専門外来コラム



自律神経のしくみ②:交感神経と副交感神経

2022年1月11日 20:53更新
専門外来コラム


自律神経のしくみ:交感神経と副交感神経

 

こんにちは。前回の専門外来コラム「自律神経のしくみ」では、自律神経はそもそも何なのか?という点に注目して書きました。

 

自律神経は、内臓や血管などのはたらきを24時間、休まず自動的に調整してくれるシステムです。その自動的なシステムは、交感神経と副交感神経がバランスよくはたらくことによって成り立ちます。

 

今回は、交感神経と副交感神経のふしぎについて書いていきます。

 

  • 自律神経は2種類で構成されるー交感神経と副交感神経ー

 

自律神経は、交感神経と副交感神経がバランスよくはたらくことで機能しています。

 

どんなに暑くても寒くても、私たちの体温が36℃~37℃の範囲で一定に保たれていますよね。このように、体内の環境は、ある一定の範囲の状態に保てるようにつくられています。これを恒常性(ホメオスタシス)と言います。

 

自律神経はこの恒常性を保つために必須のシステムです。

交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキ。お互いがシーソーのようにバランスを取りながらはたらくことによって、体の状態を良いコンディションに保っています。

 

交感神経と副交感神経は24時間365日はたらいています。どちらか一方だけのスイッチが入っている訳ではありません。そのため、交感神経のはたらきが強いときは「交感神経が優位」、副交感神経の方が強くはたらいているときは「副交感神経が優位」と表現します。

 

  • 交感神経のはたらき

 

交感神経の役割

 

交感神経は、体と心が「興奮モード」のときに優位にはたらきます。たとえば、運動をしているときは心臓の鼓動が速くなったり血圧が上がったりしますよね。それ以外にも以下のようなはたらきがあります。

 

・脳血管を収縮させる

・瞳孔の拡大、涙の分泌を抑制する

・唾液が出づらくさせる

・気管支を拡張させる

・心拍数を増やす

・消化を抑制する

・排便・排尿を抑制する

・(暑い時など)汗を分泌して体温を下げる

・(寒い時など)鳥肌を立てて熱を発生させる

・末梢血管を収縮させる

 

交感神経が優位なときに出やすい症状

 

・頭痛(緊張性頭痛)

・眩しさ、目が乾く

・口が乾く

・動悸、息苦しさ

・便秘、下痢

・胃痛、腹痛

・体温調節がしづらい(熱がこもる)

・過緊張、首肩こり

 

交感神経が過度に優位になると、アクセル全開になりすぎるため不調につながります。慢性的にストレスがかかっていると、交感神経を優位にしてがんばるしかありません。その代償に、首肩こりや頭痛、動悸など、上記の症状が発生します。

 

交感神経のスイッチが入るタイミングは?

 

・日中

・興奮したとき

・驚いた時

・ストレスを強く感じたとき

・緊張したとき

・不安を感じているとき

・危険を感じたとき

 

私たちは人間活動をするために、本来は日中に交感神経のスイッチが入るようにできています。日常生活はストレスで溢れていますよね。交感神経は悪いものではありませんが、私たちの生活の中には交感神経のスイッチが入れる要素がたくさん潜んでいることを、頭の片隅に入れておきましょう。

 

  • 副交感神経のはたらき

 

副交感神経の役割

 

副交感神経は、体と心が「お休みモード」のときに優位にはたらきます。リラックスしているとき、体の力が抜けて脈がゆっくりになるのはこのためです。その他にも、副交感神経は「消化」のときに優位にはたらきます。心地よい環境でゆっくり食べた方が消化に良いのは副交感神経のおかげです。

 

・脳血管を拡張させる

・瞳孔を収縮させる

・サラッとした唾液を出す

・気管支を収縮させる

・心拍数を減らす

・消化を促進する

・排便・排尿を促進する

 

副交感神経が優位なときに出やすい症状

 

副交感神経はリラックスの印象が強いので「体に良いもの」と思われがちですが、副交感神経のはたらきが強すぎたり、適切なタイミングではたらかなかったりすると、不調の原因になります。

 

・頭痛(片頭痛)

・涙が出る

・徐脈(脈が遅くなりすぎる)

・だるさ・朝起きられない

 

副交感神経のスイッチの入るタイミングは?

 

・眠っているとき

・リラックスしているとき

・食後にゆっくりしているとき

・癒しを感じたとき

 

夜になると眠くなるのは、副交感神経のスイッチが入るようにできているからです。「規則正しい生活をしましょう」とよく言われますが、これは「人間に備わっている自律神経のリズムを乱さない生活」という意味になります。夜勤や当直、昼夜逆転の生活が体によくないのはこのためです。

 

  • 大切なのは交感神経・副交感神経のバランス

 

交感神経・副交感神経の2つはどちらがいいという訳ではなく、両方がオン・オフになり、状況に応じてバランスよく切り替わる状態が理想的です。

 

日中、学校の授業や仕事に集中したい時には交感神経が優位になって「興奮モード」にならなければ活動ができません。夜、ぐっすり休んで疲れを取るためには「お休みモード」になることが必須ですよね。

 

しかし、ストレスがかかって慢性的に緊張状態になると、夜も「興奮モード」がはたらいてしまいうまく休むことができません。これが積み重なると、自律神経のバランスが乱れてスイッチの切り替えが上手くいかず、不調につながるのです。

 

  • 自律神経のはたらくルートと脊椎(背骨)の位置

 

交感神経と副交感神経では、体内の通るルートが違うのを知っていますか?

交感神経は脊髄の外側から出たあと、お腹側を回り、体の各器官に分布していきます。

 

それに対して、副交感神経は、脳の下部(首のあたりです)にある中脳・橋・延髄から出て体の各器官に分布するルートと、脊髄の下部にある(腰のあたりです)骨盤神経から腸や膀胱・生殖器に向かうルートがあります。

 

「緊張すると胃がキリキリする、お腹が痛くなる」

「首や腰を温めてほぐすとリラックスする」

 

このようなシーンを想像すると、自律神経のはたらくルートと背骨や内臓の位置は何かつながりがあるのかもしれませんね。私は外来に来る患者さんにピラティス(背骨の動きを重視している運動です)をおススメしているのですが、「眠れるようになった」「胃腸の調子がよくなった(機能性ディスペプシアが改善した)」という方が多くいらっしゃいます。

 

≪参考≫

・久手堅司著.最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方.クロスメディアパブリッシング.2018

・久手堅司監修.面白いほどわかる自律神経の新常識.宝島社.2021

・鈴木郁子編著.やさしい自律神経生理学.中外医学者.2021

 



自律神経のしくみ①自律神経とは何者なのか?

2021年12月21日 18:05更新
専門外来コラム


自律神経のしくみ自律神経とは何者なのか?

 

こんにちは。

専門外来コラムをリニューアル中です。なかなか更新ができていなかったのですが、自律神経の不調や気象病についてきちんとまとめていきたいので、もう一度。

以前のブログの内容と重なっている部分があるかと思いますが、新しい情報も入れていきますね。

 

今回は自律神経の正体について書いていきます。

「自律神経」「自律神経失調症」「不定愁訴」など、意味が曖昧だったり、症状が幅広かったりして難しいと思います。医学的なことは少し難しいですが、これから体調を整えるためにご参考になればと思います。

 

『現代人の9割が乱れている自律神経』

 

「自律神経の乱れ」や「自律神経の不調」という言葉をよく聞きますよね。自律神経失調症専門外来を始めて5年以上経ちますが、パソコンやスマホの普及、コロナ禍の自粛疲れやストレスなどにより、自律神経の乱れによる不調をきたす方がより目立つようになりました。

 

自律神経の不調の症状は多岐にわたります。

 

・頭痛

・首・肩こり

・めまい

・疲労感・だるさ

・不眠

・動悸・息苦しさ

・低血圧

・胃腸の不調

・不安感・抑うつ・・・

 

症状は人それぞれなのでこれ以外にもありますが、上記の症状が多いです。

 

自律神経は、「生命を維持するために24時間はたらいているシステム」。本来であれば、私たちの身体と心を健康な状態に保ってくれるためのものです。しかし、自律神経は繊細です。ストレスの影響を大きく受けてしまいます。

 

精神的なストレスをはじめ、残業や疲労などの身体的ストレス、気圧や気温の変動による環境的なストレスなどにより、現代人の生活環境は厳しいものになっています。そのため、自律神経が乱れている人がほとんどなのです。

 

そして、忘れてはいけないのが骨格のゆがみ。骨格のゆがみや姿勢の悪さも、自律神経を乱す立派なストレスになっています。後ほど触れていきます。

 

『自律神経とはそもそも何なのか?』

 

 

自律神経のはたらき

 

自律神経とは、名前の通り、全身に巡っている神経の1つです。

簡単にいうと、

「生命を維持するために24時間、全身をコントロールしているシステム」。

 

難しいのでもう一歩踏み込んでいうと、

「内臓や血管などのはたらきを自動的に調整してくれる神経」です。

 

たとえば、

・寝ている時でも呼吸ができるようにしたり、心臓の鼓動が動き続ける

・ご飯を食べると自動的に胃腸が動いて消化活動がはじまる

・暑くなれば発汗をして体温を下げて適温にする

 

などは、すべて自律神経のはたらきのおかげです。人間の体は、体内の環境を一定の範囲内に保つようにできています(これを恒常性といいます)。自律神経は、この恒常性を保つために24時間休むことなく体の状態を微調整しているのです。

 

全身を巡る神経のうちの1つ

 

人間の体には、脳や内臓・血管などのさまざまな器官がありますよね。それらを支配して、うまくはたらくようにコントロールしているのが神経です。情報伝達の役割があります。

 

神経は大きく分けて2種類、より細かく分けると4種類です。

 

①中枢神経

脳と脊髄で構成されており、体の中心です。人体の「司令塔」の役割をしています。脳のイメージが強いかもしれませんが、脊髄(首から背骨に沿ったラインです)も重要な神経です。中枢からの指令を末梢神経に伝えたり、末梢神経が持ってきた全身の情報を受け取ります。

 

②末梢神経

末梢神経は、体にあるそれぞれの器官と細かいやり取りを行っています。脳や脊髄から来た指令を全身に伝えたり、逆に各器官から来たメッセージを中枢に伝えたりします。網目のように全身に広がっています。末梢神経はさらに「体性神経」と「自律神経」にわかれます。

 

(1)体性神経

体性神経はさらに「感覚神経」と「運動神経」にわかれます。やっとイメージつきやすい名前が出てきましたね。人間が活動をするうえで不可欠な神経です。体性神経は自分の意思でコントロールできるのがポイントです。

 

・感覚神経:温かい、冷たい、痛い、やわらかいなどの感覚を感知して、脳に伝えています。

 

・運動神経:手や足、首や口などの体の部分を動かす役割があります。

 

(2)自律神経

ようやく登場です。中枢を構成している脊髄は、脳の視床下部から腰まで(首から背骨のライン)をケーブルのようにつなげる神経の束ですが、自律神経もこの束から全身に分布しています。私が「自律神経と背骨のゆがみ」に着目しているのは、この点が関係しています。

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つにわかれています。

・交感神経:心身が活動的で興奮しているときに優位にはたらく

 

・副交感神経:心身がリラックスしているとき、食べ物を消化しているときに優位にはたらく

 

交感神経・副交感神経については他のコラムで詳しく書こうと思います。

 

自律神経失調症とは?ー心身症とのちがいー

 

自律神経失調症の症状

日常生活や社会生活に支障が出るくらいの身体的な症状があるのにもかかわらず、「検査で異常が出ない」場合、自律神経失調症の疑いがあります。またその場合、自律神経系だけではなく、ホルモンや免疫のバランスも同時に崩していることが多いです。

 

症状は冒頭にも少し書きましたが、以下の通りです。

 

《全身症状》

・だるい

・眠れない

・疲れがとれないなど

 

≪器官的症状≫

・頭痛

・首・肩こり

・動機や息苦しさ

・めまい

・立ちくらみ

・のぼせ・冷え

・胃痛・吐き気・食欲不振

・下痢や便秘など

 

≪精神的症状≫

・情緒不安定

・イライラや不安感

・うつなど

 

当院にいらっしゃる患者さんについて

 

ちなみに当院の自律神経失調症専門外来にいらっしゃる患者さんは、このような方が多いです。

 

・自律神経失調症と診断されたが、どこの病院に行っても改善しない

・今の自分の問題は、体調不良がメインなのに、精神的なもの?と言われる。とくにプレッシャーを感じていたりはしていないが、精神的なものなのか心配

・ネットなどを見て自律神経失調症と思ったから、受診した

 

いずれにしても「症状がつらいのに理解されない」「病院に行っても相手にされない」「心療内科に回されるけど、心当たりがない」というお話をよく聴きます。

 

心身症とのちがい

心身症という病気を知っていますか?何らかのストレスが身体の症状に出ると、「心身症なのではないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。心身症は「身体の病気の背景に、心理社会的な要因が関係している病態」です。自律神経失調症と似ているようで違います。

 

≪心身症≫

・特定の臓器や器官に症状が集中する

・明らかな身体疾患が生じる(胃かいよう)など

 ※胃かいようがすべて心身症というわけではありません

・体質や生活習慣によるものではなく、心理社会的な要因が症状に直結する

 

≪自律神経失調症≫

・多数の臓器や器官に症状が現れる

・明らかな身体疾患はない

・症状が不安定で、出たりで消えたりする

・心因のときもあるが、体質や生活習慣の乱れが影響する

 

心理的・精神的ストレスで自律神経失調症が悪化することもあるので、「自律神経失調症=精神的なものではない」と説明する時に伝わりづらいのが現状です。

 

見過ごされてきた「背骨・骨格・姿勢」と自律神経の関係

私は自律神経の不調を診るにあたって、「骨格の歪み」「背骨の状態」「姿勢」「筋肉の凝り」などに着目しています。なぜなら、骨格が歪んでいると、自律神経のはたらきが悪くなり、呼吸も浅くなって、自律神経失調症を引き起こしやすくなるからです。

 

長年の臨床経験からも、骨格の歪みにアプローチすることで元気になる患者さんを多く見ています。もちろん骨格だけではなく、食事や睡眠などの生活習慣や精神面も考慮することも必要ですので、患者さんを診察するときはトータルで判断するようにしています。

 

 

≪参考文献≫

・久手堅司著.最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方.クロスメディアパブリッシング.2018

・久手堅司監修.面白いほどわかる自律神経の新常識.宝島社.2021

・久保木富房監修.専門医が治す!自律神経失調症.高橋書店.2016

・鈴木郁子編著.やさしい自律神経生理学.中外医学者.2021

・厚生労働省/自律神経失調症

://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html

 



チメロサールフリー(インフルエンザワクチン)

2021年10月14日 11:26更新
専門外来コラム


当院ではチメロサールフリーのインフルエンザワクチンを用意しております。

一般のワクチンでは、殺菌作用のある水銀(防腐剤)が含まれておりますが、チメロサールフリーのワクチンではそれらが含まれておらず体内蓄積による副作用などの心配がございません。

妊娠中の方で不安要素をできるだけ取り除きたい方や、小児などに適しています。

ご希望の方は数量に限りがありますので事前にお問合せ下さい。



自粛冷え ウーマンウェルネス研究会 にて

2021年2月16日 09:00更新
専門外来コラム


https://digitalpr.jp/r/44802

 

2021/2/1にウーマンウェルネス研究会にて、上記リンクで記事を掲載してもらいました。

 

下の分は上の原文そのままですが、グラフや絵を入れていないため分かりにくいと思います。上記リンクを参照されて下さい。

 

コロナ禍での室内換気や厳冬で、例年よりも冷えや寒さを感じている人が6割以上 「首温活」で解消!この冬の“自粛冷え*”対策

 

 女性の健康力向上を通した社会の活性化への貢献を目指す『ウーマンウェルネス研究会supported by Kao』(代表: 対馬ルリ子/産婦人科医)では、コロナ禍で迎えた今冬の「身体の不調と冷え」について、首都圏在住の553人(20代~50代男女)を対象に調査を実施しました。

 調査によると、新型コロナウイルスが感染拡大して初めての冬を迎え、6割以上の人が例年と比べて冷えや寒さを感じており(グラフ(1))、特に今冬は感染症対策のための窓開け換気もあり、家の中や職場、バスや電車といった屋内での冷えや寒さを感じていることが分かりました(グラフ(2))。

 

*当研究会では、今冬ならではの厳しい寒さや感染症対策での窓開け換気、外出自粛による運動不足や ストレスで血行不良となり、冷えが加速し身体の不調を引き起こす状態を“自粛冷え”と名付けました。

 

また、2人に1人が例年と比べ、首・肩の不調を感じており(グラフ(3))、その不調は冷えや寒さを感じている人ほど現れていることが明らかになりました(グラフ(4))。

 

ウーマンウェルネス研究会では、今冬ならではの厳しい寒さや感染症対策での窓開け換気、外出自粛による運動不足やストレスで血行不良となり、冷えが加速し身体の不調を引き起こす状態を“自粛冷え”と名付けました。
 

このような、コロナ禍の今冬ならではの冷えや寒さによる身体の不調について、せたがや内科・神経内科クリニック(東京・世田谷)院長の久手堅司先生にお話しを伺いました。

■今冬ならではの“自粛冷え”の要因

1、厳冬+窓開け換気による室内冷え
今年の冬は10年ぶりのラニーニャ現象の発達による厳しい寒さに加え、感染症対策として、こまめに窓を開けて換気をしていることもあり、屋外だけでなく、室内でも冷えや寒さを感じやすいようです。

2、自粛生活での運動不足による血行不良
テレワークや自粛生活が続き、外出の機会が減ったことで多くの人が運動不足を感じています。運動不足により、血行不良となり冷えが加速しています。

3、不安やストレスによる、自律神経の乱れで起こる血行不良
コロナ禍の現在、例年と比べ、9割以上の人が外出時に感染予防を意識して緊張を感じているなど(グラフ(5))、日常的にストレスにさらされていることが伺えます。ストレスにより自律神経が乱れると、血行不良となり、また体温調整がうまくいかなくなり、冷えやすくなります。

■様々な不調を引き起こす身体の冷え
2人に1人が例年に比べ、首・肩の不調を感じていることの背景には、「冷え」が大きく関係しています。身体が冷えると筋肉が硬くなり、首・肩のコリが更に悪化してしまいます。また、疲れやだるさ、胃腸の不調など様々な身体の不調を引き起こします。

■自粛冷えには「首温活」が効果的
首には頸動脈という大きな血管があり、皮膚のすぐ下を走っています。首を冷気にさらすと、この頸動脈が冷え、大量の血液が冷やされ体温が奪われてしまいます。逆を言えば、首を温めることで全身を効率よく温めることが出来るのです。また、副交感神経が優位になることで緊張がほぐれ、血流が良くなります。血流が良くなることで、疲労物質が押し流されるため、首・肩コリの改善に繋がることから、自粛冷え改善には「首温活」を始めてみましょう。

 

◇蒸しタオルや温熱シートで首を温める
首を温めると、温まった血液が全身をめぐり、血流が良くなるので、首・肩コリの改善にも繋がります。冷えや疲れを感じたときには、蒸しタオルをあてたり、外出時は温熱シートを活用したりすることで手軽に首温活ができます。

 

◇炭酸入浴で血行促進&リラックス
炭酸ガス入りの入浴剤を入れた38℃~40℃のぬるめのお湯に15~20分程度、首までつかりましょう。最初に首まで温めることで、全身の血行が良くなり、冷え、首・肩こり、疲労感がやわらぎます。また、副交感神経が優位になることでリラックスすることが出来、ストレスの緩和に繋がります。

 

◇手軽に行えるストレッチ・マッサージ

 

【タオルストレッチ】
首にタオルを当てて、斜め上を向いたり、下を向いたりしながら、首まわりの筋肉をまんべんなくストレッチします。長時間デスクワークが続くときは、1時間に1~2分程度行うのがおすすめです。

【耳マッサージ】
耳たぶの少し上を、水平方向に5~10秒ほど引っ張ります。耳まわりがリラックスし、首がポカポカしてきたら、正しく行えている証拠です。繰り返しこまめに行いましょう。耳を上下に動かすのもおすすめです。

 

監修 : 久手堅 司(くでけん つかさ)

<意識調査概要>調査方法:インターネット調査/調査期間:2020年12月21日~12月28日
調査対象:首都圏の20歳~59歳の男女553名/調査内容:身体の不調と冷えに対する意識調査

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●ウーマンウェルネス研究会supported by Kaoとは
『ウーマンウェルネス研究会supported by Kao』は、現代女性のライフステージごとに異なる様々な心身の不調を解消し、女性が健康で豊かな生活を送り充実した人生を実現することを願って、医師や専門家、企業が集い2014年9月1日に発足いたしました。女性のウェルネス実現のために、公式サイト「ウェルラボ」(http://www.well-lab.jp/)やイベントなどを通じて、女性が知っておきたい健康の基礎知識や不調への対応策など、心身の健康に役立つ情報を発信します。

●ウーマンウェルネス研究会の概要
・発足日: 2014年9月1日
・医師・専門家(50音順)(敬称略)
 対馬 ルリ子 (産婦人科医、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長)
 小島 美和子 (管理栄養士、有限会社クオリティライフサービス 代表取締役)
 川嶋 朗 (統合医療医、東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科 教授)
 中村 格子 (整形外科医、スポーツドクター、医療法人社団BODHI理事長)
 福田 千晶 (産業医、内科医・リハビリ医、人間ドック専門医、健康科学アドバイザー)
 渡邉 賀子 (漢方専門医、麻布ミューズクリニック名誉院長)

・協賛: 花王株式会社、パナソニック株式会社  (あいうえお順)
・Webサイト: 『ウェルラボ』: http://www.well-lab.jp/ (2014年9月11日OPEN)
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本件に関するお問合わせ先

ウーマンウェルネス研究会 事務局
事務局 :TEL: 03-4570-3167/FAX : 03-4580-9128 / Email : info@well-lab.jp

 



立位での姿勢について 

2020年12月23日 22:59更新
専門外来コラム


専門外来コラムを1年以上更新していませんでした。

 

自律神経と骨格(姿勢)は連動しているということを、日々感じていました。

当院で行っている専門外来(頭痛外来、肩こり・首こり外来、自律神経失調症外来、気象病・天気病外来、寒暖差疲労外来)では、姿勢評価は重要な部分となっています。

 

 

2018年12月14日に出版となった拙書「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」から抜粋と一部手を加えての内容です。

 

69~79Pの抜粋となります。イラストが入っていないので分かりにくいと思いますが。

 

「縦の軸」と「横の軸」

それでは、いよいよセルフチェックです!自分の骨格がゆがんでいるかどうか見てみましょう。

 

立った状態から「縦の軸」と「横の軸」をチェック

まずは姿勢をよくしようと思わずに、いつもどおりの姿勢で立ちます。

目をつぶって、3回ゆっくりと深呼吸をしてから、力を抜いて立ってみてください。このとき、正面から見てどんな立ち方をしているでしょうか?  

全身が映る鏡、またはスマホで撮影してみてください。

 

両足の位置がそろっていて、膝の皿が正面を向いていて、左右の骨盤・肩の高さが同じで、頭の位置がまっすぐ(首が左右にも上下にも曲がっていない)】の状態が理想的です。

 

この状態は、正面から見たときに、「縦の軸」(背骨のライン)と「横の軸」(耳のライン)が両方まっすぐになっている状態です。多少のゆがみは誰にでもありますが、あまりにも前後左右のバランスに偏りがあると要注意です。

 

・縦の軸:背骨のライン

縦の軸とは、正面から見ると、【眉間・あご・鎖骨のあいだの中間地点・へそ・膝のあいだの中間地点・かかとのあいだの中間地点】を線でつないだときの一本線です。地面と垂直にまっすぐつなぐことができると理想的です。

 

・横の軸:耳のライン

横の軸とは、【両耳の穴】をつないだときの一本線です。地面と並行に保たれているのが理想となります。

正しい立ち方は縦の軸と横の軸がまっすぐ頭が傾いていない

 

 

立ち方3つのパターン:

 理想・反り腰・猫背

 

4足歩行から2足歩行に進化した人間の基本姿勢は、「立っているとき」です。

「立っているときにバランスが取れていること」がまず目指すべき状態となります。

 

・壁を使って立ち方をチェック

壁に沿って立ってみましょう。かかと・お尻・肩甲骨の3点を壁につけるようにしてください。見るべきポイントは次のとおりです。

 

①壁に頭がつくか

②壁と腰のあいだ(骨盤の上の部分)に指1本分の隙間ができるか 

この2点を見るだけでも、正しい姿勢かどうか判断できます。

 

壁と腰のあいだの隙間は、まったく空かないのも、空きすぎているのも N Gです。

しかし反り腰の方は、大きく握ったこぶしほどになることもあります。逆に猫背の方は、骨盤の上に隙間ができないために、指が入りません。

頭については、自然と後頭部が壁に触れる状態が理想的です。がんばって壁につけようとしてあごを上げる方がいますが、それは首が前に伸びたまま無理に頭を上げようとしたときの動作です。その時点で反り腰か猫背のどちらかではないかと疑うことができます。

さて、立ち方にはざっくりわけて3つのパターンがあります。理想・反り腰・猫背の3つです。あなたはどれに当てはまるでしょうか?

 

それぞれのポイントについて解説していきます。

横から見たときに、

反り腰  カーブ2

理想  カーブ3

猫背  カーブ1つ 

に見えます。

 

 

・理想

頭部と骨盤の間にある脊椎のカーブから考えてみます。本来、頚椎7個は全体で前にカーブ、胸椎 12 個は全体で後ろにカーブ、腰椎5個は全体で前にカーブしています。このカーブが3つあることで、全身にかかる重力にうまく対応しているのです。カーブがなくまっすぐな場合と、カーブがある場合では、かかる抵抗力は全く異なってきます。

 

前にカーブしているのは頚椎7個+腰椎5個で 12 個、後ろにカーブしているのは胸椎の 12 個で、骨の数は同じです。これは2つのカーブ( 12 個の骨)と1つのカー ブ( 12 個の骨)が釣り合っているということです。

このバランスが保てていること が重要なのです。どこかのカーブが崩れてしまうと、そのバランスをとるためにほかのカーブも連動して崩れていくことになります。

 

・反り腰

反り腰は、骨盤が前に倒れている(前傾している)ために、そのぶん腰を後ろに反らして、バランスを保とうとしている状態です。すると、胸椎が後ろにカーブしすぎてしまうので、そのぶん首も前のカーブをなだらかにしてバランスをとろうとします。これがいきすぎて、ストレートネックになってしまっていることがよくあります。3つあるはずの脊椎のカーブが2つになってしまいますので、体にかかる負担は増えてしまいます。

反り腰は、高いヒールを履いている女性により起きやすいです。高いヒールを履くと、自然に骨盤が前傾し、反り腰になるのです。

 

・猫背

猫背は、骨盤が後ろに傾いている(後傾している)ために、首は前のカーブをなくすことで、バランスをとろうとします。すると、ストレートネックやクレーンネックの状態になってしまいます。3つあるはずの脊椎のカーブが1つになってしまっている状態です。

反り腰も猫背も、理想のパターンである【前のカーブ2つ( 12 個の骨):後ろのカーブ1つ( 12 個の骨)】で重力に対してバランスをとっていたのが、崩れてしまっています。両方とも、首が前方へ出てしまっているのです。そうなると、重力は真下にかかっているために、首は頭の重さをより負担することになります。

 

前述したとおり、頭の重さは体重の8〜 10 %ほどと言われています。女性でも5キロ前後、男性だとさらに重くなります。5キロって重いですよね。それを首から下で支えているのです。

重たいスイカを持っているときをイメージしてみてください。手を体から離して持つことはあまりありませんよね。重いものを持つときは手を体に寄せて、体幹でしっかり支えたほうが楽に持てます。手をピンと伸ばしてスイカを持つと、数分だとしても大変疲れます。首が前に出ているというのは、これと同じです。さらに姿勢が悪い方は、常に指先でスイカを持っているような状態になっているのです。いかに体に大変な負担をかけているか、想像いただけたでしょうか。

 

そればかりでなく、姿勢はもちろん見た目にも関係してきます。 人の印象は、立ち姿勢がいいか悪いかだけでもまったく異なってきます。 立ち姿が悪いとそれだけでマイナスの印象を与えます。自信がなさげで疲れた印

象なので、ビジネス的にもプラスになることはありません。逆に、立ち姿がよいと、それだけでよいイメージを与えることができます。無駄な力が入っておらず、安定した状態なので、適度な自信や信頼感、安定感を与えることができ、「信頼できそう」「仕事ができそう」という印象につながるのです。

 

次回は、座っているときの話をする予定です。

 



自律神経失調症について その3

2019年12月11日 22:14更新
専門外来コラム


11/13の専門外来コラムの続きになっています。

 

2018年12月14日に出版となった拙書「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」から抜粋と一部手を加えての内容となっていく予定です。

 

不定愁訴=自律神経失調症ではないというのが私の考え方です。

そして、骨格と自律神経は非常に強い関係性を持っています。

 

60~68Pの引用になっています。絵を添付していないので分かりにくいかもしれません。

 

それでは、人間の骨格について、より詳しくみていきましょう。

 

 キーポイントとなるのは脊椎、つまり 24   個の背骨です。

人の骨格は、ざっくり言うと「頭蓋骨→頚椎→胸椎→腰椎→仙骨+骨盤→大腿骨→下腿骨→足関節」で構成されています。

脊椎は骨格の中心部分にあり、全身を安定させています。また、車のサスペンションのように、衝撃や振動を吸収してボディを安定させるバネの役割をしています。

 

頭蓋骨 頚椎 胸椎 脊椎 (計24個の 背骨) 腰椎 骨盤 大腿骨 下腿骨 足関節 仙骨

ということは、脊椎が変形し、動きが制限されていれば、全身にさまざまな症状 が出るのです。

脊椎は 24 個あり、それぞれ靭帯や筋肉とつながっています。

上から、「頚椎」(首の骨)が7個、「胸椎」(胸の骨)が 12 個、「腰椎」(腰の骨)が5個あります。これらは基本的に、連動して動いています。

試しに、左手を背骨の上の方に当てて、首を右にねじってみましょう。首を右に回したときには、頚椎だけではなく、胸椎も動いているのを感じると思います。頚椎、胸椎、腰椎が単独で動くことは少ないのです。

すると、腰痛がある場合には、首にも痛みやゆがみがある、といった場合が多くみられます。逆に首に痛みがある場合には、腰痛がある場合が多いです。

腰痛が治ったと思ったら、首の痛みを感じる方もいます。この場合には、腰痛の方を強く感じていたために、首の痛みを認知していなかった場合が多いです。

 

2足歩行に進化したことで人の体は不安定になった

 

骨格の観点からいうと、人間は2足歩行であるために、脊椎がゆがみやすく、より自律神経が乱れやすいと考えられます。

2足歩行である人間と4足歩行であるチンパンジーは、祖先が同じであるとされています。人間とチンパンジーの骨格を比較してみましょう。

4足歩行は両手と両足を使って、4点で体を支えています。これは橋が丸くなって強度を保っているのと同じで、とても安定した状態です。

この丸くなっている部分は、腹部を丸めることで腰椎を屈曲させてつくっています。たとえば、お相撲さんが四股を踏んで両手をついて「はっけよい」したときの状態というのは、とても安定していますので、簡単には崩すことができませんよね。

ところが人間は2つの足で、すべての体重を支えないといけなくなりました。これは4足歩行に比べるとかなり不安定な状態です。そこで重要なのが、土踏まずがあるということだと考えられています。 自分の足の裏を見てください。土踏まずはアーチ状になっているので、その名のとおり、土がつきません。このアーチが非常に重要です。指先からかかとの間に、小さい橋が架かっているような状態だと考えられます。

ちょうどこの橋の上に、重たくて不安定な頭が乗っている状態が理想的な骨格だといえます。

 

人間は大脳が発達したため、頭が重くなり、重力の影響をより強く受けることになりました。しかし、土踏まずのアーチの上に頭が乗っていると、重力に対し、土踏まずが縦のクッション(バネ)の役割をしてくれます。そして、脊椎の S字構造が横のクッション(バネ)の役割をしてくれます。

土踏まず‐脊椎‐頭のバランスがうまくとれた状態が、人の体にとって負担のない状態といえます。つまり、骨格がゆがんでおらず、自律神経も乱れにくい状態なのです。

 

ヒトとチンパンジーの骨格の違い

 

土踏まずがある

土踏まずがない

股関節は 屈曲

骨盤は長く、 横幅が狭い

腰椎は屈曲

大後頭孔は 頭蓋骨の後方

頭蓋骨が 小さい

足は曲がっている

股関節は 中間の位置

骨盤は短く、横幅が長く、おわん型

足は 伸びている

腰椎は伸展

大後頭孔 (脳と脊髄をつなぐ頭蓋骨の開口部)は 頭蓋骨の下部 頭蓋骨が大きい

 

人間は両手がフリーになったことで大脳が飛躍的に進歩して、いまの生活を確保できることとなりました。

しかし、それは骨格が安定した状態から、不安定な状態になってしまったということでもあります。そうである以上、骨格を全体でとらえ、安定させるように考えていく必要があります。

自律神経が乱れている方の中には、膝、腰、肩、首の痛みを訴える方がとても多いので、それを例として説明をしていきます。

膝が痛いとき、膝だけを治療しても治りません。膝下、膝上から股関節、そして股関節より上の部分も考えないといけません。右の膝が痛い方は、骨格全体のバランスを見てみると、右に傾いていることが多くあります。2本足で支えているので、割合で考えると右足に 50 %、左足に 50 %の体重が乗っているのがベストですね。これが右に 60 %、左に 40 %だとすると、右に負担がかかるのは当然だと思います。

腰痛に関しても、右の腰が痛い場合には、腰の上下のバランスが崩れていることが多いです。特に骨盤の位置が前後、左右ともにズレていることが多いです。

腰痛は原因が不明な場合があるとか、メカニズムが解明されていないといわれています。専門家でも意見がわかれています。

 

しかし、すべての骨格は連動していると考えれば、そんなに難しい話ではないは ずです。「レントゲンでも M R I でも、痛みがある部分の骨に問題はない。じゃあ原因は?」ということが度々あります。画像診断はとても大切ですが、体に問題があるとき、いきなり画像に問題が現れるわけではないです。その前に体への負担、腰痛なら腰はもちろん、尻や足など、連動する筋肉や骨格への負担が続くことで腰痛が出て、最終的に画像的にも見えるほどの変化が出てしまうのです。

同じく、肩こりや肩の痛みも、肩周辺にだけフォーカスを当てても診断できない場合が多いです。右肩が痛い方は、右肩が下がっている、首が右に傾いているなどの左右差が出ていることが多いです。そうなると、肩の近くにある頚椎、胸椎、鎖骨、肩甲骨、肋骨なども含めて判断をする必要があるのです。

首の痛みやこりに関しても、右首が痛い場合には、首が右に傾いている、右肩が下がっている、首がより右前に出ているなどの所見が見られることが多いです。レントゲンで「頚椎症」や「ストレートネック」が原因と診断されていることも多いです。ストレートネックよりも前に曲がっていて、首がクレーンのように前に出ている場合にはクレーンネックと呼ばれる場合もあります。

 

そして、「ストレートネックはパソコンやスマホの使用による現代病なので仕方ないですよ、まず治らないですよ」と言われた、といった話を患者さんからよく聞きます。ストレートネックが治らないというのに関しては、私からすると疑問がかなり湧いてきます。全体のバランスから考えれば、改善できる場合が多々あります。

実際に当院では多くの結果が出ています。

体の各部位の痛みは、このようにほかの骨との連動からとらえてください。強く症状が出ている部位しか見ないのは、ことわざで言えば、 「木を見て森を見ず」というのがぴったりです。痛い部分だけを見ていては、どうしてそこが痛くなったのか判断できないことが多いのです。

 

↑までが本からの引用です。



自律神経失調症について その2

2019年11月13日 22:07更新
専門外来コラム


10/22の専門外来コラムの続きになっています。

 

20181214日に出版となった拙書「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」から抜粋と一部手を加えての内容となっています。本の順番どおりではありません。

 

当院の自律神経失調症外来を受診される方は、下記のパターンに分かれています。

  • 自律神経失調症と診断されたが、治療を受けても改善しない。
  • 自分は、そこまで精神的にプレッシャーとかを感じていない。今の問題は、体調不良がメインだから、精神的な部分がメインではないのでは?
  • 自律神経失調症と思ったから、受診された。

 

自律神経失調症は、不定愁訴動悸、めまい、全身倦怠感+慢性疲労、息苦しさ・呼吸苦、喉のつまり・違和感、不眠・睡眠の乱れ、腹部の不調)などの原因が説明できないから診断名がついてしまっているのです。

実際に、血液検査、心電図、レントゲン、CTMRI、超音波など、様々な検査では、それらの不調の原因が説明できないのです。

 

原因が見つからないとは言え、自律神経が乱れていたら出るような症状なのです。

 

私は、どの観点から自律神経を捉えているのでしょうか?

 

52P~60Pからの引用です。

 

最大の原因は「骨格」にあり

 

自律神経に影響を与えるさまざまな要因の中で、私が特に重視しているのは、「骨格」の乱れです。

「えっ、そんなものが影響しているの?」と思われたかもしれません。どういうことか、詳しくみていきましょう。

まず、「骨格」の乱れとはどういうことかというと、骨格が本来あるべき状態ではなくなっていることを指します。「骨格のゆがみ」と言ったほうがわかりやすいでしょうか。代表的な状態は、「姿勢の悪さ」です。 自律神経失調症で受診を希望される方々のほとんどは、姿勢が悪く、診察室に入ってきて数歩で、骨格のゆがみに気がつきます。

 

もちろん、ビジネスパーソンで受診される方も、同様に骨格のゆがみがすぐにわかることが多いです。ではなぜ、骨格がゆがんでいると自律神経は乱れてしまうのでしょうか?

まず、「脊髄」の問題があります。

 

自律神経は、脳の視床下部から始まり、「脊椎」の中の脊髄を通って、全身の各器官につながっています。

 

脊髄は脳と体をつないでいる神経の束であり〝首から腰までつながっているケーブル〟とたとえることができます。人が生きるために欠かせないとても重要なもので、これが損傷してしまうと、体を動かせなくなったり感覚がなくなったりしてしまいます。

脊髄は「脊椎」という骨のトンネル(背骨)を通っているおかげで、損傷から守られています。

脊椎のトンネルは、通常 S 字に近いカーブを保っています。これは脊髄をしっかり守り、人間の体を効率よく維持するために理想的なカーブです。

しかし、このカーブが変形したり、ずれてしまったりすると、中のケーブルは圧迫され、正常な働きをしづらくなってしまうのです。

 

さらに、「呼吸」の問題もあります。

骨格がゆがみ姿勢が悪くなっていると、肺がつぶされ、呼吸が浅く短くなってし まいます。

体に十分な酸素が行き渡らないことは、それだけで化学的ストレッサーによるストレス要因となります。また、浅く短い呼吸をしているときは交感神経が優位になっている状態です。

日常的に浅く短い呼吸をつづけていると、常に交感神経優位の状態になってしまい、自律神経のバランスが乱れる原因になってしまうのです。

 

ストレスが骨格の乱れに拍車をかける

 

「自律神経が乱れている」と言われると、多くの方は精神的なストレスのせいだと考えがちです。

 

しかし実際には、先に骨格がゆがんでいて、自律神経のバランスを失っている・失いかけている状態であると思ってください。

そこに、精神的ストレスや環境的ストレス、その他の身体的ストレスの問題が絡み合って、より自律神経の乱れがひどくなってしまうのです。

また、それらのストレスは、骨格の乱れにもさらに拍車をかけます。

たとえば、精神的なストレスが加わったとき、人間は自然と「歯を食いしばる」という習性があります。歯を食いしばると、顔の前方に強い力がかかるので、頭部が前に出やすくなります。頭部は安定した位置にないと、重力を強く受けてしまいます。すると、頭部を支えている首や肩は、前に出た分を支えないといけなくなり、余計な負担がかかります。

 

頭部の重さは体重の8〜 10 %近くもあります。体重が 60 キロだとすれば6キロです。そこにさらに重力が加わるのです。 前に出ると3倍近くの重さになると言われており、なんと 18 キロもの重さになってしまいます。

首・肩、脊椎のトンネルは、この重さに耐えなければいけません。短時間ならそこまで問題はないでしょうが、長時間続くと、トンネルにも限界がきてしまいます。

トンネルが耐えられなくなったら、中を通っている脊髄のケーブルも圧迫されてしまいます。そして、脊髄を通っている自律神経は、余計に乱れてしまうわけです。

 

「気づかない乱れ」が一番怖い

自律神経が乱れているという自覚や、姿勢が悪い(骨格がゆがんでいる)という自覚がある方は、まだ大丈夫です。3章ではゆがみを治すために気軽にできる方法をたくさん紹介していますので、これから治していきましょう。実は、一番怖いのは、自分の乱れに気づいていないことなのです。

電車の中の風景を思い浮かべてみてください。一車両にいる人たちの何%が、スマートフォンを使用しているでしょうか?

おそらく、およそ 80 %以上の方が使用しているのではないかと思います。

そのときの姿勢を思い出してください。下を向いている状態の方がほとんどだと思います。

下を向けば向くほど、脊椎のトンネルは頭の重さに耐えないといけなくなります。

人間がスマートフォンでネットやゲームを楽しんでいるあいだ、首や肩は文句も言わずに耐えているのです。そして、慢性的にその状態なので、首や肩がこっているということにすら気がついていないことが多いのです。

「気づかないくらいならいいじゃん」と思われるかもしれませんが、気づかないということは、決してよい状態ではありません。

実際に、自律神経の乱れで当院を受診される方で、首や肩、背中を触ってみるとすごくこっていて、すぐにでも治療すべき状態であるにもかかわらず、そのことに気づいていないことも多くあります。

 

①こりや痛みがない→②こりや痛みを感じる→③実際にこっているのに感じないか、触っていることすら感じない  という段階を経ていきます。当院を受診される方々は②か③の方がほとんどです。

自律神経がひどく乱れている方は、③の状態がより強い傾向にあります。

 

現代人の9割は自律神経が乱れていることはすでに述べたとおりです。これはそのまま、現代人の9割は骨格がゆがんでいると言い換えてもよいです。パソコンやスマホの使用が日常的になった現代、ゆがみがまったくないほうが珍しいのです。

「自分は大丈夫」と思っている方も注意されてください。

また、「特になにもしていないのに、以前はひどかったこりを最近感じなくなった」という方や、マッサージなどに行って「すごくこっていますね」と驚かれるのに自覚がないような方は、特に要注意です。

 

↑までが本からの引用です。

 

不定愁訴=自律神経失調症という考え方をしていないことが、私の基本概念となっています。

続きはまた次回以降とさせて頂きます。

 

 



自律神経失調症について その1

2019年10月22日 23:31更新
専門外来コラム


久しぶりに専門外来についてのコラムを書かせて頂きます。

 

自律神経失調症についての話をしていこうと思います。

 

それ以外の項目についても、不定期になりそうですが、ブログに書いていけたらと考えています。

 

2018年12月14日に出版となった拙書「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」から抜粋と一部手を加えての内容となっていく予定です。本の順番どおりではありません。

 

当院では、「頭痛外来」、「肩こり・首こり外来」、「自律神経失調症外来」、「気象病・天気病外来」、「寒暖差疲労外来」という特殊外来を開設しております。

 

自律神経失調症外来を受診される方で、私の説明を聞いて??と思われる方は多いです。

その理由は、私の自律神経失調症に対しての捉え方が、一般的とは異なっているからです。

 

通常でいえば、自律神経失調症というと精神的なストレスがメインであるという認識が強くあります。

 

自律神経

→ややこしい、理解しにくい、面倒くさい。これは、一般の方、医療関係者でも同じ場合が多い。

→動悸、めまい、全身倦怠感+慢性疲労、息苦しさ・呼吸苦、喉のつまり・違和感、不眠・睡眠の乱れ、腹部の不調などの様々な症状の原因が説明できない(原因が診察や検査でも確定できない)→これらの症状が1つではなく、複数ある。

→不定愁訴と診断される=自律神経失調症 という保険病名で説明が出来てしまう。

→悩んでいる方もそれで説明ができてしますので、納得してしまう。

→ストレス社会だから、精神的なストレスがメインだよね。

これが落としどころとなっていると考えています。

 

このような事が多々見られています。何故そう思うのかと、患者さんに話を聞くと、

①インターネットの情報で自律神経失調症に一致する

②医療機関で自律神経失調症と診断された

③家族や知人に自律神経失調症じゃないのか

と言われた。と話される方が多いです。

 

私自身の臨床経験では、精神的なストレス→自律神経失調症では、患者さんに納得のいく説明は出来ません。

 

46P51Pからの引用です。

 

自律神経が乱れる原因は「精神的ストレス」だけではない

さて、「自律神経を整えよう」と思ったら、どのようにすればよいのでしょうか?

それを知るために、まず、「自律神経にはどんなことが影響するのか」ということを確認していきましょう。

自律神経に影響を与える主な要因は、ストレスです。

 

一般に、ストレスというと、「精神的な負荷」を意味すると認識されています。

しかし、1章でも述べたとおり、ストレスといっても精神的なものだけではありません。「身体的なストレス」、「環境的なストレス」も立派なストレスです。

医学・心理学においては、心と体にかかる外部からの刺激を「ストレッサー」と呼びます。そして、ストレッサーに適応しようとした結果、心身に生じるさまざまな反応を「ストレス反応」と呼びます。

 

ストレッサーには、次の4つがあります。

・物理的ストレッサー(暑さ・寒さ、騒音、混雑、悪臭など)

・化学的ストレッサー(酸素の欠乏・過剰、公害物質、薬物など)

・生物的ストレッサー(炎症、細菌・ウイルスの感染、睡眠不足など)

・心理・社会的ストレッサー(人間関係や社会生活上の問題など)

 

「ストレス」と聞くと、 「心理・社会的ストレッサー 」が真っ先に思い浮かぶ方が多いと思います。

しかし、実際には、暑さ・寒さなどの環境的要因によるストレスや、ウイルス感染や睡眠不足などの肉体的要因も含まれるわけです。

法律で定められている「ストレスチェック制度」からも、そのことがわかります。

 

これは、定期的に労働者のストレス状況について検査を行い、本人に結果を通知して自らのストレス状況に気づきを促し、個人のメンタル不調のリスクを軽減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげることを主な目的としています。労働者が 50 名以上いる事業所において義務付けられているため、毎年受けている方も多いでしょう。

ストレスチェックというと、精神的な要因を連想されると思います。しかし、身体的な要因や、環境的な要因に当てはまるものも多いのです。

厚生労働省が提供するチェック項目「職業性ストレス簡易調査票」から、当てはまるものをいくつか抜粋します。

 

STEP1仕事について】

→「そうだ、まあそうだ、ややちがう、ちがう」のいずれかで回答します。

・非常にたくさんの仕事をしなければならない

・時間内に仕事が処理しきれない

・一生懸命働かなければならない

・かなり注意を集中する必要がある

・からだを大変よく使う仕事だ

・私の職場の作業環境(騒音、照明、湿度、換気など)はよくない

など

 

STEP2 最近1ヶ月の状態について】「ほとんどなかった、ときどきあった、しばしばあった、ほとんどいつもあった」

のいずれかで回答します。

・ひどく疲れた

・へとへとだ

・だるい

・めまいがする

・体のふしぶしが痛む

・頭が重かったり頭痛がする

・首筋や肩がこる

・腰が痛い

・目が疲れる

・動悸や息切れがする

・胃腸の具合が悪い

・食欲がない

・便秘や下痢をする

・よく眠れない

など

 

抜粋したのは、身体的要因や環境的要因と考えてよい部分です(もちろん、精神的ストレスを受けた結果身体に影響が出てきているという部分もあります)。

 

57 あるチェック項目のうち、 20 程度となります。全体の3分の1程度ですね。

このことからもうかがえるとおり、もっと物理的・化学的・生物的ストレッサー、つまり身体的なストレス・環境的なストレスの影響について考えるべきではないでしょうか。

精神的なストレスで自律神経が乱れることはよくあります。一方で、身体的・環 境的なストレスで自律神経が乱れることもよくあります。

しかし、「自律神経の乱れ」というと、「精神的ストレスのせい」という解釈に行き着いてしまうことが多いのが現状です。これでは、残念ながらよい結果に結びつく可能性は低いでしょう。

心・体・環境、トータルで考えてみてください。

 

 

続きは次回以降で。

 

 



低血圧の治療と対処法について。

2018年5月5日 16:50更新
専門外来コラム


低血圧の治療と対処法について。

 

まずは、低血圧であるという認識を持つこと。

次に、生活スタイルなどを見直すこと。

そして、薬物治療。

 

生活について

立ち上がりに注意:急に立ち上がるとめまいを引き起こしやすいためです。2段階で立ち上がる、物につかまってゆっくり起きるをすすめています。

睡眠をしっかりと:6時間くらいは睡眠を取るようにすすめています。

適度な運動やストレッチ:ウォーキングやジョギング、ストレッチ、ラジオ体操など、簡単に行えること+継続できることが重要です。

日光を15分/日程度あびる:これは、生体内のリズムを整えるためには大事なことです。

体を冷やさない:特に女性は冷え性の方が多いので、暑い時でもカーディガンなどの羽織れるものを持ち歩くことが大事です。

冷たい食べ物は少なめに:体内から冷やしてしまうことは、冷え性をさらに強めてしまいます。厳格に制限するというよりは気をつけるようにして下さい。低血圧のある方には要注意です。

塩分を多めに取る:高血圧のある方には禁忌です。塩分を多めに取ることで、血圧は上がりやすいです。健康のためには、塩分は低めが基本とされていますが、低血圧の方が健康を維持するためには、血圧を上げることが重要なのです。20~30g/日が目安です。漬物や汁物を取ることが簡単な方法です。

入浴する:40℃前後のお湯に首までしっかりと10分程度つかることをおすすめしています。しかし、低血圧の方は入浴で血圧が下がりやすいのでご注意を。

深呼吸する:3秒吸って→3秒止める→6秒吐く→3秒止めるという方法をすすめています。リラックスできると感じた方はたまに行うようにして下さい。苦しい、ストレスに感じる方は行わないでください。

ストレスを溜めない:現代社会ではこれが一番難しいのではないでしょうか。嫌なことを避けるよりは、楽しいことをする時間を増やすことが良いです。笑っている時間が多くなると理想的です。

楽しいことでも、パソコンやスマホの使用時間が長くなることはおすすめしません、その理由は、首肩のこりから、最終的に自律神経を乱してしまいます。結局は低血圧の方は、それがより強く出ることになってしまうからです。

好きな音楽を聴く、歌う:好きなジャンルで構わないです。クラシック、ジャズ、邦楽、洋楽何でも良いでしょう。

 

次に、薬剤での治療についてです。

血圧を上げる薬。これは交感神経に作用します。

メトリジン(商品名):一般名 ミドドリン

交感神経α受容体を刺激する薬で、主に末梢の静脈を収縮させる事で血圧を上げることになります。

当院で第一選択として使用している理由として、口腔内崩壊錠があるからです。起床時に、水なしで使用することが出来るのが利点です。

当院を受診される方は起き上がるのが困難なほど症状が強い方が多いため、水分なしで使用できる方が良いと判断しています。

 

リズミック(商品名):一般名 アメジニウム

ノルアドレナリンが不活性化することを防止して、交感神経を刺激して、静脈の鬱血を改善する作用と心臓からの血液拍出量を増やす作用があります。

メトリジンと比較するとこちらの方が効果は強いです。

西洋薬でも他にも選択肢はありますが、この2つをメインで使用しています。

 

漢方薬:低血圧に使用するのではなく、随伴症状に使用しています。

五零散: むくみ、めまい、頭痛、二日酔、下痢、悪心、嘔吐、の治療に使用されます。 

当帰芍薬散:冷え性、貧血、倦怠感、更年期障害、月経不順、頭痛などの治療に使用されます。冷え性+生理周期での頭痛がある方には、選択することが多い薬です。

桂枝茯苓丸:月経不順、月経痛、更年期障害、冷え症、頭痛のある方に選択することが多い薬です。

半夏白朮天麻湯:めまい、頭痛、肩こりがある方には、選択することが多い薬です。

葛根湯:かぜ薬のイメージが強いと思いますが、肩こり、頭痛、血行の悪い方に効果が出やすいです。 

などです。他にもたくさんありますが、当院で使用している主な漢方を載せています。ちなみに、保険適応内で症状が当てはまる場合に使用しています。

私の考え方としては、以下の2パターンで考えています。

五零散と半夏白朮天麻湯は、むくみに効果が出やすいです。

当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、葛根湯は血流の停滞(肩こりや冷え性)などに効果が出やすいです。

ビタミン

 

ビタミンB群:TCAサイクルという体内でエネルギー産生する過程でビタミンB群が必要となってきます。ビタミンBには様々な種類がありますが、その説明は今回は割愛させて頂きます。低血圧の方は、エネルギー産生が少ない方が多いので、ビタミンB群を取ることをすすめています。食事でも、サプリメントを使用するのも良いでしょう。低血圧では保険適応にはなりません。

 

ビタミンE:ビタミンEが足りなくなると、血行が悪くなります。そのため、冷え性や肩こり、頭痛の原因となります。これらの症状を低血圧の方は併存している方が多いため、使用することで症状の改善が期待できます。直接血圧を上げるわけではないです。こちらも低血圧では保険適応にはなりません。

 

サプリメント

コエンザイムQ10(出来れば還元型:体内への吸収が良いので)

コエンザイムQ10は、脂肪や糖からエネルギーを産生するときに働きます。細胞内にあるミトコンドリアがエネルギーを作るのですが、コエンザイムQ10が補酵素として働きます。

そのため、コエンザイムQ10が多いと効率よくエネルギーを産生できます。全身のエネルギー産生への効果を期待できますが、特に心筋での効果は高いと言われています。

低血圧の患者さんに使用すると、心拍出量が増加します。

保険適応でないため、市販のコエンザイムQ10をすすめています。ドラッグストアのサプリメントのコーナーに大体数種類は置いています。

 

⑪抗不安薬、抗うつ薬

効果はあるのですが、副作用として、血圧低下や倦怠感などがあります。長期間の使用で依存も出やすい事が難点です。

当院では、必要に応じて、少量から使用しています。

薬剤の細かい説明はあえてしません。何故かというと、当院を受診される方は、いくつかの抗不安薬や抗うつ薬を使用されている場合が多いためです。低血圧が原因の場合に、先に選択すべき薬ではありません。



低血圧について

2018年4月10日 23:46更新
専門外来コラム


低血圧についてです。

 

低血圧とは、収縮期血圧(最大血圧)100(mmHg)以下、拡張期血圧(最低血圧)60(mmHg)以下の事をいいます。

 

高血圧と違い、症状がなければ治療をしなくても良いというのが一般的な考えです。そのため低血圧はあまり臨床的には注目はされていません。当院の専門外来を受診される方には、坐位や立位の血圧測定にて、低血圧を認めることが多くみられます。

 

低血圧に伴う症状には、以下のものがあります。

① 立ちくらみ、めまい。ひどくなると失神する。

② 立っていると気持ちが悪くなる。動悸や息切れが起こる。

③ 入浴後に体調不良になりやすい。

④ 朝起きるのが苦手である。

⑤ 全身倦怠感がある。

⑥ 顔色が悪い、青白い。貧血がある。

⑦ 食欲不振や胃もたれ、腹痛が起こりやすい。食後に体調が悪くなりやすい。

⑧ 頭痛、首こり、肩こりがある。臥位の場合は出にくい。

⑨ 精神的ストレスで体調不良になりやすい。

⑩ 気象変化に弱い。乗り物酔いをしやすい。

 

他にもありますが、分かりやすく10項目にしています。

 

当院で行なっている専門外来での症状に一致することが多いです。首肩こり、貧血、自律神経失調症などと相互に関係していると考えています。そのため、当院では低血圧を疑う方には自宅での血圧測定をおすすめしています。特に起床時の血圧が重要です。

緊張しやすい方は、診察室では緊張して血圧も上がってしまうので、低血圧は隠れやすくなってしまいます。

 

低血圧には、急性低血圧と慢性低血圧があります。

 

急性低血圧には、アレルギー(アナフィラキシーショックなどで急激に血圧が低下します)、ショック症候群(外傷による血管外への出血、心筋梗塞などの心機能低下など)、アルコール(空腹でアルコールを飲んで急速に吸収されて血管拡張による血圧低下)によるものなどがあります。

急性低血圧の方は、それぞれの原因に対しての適切な治療が必要となります。

 

慢性低血圧には、体質性低血圧と症状を伴う、起立性低血圧本態性低気圧症候性低気圧などがあります。

起立性調節障害は厳密には起立性低血圧とは違いますが、よく似ています。当院の患者さんでは、起立性調節障害と診断され治療されている方は、比較的が多いです。以前書いた起立性調節障害のブログを参照されてください。

 

体質性低血圧:常に低血圧ですが、症状が全くないため問題ありません。

本態性低血圧:明らかな原因がなく慢性的に低血圧な場合です。症状がない場合は、体質性低血圧となっていると考えて良いでしょう。

血圧が低いのを自覚していたり、指摘されるため、当院に来る際にはすでに診断されている方が多いです。

症候性低血圧:貧血、糖尿病や悪性腫瘍、甲状腺機能低下症、パーキンソン病などの神経難病、その他様々な疾患が原因となっています。

 

起立性低血圧:臥位では収縮期血圧が100mmHg以上あるが、立位になると80mmHg以下にも下降する状態です。

収縮期血圧が21mmHg以上下がる場合となります。

 

起立性低血圧が起る理由には、自律神経が関係しています。

自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれています。交感神経は血圧を上昇させ、副交感神経は血圧を低下させます。起立直後に下がる直後型、時間が経って起きる遅延型の2つがあります。

 

起立性低血圧が起るメカニズムについて説明をします。血圧維持に関しては以下のシステムとなっています。

① 立ち上がると頭部への血流が減る。頭部へ行く血管は総頚動脈と椎骨動脈があります。特に総頚動脈の血流が多いです。

② 血流を減ったことを、頚動脈洞で感知します。

③ その信号が、自律神経を通じて、脳幹にある血圧中枢に伝わります。

④ 交感神経が優位になることで、心拍数の増加と末梢の血管を収縮させて、脳への血流を保持します。

 

この一連の流れがスムーズに行けば、起立性低血圧は起きません。

 

起立性低血圧は、寝ていてから起きるとき、特に早朝時に起きやすいです。これは、寝ているときは副交感神経が優位なためです。起き始めには、まだ活動モードの交感神経にうまくスイッチが入っていないと考えるとわかりやすいでしょう。

 

高齢の方では、動脈硬化が強い事が原因となりやすく、直後型の低血圧となることが多いです。

 

思春期や成長期の方では、成長発達段階(自律神経もまだ発達途中)のため起きやすくなります。起き上がることができない場合と遅延型が起きることが多いです。

思春期や成長期では、起立性調節障害と診断されることが多く、治療としては同じような薬を使用します。

骨格が急速に大きく来ることに、自律神経系が対応出来なくなっている場合や姿勢のゆがみ、首肩こりなどの自律神経の乱れやすい状態で起きやすくなります。朝気圧が下がっていると、低血圧のため、体が動かないという症状を持っている方は当院では多いです。

 

朝礼中に気持ち悪くなったり、めまいがしたりなどの体調不良、酷くなると意識をうしなったりする場合があります。立ち仕事を長時間されていて出る方もいます。

 

遅延型では、自律神経が乱れている方が起きやすいです。自律神経が乱れやすい骨格の状態の方が起きやすいと臨床では感じています。

貧血と間違われることもありますし、合併していることもあります。

 

様々な要因が低血圧と関係しますので、総合的な判断が必要となります。

 

治療や対処法に関しては、次回に書いていこうと思っています。



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