専門外来コラム



自律神経と骨格②背骨のゆがみと自律神経の関係

2024年7月15日 20:21更新
専門外来コラム


自律神経と骨格②背骨のゆがみと自律神経の関係

 

今回は自律神経と背骨について書いていきます。先日の「自律神経と骨格背骨のつくり」では、背骨の構造や役割についてご紹介しました。せたがや内科の専門外来を受診する患者さんは、骨格のゆがみが大きく、それが要因となって不定愁訴や自律神経失調症などを発症している方が多いです。きっかけは様々ですが、背骨のゆがみが自律神経に悪影響を与えています。背骨のコンディションを整えると、自律神経のキャパシティーが大きくなり、私たちを取り巻くさまざまなストレスに負けない体づくりにもつながります。背骨を使うこと・整えることの重要性を少しずつでも知っていきましょう。

 

  • 背骨は自律神経の通り道

まずは自律神経がある場所について考えてみましょう。神経というのは、全身を網目のように張り巡らされており、さまざまな情報を伝達しているネットワークのようなものです。その中でも自律神経は、脳と脊髄から始まり、各臓器や器官に分布しています。呼吸や心拍、血圧、消化・排泄、汗や涙の調節などさまざまな生命活動に関わっています。

 

次に背骨のある場所について考えてみましょう。背骨は、正式には脊椎と呼ばれていて、頭の付け根(首)から始まり、お尻の割れ目のあたりまで縦に伸びています。先ほど「自律神経は脳と脊髄から始まっている」と言いましたが、実は、脊髄は背骨の中の脊柱管という場所の中に通っており、背骨が脊髄を保護しているのです。つまり、「背骨=自律神経の通り道」とも考えられますね。

 

神経は基本的に、情報を伝えるためにまっすぐ進んで行きます。しかし、背骨が歪んでいると自律神経の伝達ルートが妨げられ、神経がうまく機能しなくなってしまいます。神経が圧迫されないように背骨の歪みを減らし、動きを良くすることが大切です。

 

  • そもそも人間の骨格はゆがみやすい

人間の身体の構造を考えると、背骨はそもそもゆがみやすくできています。人間は2足歩行なので、とても不安定です。私たちは常に重力を感じながら生きていますよね。4~5kgある重い頭を細い首が支えており、内臓が重力に逆らって体の中に収まっていられるように、背骨やその他の骨格・筋肉が頑張ってつなぎとめています。また、背骨には鎖骨や肩甲骨がくっついており、両腕も支えています。さらには、身体の複雑な動きに対応できるように、背骨を中心として、体全体のバランスが取れるようにできています。私たちの身体の機能の高さと、背骨にかかる負担は計り知れませんね。

 

背骨は骨格の要です。そのため、背骨がゆがむと全身が歪んできます。勉強や仕事などでうつむき姿勢を続けていると、重い頭を支えている首はどうしてもエラーが出やすく、首がまっすぐになって頭が前に出ている状態(フォワ―ドヘッド)ができあがります。骨格は1部分にエラーが発生すると、バランスを取るために他の部分でカバーするものです。そのため、どんどん背骨が歪んで姿勢も悪くなっていき、それが癖になっていきます。

 

  • 背骨がゆがむ原因は?

背骨が歪む要因はたくさんあります。私たちは年齢を重ねるにつれて、背骨にとって良いとは言えない生活習慣が増えていきます。学校に行き始める年齢の頃からは、座りっぱなしやうつむきの姿勢が増えますし、大人になれば運動する機会が減っていく人が多いです。おそらく背骨のケアを習慣にしている人も少ないでしょう。子どもの頃から運動や姿勢の大切さは習ってきていても、背骨の重要性やメンテナンスの方法を知る機会は中々ないですよね。

 

そして、ストレスも背骨がゆがむ一つの要因になります。リラックスした人と、落ち込んで元気がない人の姿勢を比べてみるとわかりやすいと思います。ストレスがかかると交感神経が過剰に優位になり、体の緊張が強くなります。姿勢も悪くなりやすいですし、筋肉の凝り具合も変わってくるので不良姿勢になりやすいです。知らず知らずのうちに、背骨に負担のかかる生活をしていることが多いかもしれません。

 

  • 背骨の歪みが与える自律神経への影響

「ゆがみ」と言われて思い浮かぶ不調のイメージは、姿勢の乱れや腰痛などの痛みではないでしょうか?先ほど言ったように、背骨は自律神経の通り道でもありますよね。そのため、背骨が歪んでいると自律神経に関連した不調も起こります。実際、せたがや内科の自律神経失調症外来を受診する患者さんは背骨のゆがみが目立ちます。

人間の体には、筋系・神経系・骨格系がつながって動くことのできるシステムが備わっています。このシステムがあることで、頭で思い描いた運動が、実際に動作としてスムーズにできるようになります。脳や神経が指令を出し、実際に体を動かすのが筋肉、軸となって体を支えバランスをとるのが骨格です。

 

背骨にゆがみができると、骨格全体にもゆがみが発生します。肩の高さに左右差がでたり、骨盤が前傾・後傾したりします。すると筋肉-骨格-神経のバランスが崩れてしまい、思うように体が機能しません。倦怠感や頭痛、めまい、胃腸の不調、首肩こり、息苦しさなど、さまざまな不調につながっていきます。骨格が乱れると胸郭の動きが制限されるので、ほぼ確実に呼吸のしづらさが出ます。呼吸が浅くなると副交感神経優位になりにくく、リラックスしたり深く眠ったりするのが難しくなります。このように、骨格と自律神経は影響し合っているのですね。

 



今年の気象病対策2024

2024年6月9日 20:07更新
専門外来コラム


今年の気象病対策2024

 

ここ数年は例年と異なる異常気象が続いています。今年度も5月は異例の暑さ、激しい寒暖差、不安定な気候などで最近は体調を崩されている方が本当に多いです。6月は梅雨、気象病が目立つシーズンです。今年の梅雨入りは全国的に6月中旬という予報も出ています。梅雨は気温が高めで湿気が多く、ジメジメした日が続きます。雨に伴って気圧変動も大きいため、心身ともに不調が出やすい季節です。体調が悪いと寝込んでしまったり、気持ちもふさぎ込んでしまったりで、活動量が減ってしまうと思います。体調が悪いと動けなくなるのは当然なのですが、動かなさすぎるのもそれはそれで体に良くありません。今回は梅雨を乗り切るための工夫についてお伝えしていきます。

 

・気象病になりやすい人の特徴―女性・デスクワークの方は要注意―

気象病は、気圧の上下や気温差、湿度の影響によって体調不良が起こります。代表的なのは頭痛です。そして、めまいや倦怠感、朝起き上がれない、メンタル面での不調などの症状も出ます。

 

[女性]

気象病になりやすいのは特に、女性、デスクワーク・運動不足の方です。女性は、月経周期がある関係で、元々ホルモンのバランスが乱れやすく、自律神経に負担がかかっています。自律神経が乱れている人は気象病にもなりやすいです。そして、女性は筋肉量が少なく、特に若い方は血圧が低めであることもあり、血流が悪くなりやすいです。血流が悪いと身体が浮腫みやすい(余計な水分を溜めこみやすい)ので、気象病の症状が出やすくなります。

 

[デスクワーク・運動不足の人]

「デスクワークになってから体調が悪くなった」という方は、実は結構多いです。長時間同じ姿勢で作業に集中していると、知らず知らずのうちに姿勢が乱れ、悪い姿勢が癖になってしまいます。特にデスクワークは、目線が下でうつむき姿勢が続きますよね。頭が前に出て首・肩に負担がかかり、猫背などになるのが当たり前になっている方が多いと思います。良くない姿勢が続くと、骨格そのものもゆがみ、自律神経を弱らせてしまうことになります。自律神経のキャパシティーが減ってしまうと気候変動のストレスに打ち勝つ力も減ってしまうので、気象病の症状が出やすくなります。仕事が忙しいとどうしても運動不足になりやすいですが、凝り固まった身体をほぐしたり動かしたりする時間を作っていきたいですね。

 

「暑熱順化」で体温調節をしやすい体に

梅雨のシーズンは、気圧の上下だけではなく蒸し暑さもあるので、まずは蒸し暑さに対応できるように暑さに体を慣らすことが大切です。自律神経は変化に弱いため、暑くなり始めのタイミングや梅雨入り時に不調が出ることが多く、梅雨の後半になると、案外体が慣れてしまっているという方もいます。

 

最近では「暑熱順化」という言葉が浸透してきています。暑熱順化とは、体が暑さに適応できるように、体を暑さに慣らすことを言います。人は暑さに慣れると、気温が上がった時に汗をかいて、体温が上がり過ぎないように調節できるようになります。この体温調節の機能には自律神経が関わっています。季節の移行時期で体がまだ暑さに慣れていないと、熱がこもりやすくなって熱中症になったり、体調不良を引き起こしやすくなります。

 

暑さに慣れるためには、汗をかく練習をしましょう。「体温が上がる→汗をかく」という流れを繰り返すことで、暑い時にもスムーズに汗をかくことができるようになります。おすすめなのは、軽い運動と入浴です。ウォーキングや自転車など、日常に取り入れやすいもので大丈夫です。汗をかく練習をしている最中なので、できれば間を空けず、毎日できると良いですね。

 

[体温調節をしやすい環境と服装]

梅雨の蒸し暑さを乗り切るのに暑さ対策も大切ですが、もう一つポイントとなるのが、湿気対策です。湿度は体感温度に与える影響が大きいのをご存じでしょうか?同じ暑い日でも、カラッとした日とジメジメした日とでは快適さが異なりますよね。湿度が高いと暖かく感じ、低いと涼しく感じます。除湿器を積極的に使用していきましょう。除湿をすることで体感温度も下げることができますが、汗が蒸発しやすくなるので汗もかきやすくなります。

 

セルフケア①耳のマッサージ

耳には、自律神経に良いツボがたくさん集まっています。耳は気圧を感じるセンサーでもあるので、耳を引っ張ったりして耳まわりの血流を良くすると、気象病の予防になります。少しマッサージするだけで顔回りがポカポカしてくるのを実感できるでしょう。

 

[耳のマッサージ]

両耳の真ん中あたりを持って水平に軽く引っ張ったり斜めに引っ張ったりします。10秒キープするくらいが良いでしょう。次に、耳たぶを持って前後にゆっくり大きく回します。前に5回、後ろに5回やってみてください。

 

セルフケア②背骨のメンテナンス

デスクワークや運動不足の方が気象病になりやすいのには原因があります。身体を動かさないまま不良姿勢を続けていると、骨格のゆがみが強くなるからです。背骨は自律神経の通り道でもあるので、背骨のメンテナンスをして骨格のバランスを整えることで、自律神経にも良い効果が得られます。自律神経が整えば気象病にもなりにくいです。

 

[背骨のリセット]

  • 両足を腰幅に開き、正面を向いて立ちます。
  • 息を吐きながら、首(鼻の奥のあたりです)から背骨を1コずつ丸めていくイメージで、おじぎするように上半身を倒します。
  • 肩や腕は力を抜いてだらんとしながら、呼吸は止めずに60秒ほどキープしましょう。
  • 軽く息を吐きながら、今度は背骨を下から(お尻のあたりが一番下です)1コずつ積み立てていくようにゆっくり起こしていきます。

 



監修本「不調にさよなら!自律神経を整える50のこと」

2024年5月20日 15:17更新
専門外来コラム


監修本「不調にさよなら!自律神経を整える50のこと」発売中です

 

5月も暑さ・寒暖差、気圧低下など例年とは異なる気候が続いています。年々、1年を通して自律神経の乱れやすい気候や環境になってきていると感じます。最近では、「なんとなく辛い」、「お休みの日はぐったり…」という人も増えているのではないでしょうか?

この時期になると恒例になってきました、宝島社さんから出させて頂いているムック本の自律神経シリーズ、最新刊「不調にさよなら!自律神経を整える50のこと」です。この本では、自律神経のケアにつながる小さな習慣を50個集めました。小さなことでも、これらが習慣になって積み重なると日々のすごしやすさが増していくと思います。少し内容を紹介していきます。

 

・自律神経を整えるには「当たり前のこと」が大切

自律神経のケアをするには、特別な治療というよりも「当たり前のこと」が大切になります。たとえば、朝起きて、食事を摂り、適度に体を動かし、夜はゆっくりお風呂に使って寝る。一見、当たり前すぎる一日ですが、このように過ごせている方はどのくらいいるでしょうか?忙しい生活のなかで、当たり前のことを当たり前のように行うのは意外と難しいと思います。すでに定着してしまっている生活習慣を直していくことは、最初は大変なことかもしれませんが、一歩踏み出してしまえば良い循環になっていきます。50項目あるのでできそうなものからやってみるのも良いでしょう。

 

・「体」「食べもの」「生活習慣」「メンタル」の4方向からアプローチ

 

  • 体からアプローチ―11key words―

自律神経が乱れている人の中には、全身の筋肉が凝り固まっていたり、体が過度に緊張していたりすることが多いです。全身が凝っていると、血流が悪くなりますし、首肩こりはさまざまな不調を招きます。自律神経も交感神経が過剰にはたらきやすくなり、体がうまく休息モードにならずに疲労が溜まっていくでしょう。体のアプローチは、主に運動の要素です。運動と言っても、簡単なストレッチや背骨のゆがみをリセットできるような動きなど、すぐにできるものです。動くことで体に巡る酸素と血液が良くなっていくと、「なんとなく」不調だった体もすっきりしていくと思います。

 

  • 食べもの—8key words—

自律神経を整えるのに、腸内環境が整っているかどうかはとても重要なポイントです。幸せホルモンと呼ばれているセロトニンは、気分を安定や睡眠の質に関わっています。セロトニンのレベルが適切に保たれていることは、自律神経のバランスを整えるために必要です。そのセロトニンは、実は9割が小腸で作られています。食事の内容ももちろん大切ですが、食べ方や食べる量などにもコツがあります。食べ物だけでなく、水分の摂り方にもご注目頂きたいです。

 

  • 生活習慣―14key words―

生活のなかのほんの小さな工夫が、私たちの調子を左右することもあります。たとえば、入浴する時間。体調を整えるのにとても重要になるのは、睡眠の質です。睡眠によってその日の疲れやストレスがリセットできれば、朝が起きられない症状や倦怠感などが起きにくい、タフな体に近づくでしょう。入浴する時間を眠る90分~120分前にすると、体が冷めていくタイミングで自然と眠ることができますし、深く眠ることができます。

 

  • メンタル―17key words―

心がすっきりとしていると、体調も良く感じることはありますよね。心と体は連動していますので、心のケアは体調を維持する上で欠かせません。自分の心を癒すアイテムはたくさん持っているに越したことはないでしょう。幸福な人の8割以上は趣味があると言われています。毎日仕事や学校、どうしても家事育児に追われてしまう方も多いと思いますが、気分転換やストレス発散のヒントを載せているのでぜひ参考にしてみてください。

 

タイプ別診断を使って自分に合った対処法を

今回のムック本では、A・B・Cのタイプ別診断と、タイプ別の対処法をご紹介しています。Aは体こわばりタイプ、Bは睡眠トラブルタイプ、Cはストレス過多タイプです。体こわばりタイプは、筋肉の過緊張や悪い姿勢が自律神経に負担をかけている方です。不調の方はデスクワークや運動不足などで筋肉が凝っており、骨格のゆがみが大きいことがあります。緊張しきった身体をほぐし、リラックスしやすい状態にすることで自律神経への負担を減らしていきましょう。

 

睡眠トラブルタイプは、睡眠の質の悪さや睡眠不足が心身の大きな負担になっているパターンです。休息がうまくいっていないと、それがストレスとなって自律神経にも大きな負担をかけています。反対に、自律神経の乱れが睡眠のトラブルを引き起こしていることもあります。たとえば、朝起きて日光を浴びる習慣をつけるだけでも、体内リズムをリセットして睡眠の質を高めることができます。

 

最後に、ストレス過多タイプ。これは、精神的なストレスが自律神経に負担をかけているパターンです。精神的にストレスを抱えていると、人間の体は生命の機器を感じるスイッチが入り、交感神経が過剰に優位にはたらきます。私たちの生活にメンタル面のストレスは付きものかもしれませんが、今日のストレスは今日のうちにリセットしておくと良いですね。メンタルのケアこそ十分すぎるくらいこまめに行うことをお勧めします。

 

参考:「不調にさよなら!自律神経を整える50のこと」



自律神経と骨格①背骨のつくり 

2024年5月10日 17:22更新
専門外来コラム


自律神経と骨格①背骨のつくり 

 

自律神経失調症外来や気象病外来、頭痛外来など、せたがや内科・神経内科クリニックの専門外来では、骨格のゆがみや背骨に着目して治療を行っています。自律神経が大きく乱れている患者さんや不定愁訴(原因がわからない体調不良)を抱えている方は、骨格のゆがみが目立つ方が多いです。骨格は、誰しも多少は歪んでいるものなのですが、ゆがみが強くなり体のバランスが大きく乱れていくと、頭痛やめまいなどさまざまな不調を引き起こす原因となります。骨格において特に重要なのは背骨です。背骨は骨格を構成するうえで軸となり、重要な存在です。しかし、私たちが生活している中で、背骨を意識する機会は中々多くはないのではないかと思っています。今回のコラムでは骨格と背骨について書いていきましょう。

 

  • 骨格の話

人間の体は200コ以上の骨でできています。骨格というのは、体にとって大切な土台です。骨は体を支えており、骨格を成すことによって複雑な動きを可能にしています。

骨格は軸骨格と付属肢骨格の2つに大別されています。軸骨格は頭蓋骨、背骨、肋骨、胸骨から成っており、体の中心を通る軸を作っています。一方で、付属肢骨格は四肢(両腕・両足・鎖骨・肩甲骨・骨盤など)で構成されており、軸骨格に四肢がくっついているようなイメージです。それらの中でも背骨は、軸骨格の主要な動きを作る重要な存在です

 

おまけになりますが、骨格系には、体を支える(支持)、動かす(運動)だけではなく、保護、貯蔵、造血という役割もあります。保護は頭蓋骨や胸郭に当てはまり、脳や内臓などを守っています。貯蔵というのは、骨の中はカルシウムやリン酸、マグネシウムなどを蓄えて血液の中の成分を調整しています。さらに、造血は骨髄に該当します。骨髄では赤血球や白血球・血小板などの血液が造られています。

 

  • 背骨のつくり

みなさんは、背骨と言ったらどこを想像するでしょうか?背中のあたりをイメージされるかもしれませんが、正確に位置を認識している人の方が少ないかもしれません。背骨は首から胸、腰、そしてお尻の部分まで繋がっています。

背骨というのは、医学・解剖学的に言うと「脊椎」という表現をします。首のあたりになるのが脊椎、胸のあたりが胸椎、背中・腰あたりが腰椎、その下が仙椎と言います。背骨は”1という呼び方をしますが、まっすぐ1本につながっているという訳ではありません。臼のような形をした小さい骨(椎骨)が縦に連なって構成されています。小さな骨と骨との間には椎間板というクッションの役割をしたものが挟まれています。一般的によく言う椎間板ヘルニアは、このクッション約の椎間板が飛び出てしまっている状態です。

 

背骨は頚椎、胸椎、腰椎、仙骨・尾骨が連なってできています。頚椎が7コ、胸椎が12コ、腰椎が5コ、仙骨(仙椎5コ)が1コ、尾骨が1コです。人間を横から見るとS字状のカーブを描くように重なっています。頚椎と腰椎は前にカーブ、それ以外の部位は後ろにカーブしてバランスを取っています。首の始まりの第一頚椎は鼻の奥あたり、背骨の一番下にある尾骨はお尻の割れ目の上のあたりです。意外と縦に長いですよね。

 

  • 背骨の役割

背骨は骨格の中心にあり、姿勢をつくるうえでも軸となります。「骨格がゆがむ」とは、背骨がS字状に標準的なカーブを描いた状態から、カーブが強くなる、カーブが弱くなる、前から見て横方向に歪む(側弯と言います)など、正常なカーブを描かなくなることです。そもそも背骨がS字にカーブを描いているのは、頭や内臓を支え、体が動いた時の衝撃を吸収するためです。人間の体には、重力がかかっています。頭の重さは5~6kg、その重さを背骨1本で支えなければいけないため、背骨が弯曲することによって体のバランスを保っています。

 

皆さんは「背骨の動き」を意識したことがあるでしょうか?赤ちゃんの動きを想像してみてください。人間は、赤ん坊の段階では背骨の柔軟性が高く、動きもしなやかです。背中が丸まったり反ったりしても、大人と違って痛みやケガが出にくいでしょう。しかし、年齢を重ねるようになると圧倒的に増えるのが、座っている時間です。学校や会社に通うようになると、うつむき姿勢や背中が丸まった状態で何時間も作業をするというような状況が容易に想像できますよね。このように悪い姿勢でいる時間が長くなると、骨格が歪んで姿勢が悪くなるだけではなく、その姿勢が癖になって固まってしまうので、背骨の動きもどんどん悪くなっていきます。運動の習慣が無い人は、前屈や後屈、側屈などの軽い伸びをするだけでも、体の動かしづらさを感じるでしょう。背骨が本来持っている役割も発揮しきれず、アンバランスになっていきます。

 

  • 骨格が歪んでいる患者さんの特徴

自律神経失調症や気象病、その他原因不明の不定愁訴などを抱えている患者さんは、背骨がゆがんでいるケースが大半です。診察をしていて特徴的なのが、首肩こりが酷いのにも関わらずその自覚が無いということ。自分ではそこまで酷いとは思っていないため、セルフケアができていない方が多いです。そして、立って目を閉じて頂くと、フラフラで立っていられないほどのこともあります。普段は目で補正をしているのですが、骨格がゆがんで左右差があると体のバランスを取るのが難しくなっているのです。これがめまいの原因にもなります。骨格が歪んでいると、さまざまな不調を引き起こすため、背骨のケアはとても大切です。

 



春に起こりやすい不調・寒暖差疲労②対策

2024年4月10日 21:01更新
専門外来コラム


春に起こりやすい不調・寒暖差疲労②対策

 

先月のコラムでは、春に起こりやすい不調や寒暖差疲労についてお話しました。今年の春は、2月は季節外れの暖かさになったものの、3月に入ると中々気温が上がらず、春にしては気圧の上下や雨が多かったように思います。桜の開花も遅れましたね。目まぐるしく変わる気候に、すでに体調を崩してばかりの方も多いかもしれません。今回は春の不調の対策について書いていきます。

 

  • 春の不調を乗り切るための対策は?

 

①不調の傾向を「なんとなく」把握する

春は本当に体調を崩す要素が多い季節です。体調が悪い時はさまざまな要因が重なっていることが大半ですが、気圧に弱い、寒暖差に弱いなど、人それぞれに傾向はありますよね。

自分の不調が何によって起きているのか、寒暖差や気圧、花粉など、自分が弱い気候変動やダメージを受けやすいストレスについて知っておきましょう。

 

たとえば寒暖差の影響を一番受けやすい方は、体温調節と冷え対策に焦点を置いた方が良いです。毎日欠かさずお風呂に入ったり服装に気を付けたりと、小さな工夫ができるだけでも体調への影響が変わってきます。また、気圧に弱い方は、気圧の予報を見てスケジュールを立てると体への負担を減らせるでしょう。

 

このように、ポイントなのは、自分の傾向を「なんとなく」把握するということです。あまり細かく考えてしまうと、環境の変化や不調に意識が行きすぎてストレスが増えてしまいますのでお勧めしません。「なんとなく」で良いので自分の取り扱いがわかってくると、不調がある中でも生活が楽になっていくと思います。

 

②寒暖差には服装調整と入浴で冷え対策

春の装いは華やかで素敵ですが、冬の装いから一転、急に肌の露出が増えたり薄手の生地の服になったりしますよね。確かに日中は暖かいので薄着で丁度良いこともありますが、夕方になると一気に冷え込むので、薄着のままでいると体が冷えてしまい寒暖差の影響をもろに受けてしまいます。

 

「服装の工夫でそこまで体調に影響するの?」と思う方もいるかもしれませんが、たとえば足首を出さないように工夫するだけでも体の冷え具合が違ってきます。冷えを我慢し続ける日々と、小さな冷え対策をつみ重ねた生活とでは、後々に感じる体調が変わってくるでしょう。

 

「首」をつく場所は太い血管が通っており、体の冷えに影響します。春の寒暖差で少し肌寒い時は手首・足首・首を冷やさないようにすると、体から出ていく熱が少なくて済みます。春はストールを1枚持っておくと便利ですね。

 

服装は冷えの予防に役立ちますが、もう一つ大切なのが入浴です。入浴は、1日に蓄積した冷えをリセットするイメージです。お風呂に入ることは、自律神経の調整、睡眠の質の向上、血流の改善、代謝のアップ、リラックスなどさまざまな効果があります。1日を頑張った最後にゆっくりお風呂に浸かることは当たり前のようで、心身の健康にとってとても有益な習慣ですよ。

 

③花粉症の方は我慢しすぎずに病院へ

そろそろピークを越してくる時期ですが、花粉症対策についてもご紹介します。花粉症の方は、毎日さまざまな症状が出ていると思います。花粉症で弱っている分だけエネルギーが消耗されているので、もちろん自律神経のキャパシティーも小さくなり、それ以外の不調も出やすい状態です。花粉症は薬である程度症状を軽くすることも可能なので、我慢しすぎずに早めに病院を頼ってみましょう。

 

④骨格のメンテナンスを習慣に

寒暖差疲労や気圧の上下により、自律神経は疲れきってしまっている状態です。みなさんは背骨の動きを意識したことがあるでしょうか?背骨は自律神経の通り道でもあるので、背骨のゆがみが少ないこと、背骨の柔軟性を高めることが、自律神経のはたらきにとって大切な2点です。背骨は姿勢の要となる存在で、背骨のゆがみが骨格や姿勢のゆがみをもたらします。以下、背骨のエクササイズをご紹介するのでぜひやってみましょう。

 

≪背骨の屈曲と伸展≫

※タオルを用意します。

ⅰタオルを横に長く持ちます。息を吐いて、みぞおちの辺りを思いきり凹ませるように背骨をC字に丸めます。両腕は前方向にパンチするように水平に保ちます。この時、呼吸は止めないこと。また、肩は力んで上がらないように力を抜きましょう。

 

ⅱ今度は息を吸って、手はバンザイをするように上へ。胸を開き背骨を少し反らせて伸びを感じましょう。

 

ⅰ、ⅱの動きを10回ほど。無理のない範囲で行いましょう。お腹の力が抜けてしまうと腰を痛めてしまう可能性があるので、ご注意ください。

 

≪背骨の側屈≫

タオルを横に長く持ちます。両腕を上げた状態で息を吸い、吐きながら右に体を傾けます。左の脇の下あたりが伸びるのを感じながら、背骨が上と下に引っ張られている感じも意識して傾けましょう。元に戻ったら今度は左も同様に行います。左右10回繰り返しましょう。

 

⑤寒暖差腰痛の対策

寒暖差腰痛についてもお話しました。

 

https://youtu.be/7Goh8G1EU1s?si=um5JRt3qexZq4jjc

 

提携先の賀来大樹さんの動画でも腰痛の対策について発信されていたので、ここにも載せておきます。寒暖差に限らず腰痛で悩まれている方は多いと思います。ぜひ参考にしてみてください。



春に起こりやすい不調・寒暖差疲労①

2024年3月12日 14:06更新
専門外来コラム


春に起こりやすい不調・寒暖差疲労①

 

今年度も終わりに差し掛かってきました。気温も少しずつ上がり、日差しの暖かさを感じるようになってきたと思います。春になると卒業式や入学式などの行事や、桜も咲き始めるのでお花見、おでかけなどの行楽イベントも増えますよね。せっかくなので元気に乗り越えたいところですが、春は寒暖差や気候変動が激しかったり花粉が飛んだり。自律神経が乱れやすく、体調にも負担のかかる季節でもあります。

今回のコラムでは、春に起こりやすい不調の特徴についてご紹介していきます。

 

  • 春の気候の特徴

春の気候は、何と言っても寒暖差が大きく変化が起きやすいです。季節の変わり目なので、1日の気温差が大きいだけでなく、日によって冬に戻ったり夏寄りの気候になったりと、目まぐるしく気候が変動します。そして、風が強く空気が乾燥しています。昨年の春は「春の熱中症」が特集されていたくらいなので、目ぼしがつきにくい季節です。

 

暖かいと思ったら寒さを感じて体が冷えたり、乾燥で目や喉の調子が優れなかったりします。気圧も安定しないので、季節に体が馴染むまでが大変です。また、暖かさを感じる頃からスギ花粉や黄砂が飛び始めるので、気温、気圧、湿度、花粉など、さまざまな要因が重なると、心身にかかる負担が大きくなります。

 

  • 春に起こりやすい不調は?

①寒暖差疲労・寒暖差アレルギー

寒暖差疲労とは、気温差によって起こるさまざまな不調のことをいいます。具体的には、疲労感、倦怠感、首肩こり、冷え性、咳や鼻水などのアレルギー症状、メンタルの不調などがあります。春は寒暖差が大きいので、専門外来でも、ぐったりと疲れてしまったり、なんとなく調子が出ないという方が増えてくる印象です。

 

人間の体は、どんな環境にいてもおよそ36℃~37℃くらいの平熱で保たれています。外の気温が上下した時は、環境の変化に対応するために自律神経が体温を調節するようにはたらきます。そのため寒暖差が続くと、体温を一定に保つために自律神経がたくさんはたらかなければいけないので、エネルギーが消耗されてしまいます。

 

②花粉症

春は花粉の季節ですね。3月はちょうどスギ花粉のピークに値する時期でしょう。花粉症は、花粉によって引き起こされるアレルギー症状のことを指します。症状は、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどです。喘息やアトピー性皮膚炎につながることもあります。一般的には、スギ花粉・ヒノキ花粉による花粉症が多いです。人によってはブタクサやヨモギ、イネ科の植物など秋に飛散する花粉で症状が出る方もいます。

 

最近では、モーニングアタックと言って、朝早くの時間に花粉症の症状が強く出やすいことがわかっています。ウェザーニュースさんの調査によると、花粉症が辛い時間は、1位が14時頃、続いて2位が6~8時頃となっています。

朝目覚めたときは、副交感神経が優位な状態から、交感神経が優位な状態に切り替わる時間です。交感神経にスイッチが入るタイミングなので、鼻が刺激に過敏になっている時間帯でもあります。花粉を始め、布団や室内のハウスダストなども混ざって吸い込むことで花粉症の症状が出やすいです。

 

③メンタルの不調

自律神経はとにかく「変化に弱い」という性質を持っています。春は気候だけではなく、年度末・年始始めということもあり、卒業や転職、入学や就職、引っ越しなど環境の変化も大きいシーズンです。つまり、とても自律神経が乱れやすい状況にあります。また、寒い季節は交感神経が優位にはたらく量が多くなりやすいのですが、春になって急にあたたかさを感じるようになると、全体的に、日中でも副交感神経の活動が増えます。すると、心身にスイッチが入りにくくなり、怠さや元気の無さを感じやすくなります。

 

自律神経が乱れると心の面でも不安定になりやすいので、さまざまなストレスが積み重なって対処しきれなくなってくると、メンタルの不調も出てきます。感情がコントロールできない、無気力になってしまった、などという方は、心の問題だけでなく自律神経にも目を向けて対策をしてみましょう。

 

④肌トラブル

寒暖差や乾燥による肌へのストレスや、紫外線、花粉・黄砂などの刺激などによって、春は肌にとっても辛い季節です。自律神経が乱れていると、体の免疫機能が正常にはたらくことが難しくなり、肌荒れなどの肌トラブルが生じやすくなります。肌の調子は体の外側・内側どちらからもケアできるように意識した方が良いでしょう。

 

⑤腰痛

最近、寒暖差の影響で痛みが出る方が増えています。「寒暖差腰痛」と、呼ばれているようです。暖かいと何となく体の緊張が抜けていると思いますが、寒くなると体が縮こまりますよね。寒暖差に合わせて緊張したり緩んだりを繰り返すと、不意のタイミングで腰を痛めやすいです。特に今年は、寒暖差腰痛を訴える方が多くなっています。

 

自律神経は体温調節をするのに重要なはたらきをしており、寒暖差が大きい季節には自律神経が酷使されて乱れやすくなります。自律神経が乱れると、血流が悪くなるので冷えにつながります。血管が収縮し、筋肉が硬くなることによって末梢神経という神経が圧迫され、腰痛を引き起こすこともあるでしょう。特に日本は座りっぱなしの姿勢で過ごしている人が多いです。座っている方が腰への負担が大きくなるので、デスクワークの方は立ったり歩いたりする時間を積極的に取っていきたいものですね。

春は明るいイメージがありますが、健康面で考えると少し負担の大きいシーズンです。

「なんとなく」の不調がある方も、しっかり対策をして元気に過ごしたいですね。対策については次回のコラムでご紹介していきます。

 



寒暖差疲労の基本知識

2024年2月25日 23:01更新
専門外来コラム


≪寒暖差疲労の基本知識≫

 

最近は寒暖差が大きく、春めいてきたり極寒になったりと、季節がわからないような気候が続いておりますね。今年度は特に、年間を通して寒暖差が大きくなることが多かったと思います。ここ2~3年では「気象病」や「低気圧不調」などの気圧変動による体調不良が注目されるようになりましたが、少し遅れて「寒暖差疲労」というワードも広まりつつあると感じています。寒暖差による不調は今まではあまり知られていませんでした。しかし最近では取材を受ける回数も増え、少しずつ認知されてきているのではと思っています。

今回は寒暖差疲労の基本的な知識について書いていきます。

 

  • 寒暖差疲労とは?

寒暖差疲労とは、気温の変化が原因で生じるさまざまな不調を言います。寒暖差というのは、1日のうちの最高気温・最低気温の差、前日との気温差、1週間単位での気温差、室内外(冷房の効きすぎた部屋やお風呂場など)での気温差などが当てはまります。目安ではありますが、1日の気温差が7℃以上になると不調が出やすいです。

 

寒暖差は私たちの体にとって大きなストレスであり、自律神経にも負担がかかります。そのため、体が寒暖差に適応しようとエネルギーを消耗、疲労が蓄積し、疲労感・倦怠感などを中心とした不調が出ます。寒暖差疲労以外にも、寒暖差アレルギーと言い、鼻水・くしゃみなどのアレルギー症状が出るものもあります。

 

  • どんな症状?

気温差が大きくなると、自律神経が乱れます。寒暖差疲労の症状は、疲労感・倦怠感・だるさ、首肩こり、冷え、皮膚のかゆみ、めまい、気分の落ち込みなど様々あります。人によって出やすい症状が変わってくるので、寒暖差が原因であることに気づきにくいのも特徴です。

 

外気の激しい気温差により、体内の温度調整がうまくいかなくなっている状態なので、「顔は火照っているのに手足やお腹が冷えてしまっている」といったような現象が起きやすいです。冷えは万病の元というように、体が冷えてしまうと他の不定愁訴も連動して起こりやすくなります。不調が連鎖してしまうと辛いですよね。

 

寒暖差疲労と類似して、寒暖差アレルギーというものもあります。寒暖差アレルギーの症状は、くしゃみ、鼻水・鼻づまり、咳などです。この時期だと花粉症と間違われてしまうことも多いですが、花粉症とは違って目の症状(目のかゆみや充血など)が出にくいです。正式名称は血管運動性鼻炎と言います。

 

  • 気をつけたい季節とシチュエーション

寒暖差が大きくなり、不調を感じやすいのは春・秋です。しかし最近では「季節外れの○○」という天候ばかりなので、1年中気にかけておいた方が良いかもしれませんね。

寒暖差の影響を受ける気温差の目安は7℃以上です。特に、暖かさ・寒さの両方を体感するような気温差が生じると、より寒暖差の影響を受けやすいと思います。どういうことかと言うと、同じ8℃差の日があった時、「8℃(最高気温)と0℃(最低気温)の日」・「20℃(最高気温)と12℃(最低気温)の日」では、後者の方が寒暖差を感じやすいということです。服装を変えなければいけないほどの差があるときは、寒暖差が大きいと考えた方が良いでしょう。

 

  • 対策

①規則正しい生活

自律神経にとって、不規則な生活ほどダメージが大きいものはありません。自律神経の乱れで体を壊してしまう方は、交代制勤務のお仕事、働きすぎ、運動不足などが多いです。自律神経に負担のかかる生活をしていると、その分寒暖差による負荷にも弱くなってしまいます。基本的なことなのですが、規則正しい生活は丈夫な自律神経でいるためにはとても大切な習慣です。朝起きて日光を浴び、日中は適度に動き、夜になったら寝る、そして栄養バランスの良い食事を腹8分目、ストレスを溜めすぎず十分な休息を取る、といったように基本を意識してみましょう。

 

②脳腸相関

脳と腸が互いに影響し合っていることを、「脳腸相関」と言います。免疫系、内分泌系、神経系を介して、脳と腸はさまざまな情報交換を行っています。

腸の調子が良いと、その情報が脳に届くので、身体や心の調子も良くなるという訳です。腸が健康でいられれば、お腹の調子が良いだけでなく、自律神経をはじめ、心身のバランスも整っていきます。

ヨーグルトや味噌、納豆などの発酵食品などを取り入れる習慣がつくと、お腹も心も喜んでくれます。  

即効性はないですが、続けていくと効果が出てきやすくなります。

 

③体温調節のできる服装

寒暖差が大きいと、朝晩と日中では適切な服装が変わってきます。無理して同じ服装でいると、昼間にのぼせて具合が悪くなったり、朝晩の冷え込みで体を冷やしてしまったりすることになります。寒暖差の大きいシーズンは、簡単に脱ぎ着できる服装を選ぶことを優先しましょう。また、汗を吸いやすい生地の服にすると、尚のこと快適に過ごせると思います。最近の天気予報では、気温に合ったおすすめの服装などが紹介されていますよね。何を着ようか迷った時は天気予報を参考にしてみてください。

 

④入浴で首まで浸かる

私は、寒暖差疲労の対策として入浴を推奨しています。入浴は日本人にとっては身近で当たり前のような習慣ですが、入浴にはさまざまな健康効果があります。寒暖差疲労では、体が冷えたりのぼせたりすることで、体内の熱の分布がおかしくなってしまっています。そこでお風呂にゆっくり浸かると、冷えて滞った血流が良くなり、全身が温まります。1日の冷えがリセットされているようなイメージです。

 

毎日シャワーで済ませてしまう人と、夜にお風呂に浸かってからぐっすり眠る人とでは、自律神経や冷えの面でも健康効果に大きな差が出ます。そして、「首まで浸かる」というのもポイントです。首には重要な神経がたくさん通っているので、自律神経を整えるのに大切な部分です。首を温めることでさらにリラックスができ、首肩こりも楽になります。

 

⑤首のストレッチ

最後に首のストレッチです。私たちの日常生活は基本的に下を向いている時間が長く、首に大きな負担がかかっています。そのため、日頃から首のストレッチを行ってケアをしてあげることが大切です。

※まずは長めのフェイスタオルを用意しましょう。

 

≪1≫両手でタオルを横に長く持つ。

 

≪2≫顔は正面を向いて、タオルの中心が首の付け根あたりに引っかかるように、ポジショニング。

 

≪3≫顔をやや上方向に向けて、タオルを持った両手は上向きに軽くテンションをかける。気持良いと思う程度の力で大丈夫です。このまま10秒キープ。呼吸は止めないこと。

 

≪4≫今度は下を向いて、タオルを持った手もやや下向きに力を入れる。こちらも強く引っ張り過ぎないこと。これも10秒キープ。

 

≪1≫~≪4≫を2・3セットほどできると良いと思います。

首は繊細な場所なので、くれぐれも力の入れすぎにはご注意ください。タオル1本で簡単にできるのでぜひやってみましょう。



自律神経失調症専門外来の提携トレーナー:賀来大樹さん

2023年12月3日 20:13更新
専門外来コラム


 

自律神経失調症専門外来の提携トレーナー:賀来大樹さん

 

今年は寒暖差が大きく、なかなか楽に過ごせるシーズンが少なかったですね。

久しぶりの専門外来コラムですが、今回はいつもとは違う内容を。

ある方のご紹介をしようと思います。

 

せたがや内科・神経内科の自律神経失調症外来・気象病外来・肩こり・首こり外来では、パーソナルトレーナーさんと提携して治療を行っています。患者さんの治療を行う上で大変力になって頂いているのが、賀来大樹(かくだいき)さんです。スタジオrenatoの代表をされています。今までは非公開だったのですが、彼がyoutubeで発信を始めてくれたので、ここでもご紹介しようと思います。

 

気象病ハンドブックの後半にあるセルフケアの監修をしてくださった方です。

 

自律神経の不調や原因不明の体調不良でせたがや内科・神経内科を受診されている方は、骨格の歪みや筋肉の凝りが目立ちます。レントゲンを撮ると、反り腰や猫背、ストレートネック、側弯(背骨が横に曲がっている)などを持っている方が大半です。

 

骨格の歪みが少なからず不調に影響を与えているので、すぐに骨格の矯正でもできたら良いのですが、残念ながら今の医療では、骨格の歪みそのものを治す手段が存在しません。

 

私の話になりますが、開業当初は、私自身が患者さんにストレッチや運動の指導をしておりました。しかし、それだけでは「根本から治すことができない」という壁にぶつかり、整骨院や鍼灸、理学療法、カイロなどの専門家と連携してみましたが、患者さんの不調が完全に無くなる訳ではありませんでした。症状は大きく改善はしますが、しばらく経つと戻ってしまうという傾向がありました(戻る割合が多かったのです)。

 

そこで、パーソナルトレーナーである賀来さんとの出会いが大きな転機となります。パーソナルトレーナーのお仕事は、アスリートなどのパフォーマンス向上や、クライアントのボディメイク、健康増進など多岐に渡りますが、賀来さんには、運動療法と称して患者さんの骨格のコンディショニングを主にお願いしています。

 

運動療法の中には、皆さんがご想像するようないわゆる筋力系のトレーニングもありますが、それだけではなく、ピラティスや整体なども手段の一つとして取り入れているようです。

 

運動が体にとって良いことだ、というのは1人の人としても医師としても知っていたつもりでしたが、彼と出会ってから、運動が思っていたよりもずっと奥が深く繊細な領域だと知りました。患者さん一人ひとりの症状に合わせて治療を行うように、運動にも一人ひとりに合わせた処方のようなものがあるのですね。詳しくは気象病ハンドブックのコラムに書いていますのでぜひ。

 

医師としては、患者さんを問診や不調の全体像を把握、レントゲンや他の検査で骨格を評価、お薬が必要な場合は薬の処方、などをしています。私が呼吸の方法や簡単なストレッチ、生活習慣などの指導をして、改善がどうしても難しい場合は、賀来さんにご紹介することになっています。

 

彼がみることのできるお客さんの枠が少ないため、正直、患者さん全員をご紹介するのが難しい状況でした。今回動画で発信をされるというお話を聞いて、今までより多くの患者さんに正しいセルフケアの方法を届けられるようになることがうれしいですね。

 

私自身も賀来さんに身体をみて頂いているのですが、おかげで首肩こりや身体の不調がリセットされ、山積みの仕事をなんとかこなすことができています。

 

***

 

動画の概要です。

 

第1回のテーマは

「ストレートネックや肩こり等の不調が治らない理由と7つの改善エクササイズ」

 

せたがや内科・神経内科にも首肩こり外来があるように、肩こりに悩んでいる方はたくさんいると思います。肩こり対策の本や動画も数多く発信されていますよね。

色々試してみるものの、みなさんの中には「一時的にしか効果が無かった」、「あまり良くなった感じがしない」、という経験をされたことがある方は少なくないと思います。

 

「筋肉の凝り=ほぐす」という印象があるかもしれません。しかし、肩が凝っているからと言ってただストレッチだけをすればよい、という訳ではないのが実情です。(私もこれを知った時には驚きました。)

 

人によって原因がさまざまなので、根本を解決するためには、まず自分の心身の状態を把握することが大切です。それを評価と呼んでいます。自分の身体がどれだけ動くのか、どれだけ身体が緊張しているのかなど、意外と知らないものですよね。

 

この動画では、肩こりが中々治らない原因や、簡単な評価の方法が紹介されています。自分の身体を知っていくことから始めましょう。

 

個人的には、さまざまな根拠が説明してあり、骨格の絵や矢印がわかりやすいので、「なぜこの不調にこの運動が良いの?」という疑問を持たれている方にぜひお勧めしたいです。

クリニックにいらした患者さんにも、セルフケアの参考としてお勧めしていこうと思います。



気象病とアロマ

2023年1月19日 22:29更新
専門外来コラム


⑪気象病とアロマ

 

今回は気象病とアロマのお話です。

気象病や自律神経の不調にアロマが効果的なのはご存じでしょうか?

気象病は、気圧や気温・湿度などの変化によりさまざまな不調を引き起こします。気象変化が大きいと、それに合わせるように自律神経も乱れ、心身ともに調子が上がりづらいです。頭痛やめまい・倦怠感などの症状に加えて、気分が上がらずに寝込んでしまう方も少なくありません。

 

対処法や予防法はたくさんありますが、アロマは手軽に取り入れられるセルフケア方法の一つです。アロマには、体のバランスを回復させて心身をリフレッシュ・リラックスする効果があります。自律神経系・ホルモン系・免疫系を全体的に整えてくれるため、日々の健康維持や、生活を豊かにするアイテムとして、知っておくと良いですね。

 

・アロマオイルの持つ力

現代医学との違い

現代医学による投薬治療は、病気の治療には無くてはならないものですよね。しかし、薬というのは人工的で、作用が単一的です。一つの標的に対して集中的にはたらく強さがあるため、効果は大きいのですが、「必要な時に必要な分だけ」という使い方が理想です。

 

一方で、アロマは天然由来です。自然のものであるため、体にも容易に代謝・吸収されますが、それゆえ体内に残る時間も短いです。薬のような劇的な効果は見込めないかもしれませんが、薬よりも多様な成分が含まれているため、作用が全体的です。そのため、アロマは自律神経やホルモン・免疫系をバランスよく整えるのに適しており、日々の生活に継続的に取り入れることができます。

 

≪香りによる情報伝達≫

薬にはないアロマ特有の作用が、「香り」です。香りの情報は、嗅神経を通じて、自律神経をつかさどる視床下部・大脳辺縁系に伝わります。香りそのものによって、自律神経に関わる部分に作用し、ホメオスタシスを高めることができます。その結果、自然治癒力が上がります。

 

また、香りには、心に作用して記憶に残す力もあります。心と体はつながっているため、気象病で自律神経が乱れていると、どちらの調子も悪い方向へ向かいやすいです。そこで、心と体のバランスを整え、私たちをリフレッシュ・リラックスに導くのが香りの力です。自分の体調や好みによって精油を変えられるのも、良いポイントだと思います。

 

・アロマオイルと自律神経の関係

アロマの強みは、嗅覚を通して直接脳に作用する点です。アロマオイルの香りは、鼻から、

鼻の奥の鼻粘膜という場所を通過し、脳にたどり着きます。脳の中では、大脳辺縁系→偏桃体→視床下部の順に香りの情報が伝わり、自律神経系や内分泌系(ホルモン)、免疫系にはたらきかけます。

 

自律神経はストレスの影響を多く受けています。ストレスというのは、精神的なストレスから始まり、不規則な生活習慣や肉体的な疲労、環境条件など幅広く存在しています。気圧変化や寒暖差などの気象変化も立派なストレスの一つですよね。

自律神経は、脳の視床下部という場所が司令塔になり、心身のバランスを保っています。そのため、アロマの香りを通じて直接脳に情報が届くと、自律神経のコンディションを整え体と心の調子を改善することにつながります。

 

アロマは香りを鼻から楽しむ印象がありますが、一方で、皮膚に付けて吸収することもできます。皮膚に精油を塗る場合、精油の成分は直接皮膚から血流へ行き、同時に鼻から血流へ行き、体内に取り込まれます。また、「触れる」という行為は自律神経に良いため、ゆっくりと優しいタッチングをすることで、愛情ホルモンであるオキシトシンの分泌を促し、心と体が安心します。安心は、心身をつかさどっている自律神経にはとても大切な要素です。

 

・気象病に効果的なアロマブレンド

 

日本アロマ協会(AEAJ)によって考案された、「気候別のアロマブレンド」というものがあります。今回は、雨の日用のブレンドをご紹介します。

 

雨の日は副交感神経が優位になり、心身が休息モードになるため、体がだるくなったり元気が出ない傾向にあります。そこで、交感神経を優位にし、やる気をアップさせてくれる効果のあるオイルを選ぶと良いでしょう。

 

雨の日ブレンド:グレープフルーツ+スイートマジョラム

グレープフルーツ:

グレープフルーツには、交感神経に働きかけて血流の増加や気分を向上させる作用があるため、作業の効率が上がるでしょう。心に軽やかさをもたらし、リラックスというよりはリフレッシュしたい時に推奨されます。

 

スイートマジョラム:

スイートマジョラムは消化器をサポートするハーブで、昔からよく料理に使用されてきました。肉体的にも精神的にも温める作用があり、肉体的には冷えやむくみ、肩こり、消化器症状を改善し、精神的には緊張を緩和して孤独や悲しみを癒すと言われています。

 

・初心者の方はラベンダーから

ラベンダーは、リラックスの代表と言われており、万能でスタンダードな精油です。「アロマに慣れていなくてどの精油を選んで良いかわからない」という方にお勧めしています。ラベンダーは心身をバランスの取れた状態にするため、日常使いや、眠れない夜などに使うと良いでしょう。

 

・その他気象病・首肩こりに効果的な精油

バジル:疲れや痛みに効果があります。気象病による片頭痛・消化器の不調などがあるとき、自律神経の調整作用により心身をリフレッシュさせてくれます。

 

レモン:血流が良くなり、心身に爽快感をもたらしたり、集中力があがったりします。気象病や首肩こりなどで気力も体力も滞ってしまう時に、すっきりできる精油です。

 

イランイラン:バランス力が一番と言われている精油です。神経を落ち着かせて緊張や不安を軽減します。ストレスが溜まっていると感じる方は試してみると良いかもしれません。

 

参考文献

川口三枝子.「すぐ使えるアロマの化学 自律神経系 ホルモン系 免疫系の不調を改善!」BABジャパン.2020

 



気象病③ 寒暖差疲労・寒暖差アレルギー

2022年11月26日 13:02更新
専門外来コラム


気象病③ 寒暖差疲労・寒暖差アレルギー

 

最近は急に寒くなったり、突如ぽかぽか日和になったりと、1日の間や前日との気温差が大きくなっています。寒暖差疲労専門外来では、10月・11月にかけて、寒暖差による不調を訴える患者さんが多かったです。今年は特に患者さんが2倍ほど増えており、テレビや雑誌などの取材も例年以上と感じております。「寒暖差疲労」という言葉も少しずつ広まってきていますね。一般的には、気象病は低気圧(気圧の上下)のイメージがありますが、気温の上下、つまり寒暖差で起こる不調も気象病に当てはまります。

 

寒暖差疲労とは?

急激な気温の変化が繰り返されると、体温調節をするために自律神経の乱れが激しくなります。自律神経は心身の働きに関与している重要な神経であるため、自律神経が酷使されると心身のエネルギーも消耗されます。それによって疲労感・倦怠感、頭痛、冷え性、首肩こりなどの不調が生じることを「寒暖差疲労」と言います。

 

寒暖差には、以下の3つのパターンがあります。

 

①1日のうちに起こる最低・最高気温の差

②前日と当日、週単位での寒暖差

③室内外の寒暖差(冷暖房・電車なども)

 

寒暖差は常に生じていますが、基本的には7℃以上の温度差があると不調が出やすくなります。春や秋は1日の気温差が10℃以上になることも少なくないので、注意が必要です。症状のうち最も訴えが多いのは疲労感・倦怠感、次は冷え・首肩こり、その次は頭痛・めまいです。

 

・寒暖差アレルギー

急激な気温差によって、アレルギーのような症状が出ることもあります。具体的には鼻水、鼻づまり、咳、くしゃみなど、アレルギー性鼻炎によく似ており、これを「寒暖差アレルギー」といわれています。

自律神経は血管の拡張・収縮に関係しているのをご存じでしょうか。鼻にたくさん通っている毛細血管が、気温差の大きい環境に対応しきれず血管の調整がうまくいかないため、症状として現れます。また寒暖差に限らず、季節の変わり目は気候の変動が激しく気道が過敏になりやすいので、呼吸器が弱い方や喘息持ちの方は調子が悪くなりやすいです。今年は、寒暖差による鼻水や咳などの風邪・アレルギー症状を訴える方が多かったです。

 

・気温の変化と自律神経の関係

人間の体温は、外の気温に関係なく36℃37℃程度で一定に保たれています。これは、外気温の変化に応じて体の熱を産生していたり、逆に熱を放出したりして体温を調節しているためです。寒さや暑さは皮膚を通して感じますよね。その情報は脳の視床下部という場所の体温調節中枢に伝えられ、自律神経系や内分泌系、体性神経系を介して熱の産生と放出のバランスを取っています。ホメオスタシスを維持するために自律神経が微調整を担当して体温調節しています。

 

たとえば気温が上昇して暑さを感じると、以下の現象が起こります。

 

副交感神経による血管収縮能が抑えられ、血管が拡張して、皮膚表面での熱交換が行われる。

それで体温上昇に対応的ない時には、発汗が起こる。発汗時の気化熱にて、体温を下げる。

「発汗=水分の排泄」となるため、バソプレシン(詳しく調べる)というホルモンが増え、尿排泄量が減る。

 

**

 

反対に、気温が低下して寒さを感じた時は、以下の通りです。

 

交感神経により皮膚の血管が収縮、体表から熱が逃げていくのを防ぐ

交感神経の作用により、副腎皮質ホルモン(アドレナリン)、甲状腺ホルモンの分泌が増える

内臓で熱が作られる(新生児の場合は褐色細胞組織での熱産生も高まる)

「ふるえ」を起こして熱の産生を増やす

 

 

寒暖差が大きいと、上記の微調整を繰り返す必要があり、自律神経が乱れやすくなります。

 

・寒暖差に対するセルフケア

 

寒暖差が大きくなると、日中は暖かいですが朝晩は冷え込みが強まりますよね。体が冷えると、血流が悪くなり、体の機能が低下してさまざまな不定愁訴が出やすくなります。寒暖差によって外気が寒くなったときは、必要以上に体を冷やさないことが大切です。

 

自律神経に効果的な入浴法

体を温めるための基本は、入浴でゆっくり体を温めることです。夏はシャワーで済ませてしまう方も多いと思いますが、秋に向けてお風呂に入る習慣をつけてみましょう。冷え性や自律神経の不調をお持ちの方、女性などには、エプソムソルトや炭酸風呂などをお勧めしています。

エプソムソルトにはマグネシウムが多く含まれており、リラックス効果や筋肉を緩める作用が、緊張した体をほぐしてくれます。マグネシウムは皮膚からの吸収が良いため入浴剤でも効率よく体内に取り込むことが可能です。自律神経の不調を抱える方には手軽に取り入れてみて頂きたいものの一つです。一方、炭酸風呂は、炭酸ガスが吸収されることで血管が広がり、体温が上がります。こちらも血行が良くなるので冷え対策に役立ちます。

 

お風呂に入っているときは、首まで浸かり、余裕があればふくらはぎや鎖骨下のマッサージをすると良いと思います。もちろん、ぼーっとリラックスしても大丈夫です。首には人間にとって大切な大きい血管や自律神経の通り道があります。首を温めて首肩こりを改善すると、全身の血流アップにつながりますし、自律神経のケアができます。

たとえば頚椎1番(首の付け根・耳や鼻と並ぶ位置にあります)を意識して「うん、うん」と頷くように首を縦に動かす(1020回ほど)、次に頚椎2番を意識して横に首を振るように動かすと(同じくらいの回数)、普段は固まりやすい首の骨や筋肉の動きがよくなり、凝りが改善します。頭痛予防にもなるので、お風呂で時間のあるときにやってみましょう。

 

服装の工夫

寒暖差に応じた衣服の調整は、一般的にも言われていることですが、ポイントを知っておくとより効果的に体温調整できると思います。私がおすすめしているのは、マフラーやネックウォーマー、レッグウォーマー、腹巻・ホットパンツの3つです。太い血管の通り道である首・手首・足首、内臓が集中しているお腹を冷やさないようにしましょう。3つの中で意外と薄着になっている場所が足首です。足首が硬い方や足首を露出した恰好をすることが多い方は、冷えを引き起こしやすいです。デスクワークが多い方はぜひレッグウォーマーも活用してみましょう。

 

体が冷えすぎている方は、冷え症状と一緒にのぼせの症状も出る場合があります。「冷え性なのにのぼせもある」という方は、体の芯は冷えているのに頭や体の表面だけが暑くなっている方が多いです。のぼせてしまった場合は、頭や頬、手のひらなどを一時的に冷やすと、こもった熱が出ていきます。

参考:鈴木郁子(編著).やさしい自律神経生理学 命を支える仕組み.中外医学社.2015

 



1 / 512345

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Blogメニュー


▶Blogトップ

アーカイブ