが悪くなります。そして、全身の緊張が高まるので体の柔軟性が落ち、動きも悪くなります。体が冷えている時に「なんとなく調子が出ない」というのを感じるのはこれらが影響しているかもしれません。冷えた血液が胃腸に回るとお腹を壊したり胃が痛くなったりと胃腸の不調も出やすくなります。

 

人は寒さを感じると、血管を収縮させて筋肉が縮こまり、体温を上げようとします。寒さで体が縮こまると起こりやすいのが首肩こりと、それに伴う緊張型頭痛です。寒い環境で眠っていると「朝起きたら首肩がガチガチになっていた」という方も多いと思います。頭と首肩の筋肉が繋がっていることもあり、首肩こりが酷くなると頭痛も発生しやすくなるのです。

 

寒さによる緊張は体だけでなく心にも影響しています。寒いと交感神経が優位に働くので呼吸が浅くなりやすく、息苦しさなど呼吸器系の症状を感じやすくなります。寒い時こそリラックスを心がけたいですね。

  • 入浴の効果

冷えによる不調を予防するためには入浴習慣をお勧めします。入浴の効果は実に幅広く、私は寒暖差疲労の対策や自律神経を整えるための方法の一つとしても入浴を推奨しています。入浴というのは、お風呂の浴槽に浸かってゆっくり温まることです。入浴には自律神経を整える、冷えの解消、血流の促進、心身のリラックス、安眠などさまざまな効果があります。今の季節は乾燥も気になるので、湯気が立った浴室の中で深呼吸をすると鼻や喉の粘膜が潤い呼吸もしやすいでしょう。

 

私たち日本人にとって、入浴はありふれた日常生活の一つかもしれません。しかし、入浴習慣をつけることで「何となく調子が良くなった」「よく眠れる」「冷えが取れる」というような変化をすぐに感じられるケースは多いです。冷えが解消されて血流が良くなり、ほどよいリラックス効果で睡眠の質が上がると、疲労の回復も十分に行われます。忙しい生活をしている人にとっては、お風呂にゆっくり入る時間を確保することは案外難しいのかもしれません。思い立った時だけでも良いのでお湯を溜めてみることから始めましょう。

 

  • 入浴の後はストレッチで全体をメンテナンス

入浴後は全身が温まって血流が良くなっているので、ストレッチを効果的に行うことができます。入浴で1日の冷えを取り、ストレッチで1日の凝りを取れば、十分に体のメンテナンスになります。睡眠の質もより高くなるので体が軽くなったように感じると思います。不眠でお悩みの方や疲れが取れないと感じている人は、「不調がデフォな私たちの 背骨リセット」P114・115に載っている“不眠を改善するメニュー”も合わせて行うと良いでしょう。ただし、就寝前に動きすぎてしまうと交感神経が優位になって頭が興奮してしまうので、ゆったり体を伸ばす程度にしてくださいね。

 

  • 運動と組み合わせると健康効果がアップ

自律神経を整えて調子を良くするためには、やはり食事・運動・睡眠をベースとした規則正しい生活が一番です。シンプルに運動で体を動かして全身を疲れさせるとお腹も空きますし、心地の良い疲労感で夜もぐっすり眠ることができます。学校や仕事で忙しくしていると机に向かっている時間が長く、身体よりも頭が疲れている事が多いことがあります。運動の習慣が無い人は、まずは座っている時間を減らす、エスカレーターを階段にする、通勤・通学の歩く距離を少し長くする、などの小さなことから始めるだけでも違います。もう少し頑張れそうな人は、120分以上の有酸素運動、例えばジョギングやサイクリング、水泳などを取り入れて体を動かす習慣を付けると、健康効果がアップするでしょう。

 



12月 不調とストレッチの効果について

2024年12月9日 07:24更新
専門外来コラム


12月 不調とストレッチの効果について

 

ストレッチは私たちの健康や日常に欠かせない運動のひとつです。私たちの体は何もしなければ、大人になるにつれてどんどん硬くなったり歪んだりしていきます。そもそも人体の構造は不安定にできており、その状態で長時間のデスクワークや身体に負担がかかる生活を強いられています。「日本人は働きすぎ」と言われていますし、心身のメンテナンスをする時間を取るのが難しい人ばかりのようにも思います。

私は、体のメンテナンスの第一歩がストレッチと考えています。実は、ストレッチは、ただ筋肉を伸ばすだけではありません。今回の記事を読んで、今までストレッチをする習慣が無い人は少しでもストレッチを日常に取り入れられるように、すでに習慣づけられている人は今まで以上に意味のあるストレッチができるようになって頂けると幸いです。

 

  • ストレッチの効果

ストレッチを継続して習慣化することによる効果は実にさまざまです。筋肉の緊張の緩和や可動域の拡大、凝りの解消など、身体的な機能を改善する効果もあれば、リラックスなどの精神面での効果、そして、ケガの予防・疲れにくい体づくりなどの健康増進の効果もあります。

 

身体の凝りの正体は主に筋肉の血行不良と酸素不足です。特定の筋肉の使い過ぎや誤った身体の使い方・姿勢、運動不足などの影響で筋肉が硬くなります。ストレッチをして痛みを感じる方は筋肉がこわばって硬くなり、血行が悪くなっています。

 

筋肉の過度な緊張を改善すると血流が良くなるので、酸素や栄養が行き届きやすくなります。筋肉に十分な酸素や栄養が巡るようになると、硬くなった筋肉に弾力が出てくるので動きもなめらかになっていきます。身体の可動域が広がると「体が軽くなった」「疲れにくくなった」と感じるようになり、不調の解消や予防につながります。ストレッチは身体だけでなくメンタル面にも効果もあります。ゆっくり呼吸をしながらストレッチに集中すると、自分の感情の乱れを落ち着かせることができるでしょう。

 

  • 2種類のストレッチ

[静的ストレッチ]

一般的に、ストレッチといったら静的ストレッチを思い浮かべる方が多いでしょう。ストレッチしたい筋肉をゆっくり少しずつ伸ばす動きをします。静的ストレッチは主に、運動に不慣れな方や不調が強い方などに向いています。

 

[動的ストレッチ]

ただ伸ばすのではなく、動きを伴うストレッチです。動きが加わることでほぐしたい筋肉の血流を促し、筋肉の温度が上がります。たとえば肩こりがある方は、伸びたまま固まっているケースが多いです。極端に筋肉が硬くなっている場合を除きますが、軽い首肩こりには動的ストレッチが適しています。首まわし、肩まわしなどを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。首が細くて長い女性は首まわりの筋力不足によって伸びたまま凝り固まってしまっている代表例です。

 

  • せたがや内科で推奨しているストレッチ

不調の引きがねとなりやすいのが首肩こりです。首肩こりは、首肩周りの筋肉に過剰な負担がかかることによって起こります。原因は、使い過ぎ、筋力不足、姿勢不良など人によって様々ですが、首肩まわりの筋肉が凝り固まって酸素不足の状態になると、首とつながっている脳にも十分な酸素が回りません。頭のまわりも筋肉で覆われているので、首肩こりから派生して緊張性頭痛の原因にもなります。せたがや内科では、まずは全身の骨格・筋肉のバランスや凝りの具合を評価した後、首肩を中心とした凝りをほぐして、筋肉の酸素不足を解消するところから始めます。患者さんの状態によって内容は変わりますが、状態に応じて処方や指導をさせて頂いています。

 

  • ストレッチ中は呼吸を止めないことがポイントです

短距離走や重い荷物を持ちあげるとき、私たちは無意識のうちに呼吸を止めています。その理由は、息を止めないと筋肉は最大のパワーを出せないからです。逆に、筋肉を最大に緩めてストレッチの効果を出すためには、呼吸を止めないことが重要なポイントになります。呼吸によって筋肉に酸素が行き渡ると、心身ともに緊張もほぐれます。体調が優れない方は根っこの原因が何であれ、ストレス過多の状態です。体の酸素不足はストレスや不眠の一因でもあるので、呼吸がうまくできること、呼吸を意識する習慣をつけることは体調を快方に導くために大切です。呼吸には自律神経の乱れを改善する効果もあります。

 

  • ストレッチが習慣化できたら全身のメンテナンスを

せたがや内科の自律神経失調症・首肩こり・気象病専門外来では、体調が悪く、やっとのことで仕事や生活をされている患者さんが多いです。そのため、最初は応急処置として呼吸法やストレッチを最優先で実践していただいています。しかし、不調をより根本から治していきたい場合はストレッチだけでは足りません。緩める場所は凝りをほぐし、強化するべき場所は鍛えたりして、全身を整えていくことが大切です。パーソナルトレーナー賀来大樹さんとの共著書「不調がデフォな私たちの“背骨リセット”」に書いてあるように、ストレッチだけではなく背骨を中心として全身のメンテナンスに目を向けていきましょう。自律神経の機能の向上、不調の改善、全体的なパフォーマンスの底上げなどにつながっていきます。

 

≪参考≫

・「ストレッチングアナトミィ―ドラヴィエの図解と実践―」著フレデリック・ドラヴィエ、ジャン=ピエール・クレマンソー、マイケル・グンネル.2021.8.ガイアブックス

・「背骨リセット」著久手堅司・賀来大樹.2024.10.主婦と生活者



「せたがや内科専門外来の運動処方について」

2024年11月12日 07:30更新
専門外来コラム


2024・11コラム

「せたがや内科専門外来の運動処方について」

 

自律神経失調症専門外来では、患者さんの状態に応じて主に運動を勧めています。運動処方と言ってもお薬のように正式な方法ではありませんですが、治療として「休むだけではなく、運動することも有効です」ということをお伝えして、簡単な運動などを指導しています。とはいえ、運動といってもさまざまですよね。実は「呼吸」も運動に入ります。自律神経失調症専門外来や原因不明の体調不良でお困りの患者さんは、症状も一人ひとり異なります。運動ができそうな方もいれば、起き上がって通院するのがやっとだという方もいます。必要であれば薬で治療をすることもありますが、患者さんの状態に応じて生活習慣の改善や運動の指導もさせて頂いています。今回は、私が診察で患者さんにお伝えしている運動についてご紹介します。

 

自律神経の不調に必要な運動

一般的に、運動というと生活習慣病予防や高齢者のフレイル予防など、病気の予防を目的としたものが推奨されている場合が多いです。不調を改善するための運動となると、また少し目的や内容が異なってきます。もちろん、どの運動も健康にとって良い事なのですが、自律神経失調症専門外来のような不調を持った方は、以下のことを優先して行った方が良いと考えています。

 

  • 呼吸で自律神経を整える

「ぐったりしていて動けない」という方も、「ある程度動けるけれど万全ではない」という方も、不調がある人に共通して重要なのが呼吸法です。呼吸は私たちが普段から無意識に行っているので気づきにくいかもしれませんが、呼吸も立派な運動の一つです。呼吸と自律神経には深い関係があります。呼吸は寝ている時でも自動的に一定のリズムで行われているものでもあり、自分の意思で吸ったり吐いたりできる運動です。息を吐くと副交感神経が優位、吸うと交感神経が優位に働くので、呼吸がうまくできる人は自律神経も整いやすいです。

深い呼吸法ができるようになると、呼吸をするのに想像以上に腹筋を使い、肋骨が下に動くことに気づくと思います。本当に呼吸が浅くなっている方はもしかしたら、筋肉痛になるかもしれません。呼吸が深くなると自然と眠りが深くなるので睡眠の質も良くなります。朝起き上がれなかったり疲れがとれなかったりする症状がある人の中には、寝ているようで眠れていない隠れ不眠の方もいます。

 

  • 首肩こりの応急処置

体調が悪い人は、大半が酷い首肩こりを持っています。首肩こりがあると頭痛やめまい、吐き気、息苦しさなど様々な不調が連鎖していきます。首肩こりの原因は、悪い姿勢や体のゆがみによって首肩まわりの筋肉に過度な負担がかかること、首肩まわりの筋肉の血行不良、ストレスによる首肩まわりの過緊張などが挙げられます。

 

 

  • 動ける人は好きな運動をしてOK

ある程度動ける人は、好きな運動から始めてみましょう。怪我をしたり具合が悪くなったりするまで負荷の高い運動でなければ大丈夫です。たとえばウォーキング、ジョギング、スイミング、サイクリングなどの有酸素運動だと基礎的な体力づくりにもつながります。これらのような運動はリズムを刻んだ動きがありますよね。リズムのある運動はストレスの解消になり、メンタル面でも大きな助けになります。ほどよい疲れでぐっすり眠れるようになるので睡眠の質も上がります。体調が優れないとき、「眠れていますか?」「食べられていますか?」の2つの質問は必ず聞かれる質問ですよね。心身の健康を保つ上で大切なのは食事と睡眠ですが、それを促してくれるのが運動です。

 

  • 背骨を意識した運動で不調を根本から解消へ

自律神経失調症やその他の原因不明の体調不良を生む大きな要因の一つに、「骨格のゆがみ」があります。簡単に言い換えると、姿勢の悪さです。ストレートネックや猫背、巻き肩(方が内側に丸まってしまっている状態)や腰痛、股関節の違和感など、骨格がゆがんでいると骨格の面でさまざまな異常が出てきます。ただ単に骨格が歪んでいるだけなのなら見栄えが少々悪くなるだけで済むのですが、この歪みが実は原因不明の体調不良の引き金になっていることがあります。

骨格を作る中心となっているのが背骨です。私の著書になりますが、「不調がデフォな私たちの”背骨リセット”」という本では、背骨のコンディショニングや背骨の動きに着目したエクササイズをテーマにしています。背骨の動きを意識した運動は、多くの人にとっては馴染みのないと思います。しかし、ヨガやピラティスなどのマットを使う運動をイメージするとどうでしょうか?少し想像しやすくなると思います。この本では、ストレッチやピラティスの簡単な動きなど、不調別に応じたさまざまな運動を紹介しています。

大人になるにつれて背骨の動きは悪くなっているのは確かなので、背骨を意識した運動はすべての人にとって必要なのかもしれません。背骨の動きが良くなると呼吸もしやすくなるので、自律神経にとっても良い循環が生まれます。

 

本格的に運動したくなったら専門家の指導を受けてみましょう

今回は触れませんでしたが、運動習慣をつけるのに筋トレも無くてはならない存在です。有酸素運動、筋トレ、背骨のメンテナンス、ストレッチ…忙しい生活の中でここまでのことを自分で実践するのは大変だと思います。本来は一人ひとりの体の状態や体調に合った運動をする必要があるので、どのメニューや組み合わせが良いのかを考慮したオーダーメイドの運動がしたいと思われる方はやはり、運動の専門家の指導を受けた方が良いでしょう。私は残念ですが医師としての指導しかできませんので、ご自身の目的に合った専門家の元を訪ねてみてください。



秋の気象病対策-台風・寒暖差疲労-

2024年10月8日 10:18更新
専門外来コラム


秋の気象病対策-台風・寒暖差疲労-

 

近頃では、年を重ねる毎に春夏秋冬が曖昧になり、「今年は異例の○○」といったような現象がしばしば起こるようになりました。2024年は夏がとても厳しく、そして長かったですね。激しい雷雨や多発する台風、寒暖差など秋も気象変化が激しくなっています。あまりに変化が目まぐるしくて体がついていかない方も多いと思います。対策をして少しでも楽に過ごせるように工夫をしていきましょう。

 

2024年の秋の特徴

[台風と秋雨前線]

今年は台風の勢力が強く、そして予測不能な進行速度・方向などが目立ちます。災害級の被害が予測されたり実際に起きていたりするため、従来の台風の対策では都合が変わってきているように思います。台風だけでなく秋雨前線や線状降水帯の発生などの影響もあり、激しい雷雨や異例の降水量に注意しなければいけない日が増えました。このように変化が目まぐるしい天候が続くと、もちろん体調への影響も大きくなります。常に蒸し暑く、晴れたり急に雨が降ったりと変わりやすい気候は、気象病をお持ちの方には厳しい条件です。台風が遠方にあっても頭痛やめまい、倦怠感、微熱、関節痛など、体にどっしりと何かが乗っかっている感じがして思うように過ごせないことがあるかもしれません。

 

[長引いた暑さのダメージ]

何と言っても、今年の夏は猛暑が続き、春から秋まで暑さが長引いています。10月でも30℃を超える日があるのは驚きですね。あまりに過酷な暑さが続いたので、秋が深まる今心配なのは、暑さによるダメージです。夏はどうしても涼しい環境にいたり、冷たいものを食べたりすることが多いと思います。暑さで体力が消耗していることもあり、少しずつ冷えと疲労が溜まっています。そのダメージが一気に降りかかってくるのが秋です。季節の変わり目なので自律神経が乱れやすいタイミングでもあります。特に気をつけたいのが胃腸の不調です。夏の調子で冷たいものを食べたり飲んだりすると、予想以上に胃腸に負担がかかるので注意しましょう。

 

[寒暖差疲労の始まり]

秋が夏と異なる点は、最高気温が上がったとしても、朝晩にはしっかりと最低気温が下がるところです。そこで発生するのが寒暖差です。秋に発生する寒暖差は、朝晩は20℃前後で涼しさを感じ、日中は20℃後半(30℃近くになることも)くらいで少し動けば汗ばむような暑さを感じます。私たちの体はその気温の変化に合わせて体温調節をしなければならず、自律神経が酷使されエネルギーが消耗されやすくなります。寒暖差による影響は体だけでなく肌トラブルなども引き起こします。汗をかいたり冷えて鳥肌がたったりと皮膚も忙しいですよね。紫外線によるダメージも積み重なっているので、皮膚が荒れやすくなったり、かゆみや発赤などが出やすくなったりします。

 

・秋の気象病対策

[あずき紅茶で浮腫み予防]

先日、雑誌の取材で一緒に掲載して頂いたイシハラクリニックの石原新菜院長が紹介されていた“あずき紅茶”は、私も気象病の方にお勧めしたい飲み物です。気象病の症状が出やすい方は、“水毒”といって体に余分な水分が溜まっていてうまく外に排出できない状態になっています。いわゆる浮腫んでいる状態ですね。女性は男性に比べて筋肉量が少なく、ホルモンなどの影響も重なって体に水分が溜まりやすいです。水毒の状態になると浮腫むだけではなく、体が冷えたりだるさ・胃腸の調子の悪さなどを感じるようになります。私は患者さんに対して五苓散という漢方を処方することがよくあるのですが、お家でも簡単に水毒の対策ができるのが”あずき紅茶”です。

あずき紅茶は体に溜まった老廃物や水分を排出するので、血流の改善が期待されます。継続して飲むと、気象病になりにくい体質づくりに役立つでしょう。

 

★あずき紅茶のつくり方

材料

・ゆであずき 大さじ5(100g程度)

・紅茶のティーバッグ 2袋

・熱湯 600ml

 

①   耐熱の容器(水筒など)にゆであずきを入れる

②  熱湯を注いでディーバッグを入れ、2~3分してから取り出し、一晩置く。

出典:雑誌 女性自身2024.9.17号 p49

 

[さまざまな方面から冷え対策を]

  • 湯船につかって入浴

自律神経が乱れている方は体温調節機能が弱くなっている方が多いので、頭は熱がこもってしまってのぼせているのに手足や胃腸が冷えた状態になっていることがあります。温と寒のバランスが大きく乱れてしまうと、自力でリセットするのは中々難しいです。湯船に浸かると血流が良くなり全身が温まるので、熱のバランスが整います。幸運なことに日本にはお風呂の文化がありますよね。海外ではシャワー浴が一般的な国も多く、温泉療法などの入浴に着目した治療法もある程です。入浴には冷えをリセットするだけでなく、自律神経を整える効果やリラックス効果、安眠効果などさまざまなメリットがあるので、不調を持っている方はぜひ毎日実践して頂きたい習慣です。

 

  • 運動

有酸素運動やリズム運動ではメンタルや血流の改善、筋トレをすれば代謝がアップして冷えづらい体づくりになります。そして、先日発売させていただいた書籍「不調がデフォな私たちの背骨リセット」に載っているような背骨を中心とした首・肩・腰・股関節などの骨格のメンテナンスをすれば、不調を改善・予防していくことができます。全てをバランスよく行おうと思うとハードルが高くなってしまうかもしれませんが、最も大切なのは、「とにかくまずは体を動かす習慣をつける」ということです。座りっぱなし、寝込みっぱなしはできるだけ避けたいところです。散歩をする習慣をつけるだけでも違いは大きいです。運動を始めると、じっとして運動不足であることがいかに冷えをもたらすのか体感できると思います。

 

 



新書籍「背骨リセット」予約開始しました

2024年9月10日 19:32更新
専門外来コラム


新書籍「背骨リセット」予約開始しました

 

実は昨年末くらいから進めていた書籍のお仕事がありました。最近形になってきており、情報が公開となったのでここでもお知らせいたします。今回のタイトルは「背骨リセット」です。

私は主に自律神経、気象病に関する書籍の執筆や監修をさせていただく機会が多いので、一見今までの著書と関係ないようなタイトルですが、今までご紹介したメソッド編をより詳細に、メインとして凝縮させた内容となっています。マンガやイラストも豊富なので、今までとテイストが異なり読んでいて楽しい本かもしれません。今回はじめて実現できたのが、今までに何度かご紹介させて頂いている賀来大樹さんとの共著です。「気象病ハンドブック」の後半にある実践編の監修をさせて頂いたり、せたがや内科の自律神経失調症専門外来や首肩こり、気象病専門外来などの患者さんを治療するうえでご協力頂いたりしているトレーナーさんです。賀来さんが提案してくださったメソッドがこれまで以上に詰まっているので、実践編の本としてとても内容が充実していると思います。

 

・背骨リセットとは?

「背骨リセット」と言われて、みなさんは何を想像されるでしょうか?おそらくですが、普段の生活の中で背骨を意識して過ごされている人は少ないと思います。もしかしたらスポーツ歴が長い方でも馴染みのない概念かもしれません。「背骨リセット」というのは、背骨を本来の正しい位置に整えることで、首肩こり、頭痛、めまい…などの不調を根本から治していこう、という意図が込められています。不調を治したいと思ったとき、「まずは病院で薬をもらおう」と考えるのが一般的ですよね。しかし、自律神経の乱れによる不調やその他の不定愁訴(何となく調子が悪いけれど、検査しても異常が見つからない不調のことです)は薬のみで治るケースが少なく、むしろ骨格を整えることで不調が改善することがあります。これが背骨リセットです。実は背骨は、自律神経の通り道に当たります。背骨が歪んでいると自律神経にも影響がいきますし、骨格全体が歪んで姿勢も悪くなるので、さまざまな不調の引き金になります。

 

せたがや内科に来る不調の患者さんは、レントゲンを撮ると背骨のゆがみが目立ちます。私たちの骨格は、誰しも多少は歪みが生じているものですが、度を越えてしまうと原因不明の不調を引き起こすこともあります。そこで背骨リセットの登場です。呼吸法やストレッチ、エクササイズなどにより背骨のズレ(骨格のゆがみ)を改善していきます。筋肉の緊張が強いところは緩めて、うまく使えていないところは強化。背骨を整えながら全体の動きを良くしていきます。すると、体調が改善していきます。背骨のゆがみが完全に治らなくても、その過程で不調が治っていくのが不思議なところです。

 

・評価を重視して一人ひとりに合った運動プログラムを

本来であれば運動は、一人ひとりの体に合ったものでなければ効果が薄れてしまいます。一般的に良いとされている運動やストレッチでも、厳密に言ってしまえば、万人に有効という訳ではないのが現実です。そこで大切なのが評価です。この本でも、序盤に評価のページを設けています。骨格の状態をまずチェックすることで、その人に合ったエクササイズを行うことができるように工夫をしました。不調がある方はすぐに何とかしたい気持ちが大きいと思いますので、すぐに実践編のページが気になるかもしれません。しかし、不調がある方こそ評価を丁寧に行うことをお勧めします。

 

・首をリセットするのに首だけを動かすわけではない?

この本では、パーソナルトレーナーの賀来大樹さんにプログラムを組んで頂いています。

以下は、内容の打ち合わせをしている時のあるエピソードです。

 

首のエクササイズのプログラムを組んでいる最中、第一項目が首ではなく腸腰筋という筋肉のアプローチでした。すかさず他の制作スタッフの方から「首が悪いのにどうして○○をするのですか?首は動かさないのですか?」と質問がありました。もちろん私も同じようなことを思いましたし、読者の方も同じ疑問を抱かれるのではないかと思いました。

 

賀来さんからこのような答えが返ってきました。「実は、首がこっているからと言って首が悪いという訳ではないんですよ。首が弱い人は不良姿勢を取り続けていることが多く、その結果、腸腰筋が被害者の一つ(他にもあります)なので、まずは腸腰筋のアプローチをします。」

これを聞いて全員が「へぇー!!」と納得。これは私の中でとても印象的な出来事でした。

このように、骨格や筋肉・運動に関する知識がない方にとっては少し常識が覆ったように思える内容が入っているかもしれません。読者の方にも、読んでいて「へぇー!」となって頂けると嬉しいです。

 

・基本は呼吸。常に意識しましょう

自律神経を整える上で大切であり、基本となるのは「呼吸」です。呼吸は当たり前すぎて、その重要性が中々伝わりづらいですが、実践して効果を感じられる方にはわかって頂ける要素です。

自律神経は基本的には私たちが意識しなくても自動的に切り替わって機能しているのですが、唯一自力でスイッチングを行うことができるのが呼吸です。息を吐くと副交感神経が優位にはたらき、吸うと交感神経優位にはたらきます。

呼吸はブリージングとも呼ばれています。私が主に勧めているのは胸式呼吸と腹式呼吸です。この本でも呼吸の方法が載っています。実は呼吸は意外と運動量が多く、私たちはあらゆる筋肉が連動して動くことで吸ったり吐いたりしています。しっかりと胸式呼吸や腹式呼吸を行うと、それだけで筋肉痛になることがあるくらいです。ストレッチやエクササイズをしている時に大切にして頂きたいのが、呼吸を止めないことです。呼吸を意識しながらストレッチやエクササイズの動きを実践すると、より正しくできると思います。

 

いつでもどこでも背骨リセット: 肩こり、腰痛、首こり、疲労、不眠、めまい、動悸……を根治! | 久手堅司, 賀来大樹 |本 | 通販 | Amazon



まだまだ続く暑さ・冷房病対策

2024年8月9日 07:20更新
専門外来コラム


まだまだ続く暑さ・冷房病対策

 

毎日35℃を超えるような酷暑が続いており、年々夏の過ごし方も少しずつ変わってきているように思います。熱中症には十分に気をつけなければいけない一方で、外出の機会が減ると運動不足に陥りやすく、かといって室内にいると冷房環境による冷えや寒暖差疲労などを引き起こしやすいです。夏バテや冷房病、不眠、寒暖差疲労など、夏を元気に過ごすことが中々難しくなってきました。そんな状況だからこそ、夏を快適に過ごすためのポイントをおさえていきましょう。

 

・今年の暑さの特徴

今年の暑さの特徴は、なんといっても「湿度の高さ」だと思います。ひと昔前の夏は気温が高くてもカラッとした暑さだったような気がするのですが、最近の夏は梅雨が過ぎても高温多湿でうだるような暑さです。湿度が上がるだけで体感する暑さは一気に上がりますし、汗が蒸発しにくくなるので熱が体から逃げにくくなります。

 

自律神経の機能が弱っている方は体温調節が苦手なので、湿度が上がったタイミングで不調を訴える人が多かったです。それに加えて体温を上回るような暑さの日数が多く、また、5~6月頃から始まり10月頃までと予想されている夏の長さも特徴的ですね。春や秋が短くなってきているように思います。

 

 

・夏に自律神経が乱れやすいポイント

夏は体温調節による負担が大きいです。体に熱がこもらないように熱を外に逃がしたり、室内外での気温差に合わせて体温を保ったりしなければいけません。また、熱帯夜により睡眠の質が下がるので、体も心も休息が十分ではありません。日中の暑さや夏バテで疲労が溜まっている状態だと思いますが、寝苦しい夜が続くことで回復しきれず全体的に弱ってきた結果、余計に自律神経が乱れやすい状況ができあがります。

 

・自律神経の弱い人が気をつけたい不調

[熱中症]

元々自律神経系の不調や不定愁訴などがある方は、熱中症になりやすいです。自律神経は体温調節を行うはたらきがあるので、自律神経の機能が弱っていて体温調節がスムーズにできなくなっている人は、体の外にうまく熱が放出されずに「気づいたら熱中症になっていた」「熱中症のような症状で具合が悪い」という方が多いです。水分補給をしていても熱中症になってしまうことも珍しくありません。

 

日中ももちろん熱中症のリスクはありますが、特に注意したいのは夜です。冷房が苦手という方も多いですが、最近の暑さでは夜中でもエアコンを切ってしまうのは危険です。自律神経が乱れている方は特に寝汗をかきやすく、大量に水分を失うと朝起きるまでには脱水を起こしてしまうことがあります。眠っているうちに脱水が酷くなるとそのまま熱中症にもつながってしまいます。頭や手足はものすごく熱くなっていて、体の表面やお腹は冷えているという状況になりやすいので、寝る前は夏でもお風呂に入って体の内側を温め、寝るときは頭だけ少し冷やしてみましょう。また、冷房で冷えすぎないようにパジャマは薄手の長そで長ズボン、布団はきちんとかけるなどの工夫も大切です。

 

[冷房病]

夏にやっかいなのが、冷房病です。冷えの感じ方や不調の出方はなかなか目には見えづらく、個人差も大きいです。人によって「快適」と感じる温度は差がありますよね。冷房環境にいると直接冷たい風が当たることもあり、震えるほど寒いのに頭は熱くなり、頭痛や吐き気が起きることもあります。

まず大切なのは、風がなるべく直接当たらない場所に避難すること、もしくは上着やストールなどを活用したり、首や足首などの露出を控えたりして風が当たる面積を減らすことです。そして、家に帰ったらしっかり湯船に浸かりましょう。入浴は1日の冷えや疲労をリセットしてくれる役割があるので、夏でも湯船で体を温めることをお勧めします。入浴には自律神経を整える作用や安眠効果などがあり、心身にとって良いことばかりです。

 

[寒暖差疲労]

春・秋は外の気温の変化による寒暖差疲労の影響が大きいですが、夏は室内外の気温差に注意が必要です。外は35℃近くの暑さで体から汗を出すために自律神経がはたらき、室内に入れば27~28℃(会社やお店だと寒いくらいの温度かもしれません)の環境下で一気に血管が収縮します。自律神経は体温調節をするために大忙しです。室内外の行き来が多い人ほど、このダメージを1日に何回も経験するので、気づいたらぐったり疲れているということもあるかもしれません。夏は暑さそのものによる疲労や夏バテ、熱帯夜による寝不足などでそもそも疲れやすくなっています。そこに寒暖差疲労が上乗せされると疲労感は大きいと思います。

 

[運動不足]

暑さを避けて外出の機会が減ると陥りやすいのが、運動不足です。運動不足自体は不調ではありませんが、体を動かさなくなると血流が悪くなって冷えも起こりやすいですし、不調の原因にもなります。炎天下の中で思いきり運動をするのは難しいですが、朝晩の気温の低い時間をみて散歩をする機会を作るのも良いですし、マットを使った運動(ヨガ・ピラティス)や自重で行う筋力トレーニングであれば家でもできます。具合が悪いので仕方がないですが、体調不良の人は運動不足が多く、活動量が減ると眠りも浅くなり、さらに体調が優れない…と悪循環に陥りやすいです。ブリージングと言って、呼吸をするだけでも運動になりますので、余裕のない人は深呼吸を積極的に行うだけでも違います。ぐったりしている夏こそ、動くことに気を配ってみてください。



自律神経と骨格②背骨のゆがみと自律神経の関係

2024年7月15日 20:21更新
専門外来コラム


自律神経と骨格②背骨のゆがみと自律神経の関係

 

今回は自律神経と背骨について書いていきます。先日の「自律神経と骨格背骨のつくり」では、背骨の構造や役割についてご紹介しました。せたがや内科の専門外来を受診する患者さんは、骨格のゆがみが大きく、それが要因となって不定愁訴や自律神経失調症などを発症している方が多いです。きっかけは様々ですが、背骨のゆがみが自律神経に悪影響を与えています。背骨のコンディションを整えると、自律神経のキャパシティーが大きくなり、私たちを取り巻くさまざまなストレスに負けない体づくりにもつながります。背骨を使うこと・整えることの重要性を少しずつでも知っていきましょう。

 

  • 背骨は自律神経の通り道

まずは自律神経がある場所について考えてみましょう。神経というのは、全身を網目のように張り巡らされており、さまざまな情報を伝達しているネットワークのようなものです。その中でも自律神経は、脳と脊髄から始まり、各臓器や器官に分布しています。呼吸や心拍、血圧、消化・排泄、汗や涙の調節などさまざまな生命活動に関わっています。

 

次に背骨のある場所について考えてみましょう。背骨は、正式には脊椎と呼ばれていて、頭の付け根(首)から始まり、お尻の割れ目のあたりまで縦に伸びています。先ほど「自律神経は脳と脊髄から始まっている」と言いましたが、実は、脊髄は背骨の中の脊柱管という場所の中に通っており、背骨が脊髄を保護しているのです。つまり、「背骨=自律神経の通り道」とも考えられますね。

 

神経は基本的に、情報を伝えるためにまっすぐ進んで行きます。しかし、背骨が歪んでいると自律神経の伝達ルートが妨げられ、神経がうまく機能しなくなってしまいます。神経が圧迫されないように背骨の歪みを減らし、動きを良くすることが大切です。

 

  • そもそも人間の骨格はゆがみやすい

人間の身体の構造を考えると、背骨はそもそもゆがみやすくできています。人間は2足歩行なので、とても不安定です。私たちは常に重力を感じながら生きていますよね。4~5kgある重い頭を細い首が支えており、内臓が重力に逆らって体の中に収まっていられるように、背骨やその他の骨格・筋肉が頑張ってつなぎとめています。また、背骨には鎖骨や肩甲骨がくっついており、両腕も支えています。さらには、身体の複雑な動きに対応できるように、背骨を中心として、体全体のバランスが取れるようにできています。私たちの身体の機能の高さと、背骨にかかる負担は計り知れませんね。

 

背骨は骨格の要です。そのため、背骨がゆがむと全身が歪んできます。勉強や仕事などでうつむき姿勢を続けていると、重い頭を支えている首はどうしてもエラーが出やすく、首がまっすぐになって頭が前に出ている状態(フォワ―ドヘッド)ができあがります。骨格は1部分にエラーが発生すると、バランスを取るために他の部分でカバーするものです。そのため、どんどん背骨が歪んで姿勢も悪くなっていき、それが癖になっていきます。

 

  • 背骨がゆがむ原因は?

背骨が歪む要因はたくさんあります。私たちは年齢を重ねるにつれて、背骨にとって良いとは言えない生活習慣が増えていきます。学校に行き始める年齢の頃からは、座りっぱなしやうつむきの姿勢が増えますし、大人になれば運動する機会が減っていく人が多いです。おそらく背骨のケアを習慣にしている人も少ないでしょう。子どもの頃から運動や姿勢の大切さは習ってきていても、背骨の重要性やメンテナンスの方法を知る機会は中々ないですよね。

 

そして、ストレスも背骨がゆがむ一つの要因になります。リラックスした人と、落ち込んで元気がない人の姿勢を比べてみるとわかりやすいと思います。ストレスがかかると交感神経が過剰に優位になり、体の緊張が強くなります。姿勢も悪くなりやすいですし、筋肉の凝り具合も変わってくるので不良姿勢になりやすいです。知らず知らずのうちに、背骨に負担のかかる生活をしていることが多いかもしれません。

 

  • 背骨の歪みが与える自律神経への影響

「ゆがみ」と言われて思い浮かぶ不調のイメージは、姿勢の乱れや腰痛などの痛みではないでしょうか?先ほど言ったように、背骨は自律神経の通り道でもありますよね。そのため、背骨が歪んでいると自律神経に関連した不調も起こります。実際、せたがや内科の自律神経失調症外来を受診する患者さんは背骨のゆがみが目立ちます。

人間の体には、筋系・神経系・骨格系がつながって動くことのできるシステムが備わっています。このシステムがあることで、頭で思い描いた運動が、実際に動作としてスムーズにできるようになります。脳や神経が指令を出し、実際に体を動かすのが筋肉、軸となって体を支えバランスをとるのが骨格です。

 

背骨にゆがみができると、骨格全体にもゆがみが発生します。肩の高さに左右差がでたり、骨盤が前傾・後傾したりします。すると筋肉-骨格-神経のバランスが崩れてしまい、思うように体が機能しません。倦怠感や頭痛、めまい、胃腸の不調、首肩こり、息苦しさなど、さまざまな不調につながっていきます。骨格が乱れると胸郭の動きが制限されるので、ほぼ確実に呼吸のしづらさが出ます。呼吸が浅くなると副交感神経優位になりにくく、リラックスしたり深く眠ったりするのが難しくなります。このように、骨格と自律神経は影響し合っているのですね。

 



今年の気象病対策2024

2024年6月9日 20:07更新
専門外来コラム


今年の気象病対策2024

 

ここ数年は例年と異なる異常気象が続いています。今年度も5月は異例の暑さ、激しい寒暖差、不安定な気候などで最近は体調を崩されている方が本当に多いです。6月は梅雨、気象病が目立つシーズンです。今年の梅雨入りは全国的に6月中旬という予報も出ています。梅雨は気温が高めで湿気が多く、ジメジメした日が続きます。雨に伴って気圧変動も大きいため、心身ともに不調が出やすい季節です。体調が悪いと寝込んでしまったり、気持ちもふさぎ込んでしまったりで、活動量が減ってしまうと思います。体調が悪いと動けなくなるのは当然なのですが、動かなさすぎるのもそれはそれで体に良くありません。今回は梅雨を乗り切るための工夫についてお伝えしていきます。

 

・気象病になりやすい人の特徴―女性・デスクワークの方は要注意―

気象病は、気圧の上下や気温差、湿度の影響によって体調不良が起こります。代表的なのは頭痛です。そして、めまいや倦怠感、朝起き上がれない、メンタル面での不調などの症状も出ます。

 

[女性]

気象病になりやすいのは特に、女性、デスクワーク・運動不足の方です。女性は、月経周期がある関係で、元々ホルモンのバランスが乱れやすく、自律神経に負担がかかっています。自律神経が乱れている人は気象病にもなりやすいです。そして、女性は筋肉量が少なく、特に若い方は血圧が低めであることもあり、血流が悪くなりやすいです。血流が悪いと身体が浮腫みやすい(余計な水分を溜めこみやすい)ので、気象病の症状が出やすくなります。

 

[デスクワーク・運動不足の人]

「デスクワークになってから体調が悪くなった」という方は、実は結構多いです。長時間同じ姿勢で作業に集中していると、知らず知らずのうちに姿勢が乱れ、悪い姿勢が癖になってしまいます。特にデスクワークは、目線が下でうつむき姿勢が続きますよね。頭が前に出て首・肩に負担がかかり、猫背などになるのが当たり前になっている方が多いと思います。良くない姿勢が続くと、骨格そのものもゆがみ、自律神経を弱らせてしまうことになります。自律神経のキャパシティーが減ってしまうと気候変動のストレスに打ち勝つ力も減ってしまうので、気象病の症状が出やすくなります。仕事が忙しいとどうしても運動不足になりやすいですが、凝り固まった身体をほぐしたり動かしたりする時間を作っていきたいですね。

 

「暑熱順化」で体温調節をしやすい体に

梅雨のシーズンは、気圧の上下だけではなく蒸し暑さもあるので、まずは蒸し暑さに対応できるように暑さに体を慣らすことが大切です。自律神経は変化に弱いため、暑くなり始めのタイミングや梅雨入り時に不調が出ることが多く、梅雨の後半になると、案外体が慣れてしまっているという方もいます。

 

最近では「暑熱順化」という言葉が浸透してきています。暑熱順化とは、体が暑さに適応できるように、体を暑さに慣らすことを言います。人は暑さに慣れると、気温が上がった時に汗をかいて、体温が上がり過ぎないように調節できるようになります。この体温調節の機能には自律神経が関わっています。季節の移行時期で体がまだ暑さに慣れていないと、熱がこもりやすくなって熱中症になったり、体調不良を引き起こしやすくなります。

 

暑さに慣れるためには、汗をかく練習をしましょう。「体温が上がる→汗をかく」という流れを繰り返すことで、暑い時にもスムーズに汗をかくことができるようになります。おすすめなのは、軽い運動と入浴です。ウォーキングや自転車など、日常に取り入れやすいもので大丈夫です。汗をかく練習をしている最中なので、できれば間を空けず、毎日できると良いですね。

 

[体温調節をしやすい環境と服装]

梅雨の蒸し暑さを乗り切るのに暑さ対策も大切ですが、もう一つポイントとなるのが、湿気対策です。湿度は体感温度に与える影響が大きいのをご存じでしょうか?同じ暑い日でも、カラッとした日とジメジメした日とでは快適さが異なりますよね。湿度が高いと暖かく感じ、低いと涼しく感じます。除湿器を積極的に使用していきましょう。除湿をすることで体感温度も下げることができますが、汗が蒸発しやすくなるので汗もかきやすくなります。

 

セルフケア①耳のマッサージ

耳には、自律神経に良いツボがたくさん集まっています。耳は気圧を感じるセンサーでもあるので、耳を引っ張ったりして耳まわりの血流を良くすると、気象病の予防になります。少しマッサージするだけで顔回りがポカポカしてくるのを実感できるでしょう。

 

[耳のマッサージ]

両耳の真ん中あたりを持って水平に軽く引っ張ったり斜めに引っ張ったりします。10秒キープするくらいが良いでしょう。次に、耳たぶを持って前後にゆっくり大きく回します。前に5回、後ろに5回やってみてください。

 

セルフケア②背骨のメンテナンス

デスクワークや運動不足の方が気象病になりやすいのには原因があります。身体を動かさないまま不良姿勢を続けていると、骨格のゆがみが強くなるからです。背骨は自律神経の通り道でもあるので、背骨のメンテナンスをして骨格のバランスを整えることで、自律神経にも良い効果が得られます。自律神経が整えば気象病にもなりにくいです。

 

[背骨のリセット]

  • 両足を腰幅に開き、正面を向いて立ちます。
  • 息を吐きながら、首(鼻の奥のあたりです)から背骨を1コずつ丸めていくイメージで、おじぎするように上半身を倒します。
  • 肩や腕は力を抜いてだらんとしながら、呼吸は止めずに60秒ほどキープしましょう。
  • 軽く息を吐きながら、今度は背骨を下から(お尻のあたりが一番下です)1コずつ積み立てていくようにゆっくり起こしていきます。

 



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