「気象病ハンドブック」増版となりました



「気象病ハンドブック」増版となりました

2022年10月22日 19:47更新
専門外来コラム


「気象病ハンドブック」増版となりました。ありがとうございます。

 

/5に発刊となりました書籍「気象病ハンドブック」の増版が決定しました。今年の9月は台風が数多く発生し、複数の台風に囲まれたり勢力が史上最大級だったりと、気象病の方でなくても体と心に負担の多いシーズンでしたね。また、寒暖差による不調を訴える方も注目されてきており、気象病には気圧・気温・湿度の3要素が重要なポイントであると再認識しています。書籍を手に取ってくださった方には、

 

・セルフケアがたくさんあってありがたい

・気象病でなくても健康に関心のある人には役立つ

・ストレッチなどが新しい

・かわいい、さわり心地が良い、大切にしたくなる

 

などと声を頂きありがたい限りです。増版の知らせを聞き、出版社である誠文堂新光社の編集の方や製作スタッフ陣と喜びを噛みしめているところでした。

気象病ハンドブックは、さまざまな方にとって意義のある本になるように作られています。今回は、この本の使い方について用途別にご紹介します。

 

気象病ハンドブックが活躍する場面

 

①気圧変動が大きい台風・梅雨シーズン

気象病で最も多いのが、気圧の変化による不調です。低気圧不調と言われているくらいなので気圧が下がるときに不調が出る方は多いですが、基本的には上下に関係なく、気圧の変化が起こると体調に影響が出ます。

 

気圧の低下・上昇が大きく繰り返されるのが梅雨・台風シーズンです。梅雨は雨の日が多くなるので、気圧が下がったり戻ったりと気圧変動が繰り返されると不調が起きやすくなります。また、梅雨時期は常に湿度が高いです。湿度の高さにより体温調節がしにくくなったり呼吸がしづらくなったりして、自律神経の負荷が増えます。

 

台風シーズンは気圧低下の程度が大きくなるため、不調もより強く出やすいです。台風の場合は、台風が遠くに存在していたとしても頭痛や倦怠感などが発症しやすいです。台風が過ぎ去ったと思うとまた発生して…の繰り返しが起こると、患者さんの心も折れてしまうみたいです。少しでもお薬やセルフケアで対策をすることが大切です。

 

②寒暖差の大きい春・秋

気象病は気圧の影響、という印象が大きいかもしれませんが、寒暖差による不調(寒暖差疲労・寒暖差アレルギー)にも注意しておきたいです。実際、最近では寒暖差による不調を訴える方も増えてきており、患者さんやメディアの取材・特集などが多いです。

 

寒暖差の大きい季節は春と秋です。寒暖差でポイントとなるのが、①1日の気温差②前日との気温差③室内外での気温差、の3つです。春と秋は①②の影響が大きく、疲労感や倦怠感、首肩こり、冷え・のぼせ、頭痛、めまいなどを訴える方が増えます。

 

人間の体温は、外の環境変化に影響されることなく、常に36℃程度で一定に保たれています。体温が一定でいられるのは、自律神経がはたらいて体温を微調整しているおかげです。寒暖差が大きければ大きいほど、体温調節に自律神経が酷使されることになります。必要以上に心身のエネルギーが体温調節に使われてしまうため、疲労感などが起きやすいのです。寒暖差のシーズンは、十分な休息と栄養補給、冷え・のぼせ対策がポイントになります。

 

③日頃から(自律神経や体のメンテナンスをしたい方)

現代は、心身に負担のかかるような多くのストレッサーが潜んでおり、自律神経が乱れていない人の方が珍しいですね。私のクリニックには、自律神経の不調により生活に支障が出ている方が多く来院されます。しかし本当は、不調が出る前に自律神経のメンテナンスをすることがとても大切です。生活習慣を整える工夫をするだけでも自律神経への負担を減らすことができるので、ストレッチや運動などをやってみましょう。

 

目的別の使い方

 

不調の知識を深めたい人は最初から1項目ずつ

 

気象病の対策は、お薬などの治療もありますが、セルフケアの部分が大きいです。ご自身で生活を見直すためには、「なぜ不調が起きているのか?」という根拠や仕組みを理解してからだと、より効果的にセルフケアに取り組むことができます。前半は、気象病の導入から気象病の正体、自律神経についてなど、学習要素が盛りだくさんです。まずはゆっくり勉強して知識を深めていきたいという方は、はじめから1項目ずつ読まれることをお勧めします。

 

興味のある内容だけを知りたい人は好きなところだけを

 

気象病ハンドブックは、読者の方の疑問に応える形で、見開き2ページずつの構成になっています。目次を読んで、気になる内容だけを抽出して読むことができます。最初からじっくりよむ時間や体力がない方は、お好きなところだけ目を通して頂ければ大丈夫です。

 

今ある不調を何とかしたい方は5章から

 

第5章は、気象病の症状別に、症状の特徴や対策を載せています。「今○○の症状があるから、今すぐ何とかしたい」という方は、まずはご自身の不調の項を読んで頂けたらと思います。ここだけのお話ですが、不調別にセルフケアや対策を載せたものの、他の症状にも効くストレッチや、合わせてやった方が効果的な内容もあります。たとえば、呼吸は自律神経を整えるための基本となるので、すべての症状に関係してきます。症状にお困りの方は、余力があるときに5・6章全体を見て頂けたら幸いです。

 

不調はなくても運動習慣を見直したい方は6章を実践

 

6章は、気象病の不調を抱えている方はもちろん、より健康を目指したい方にとっても大切な運動・セルフケアが載っています。「気象病はそこまで重くないけれど、骨格を見直して適切な運動習慣を取り入れたい」という方は、6章だけでも構いません。私が推奨しているのは、主に背骨(肩甲骨や骨盤なども)を動かす運動です。背骨の動きが良い人は、心身の出すパフォーマンスが上がります。背骨は自律神経や髄液の分布とも関係しています。ご自身に本来備わっている能力を最大限に発揮することは、つまり不調が少なく元気に過ごすことにつながります。不調の方にも、より元気な状態を目指したい方にも、6章のセルフケアは必要ということですね。

 





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