まだまだ続く暑さ・冷房病対策
2024年8月9日 07:20更新
専門外来コラム
まだまだ続く暑さ・冷房病対策
毎日35℃を超えるような酷暑が続いており、年々夏の過ごし方も少しずつ変わってきているように思います。熱中症には十分に気をつけなければいけない一方で、外出の機会が減ると運動不足に陥りやすく、かといって室内にいると冷房環境による冷えや寒暖差疲労などを引き起こしやすいです。夏バテや冷房病、不眠、寒暖差疲労など、夏を元気に過ごすことが中々難しくなってきました。そんな状況だからこそ、夏を快適に過ごすためのポイントをおさえていきましょう。
・今年の暑さの特徴
今年の暑さの特徴は、なんといっても「湿度の高さ」だと思います。ひと昔前の夏は気温が高くてもカラッとした暑さだったような気がするのですが、最近の夏は梅雨が過ぎても高温多湿でうだるような暑さです。湿度が上がるだけで体感する暑さは一気に上がりますし、汗が蒸発しにくくなるので熱が体から逃げにくくなります。
自律神経の機能が弱っている方は体温調節が苦手なので、湿度が上がったタイミングで不調を訴える人が多かったです。それに加えて体温を上回るような暑さの日数が多く、また、5~6月頃から始まり10月頃までと予想されている夏の長さも特徴的ですね。春や秋が短くなってきているように思います。
・夏に自律神経が乱れやすいポイント
夏は体温調節による負担が大きいです。体に熱がこもらないように熱を外に逃がしたり、室内外での気温差に合わせて体温を保ったりしなければいけません。また、熱帯夜により睡眠の質が下がるので、体も心も休息が十分ではありません。日中の暑さや夏バテで疲労が溜まっている状態だと思いますが、寝苦しい夜が続くことで回復しきれず全体的に弱ってきた結果、余計に自律神経が乱れやすい状況ができあがります。
・自律神経の弱い人が気をつけたい不調
[熱中症]
元々自律神経系の不調や不定愁訴などがある方は、熱中症になりやすいです。自律神経は体温調節を行うはたらきがあるので、自律神経の機能が弱っていて体温調節がスムーズにできなくなっている人は、体の外にうまく熱が放出されずに「気づいたら熱中症になっていた」「熱中症のような症状で具合が悪い」という方が多いです。水分補給をしていても熱中症になってしまうことも珍しくありません。
日中ももちろん熱中症のリスクはありますが、特に注意したいのは夜です。冷房が苦手という方も多いですが、最近の暑さでは夜中でもエアコンを切ってしまうのは危険です。自律神経が乱れている方は特に寝汗をかきやすく、大量に水分を失うと朝起きるまでには脱水を起こしてしまうことがあります。眠っているうちに脱水が酷くなるとそのまま熱中症にもつながってしまいます。頭や手足はものすごく熱くなっていて、体の表面やお腹は冷えているという状況になりやすいので、寝る前は夏でもお風呂に入って体の内側を温め、寝るときは頭だけ少し冷やしてみましょう。また、冷房で冷えすぎないようにパジャマは薄手の長そで長ズボン、布団はきちんとかけるなどの工夫も大切です。
[冷房病]
夏にやっかいなのが、冷房病です。冷えの感じ方や不調の出方はなかなか目には見えづらく、個人差も大きいです。人によって「快適」と感じる温度は差がありますよね。冷房環境にいると直接冷たい風が当たることもあり、震えるほど寒いのに頭は熱くなり、頭痛や吐き気が起きることもあります。
まず大切なのは、風がなるべく直接当たらない場所に避難すること、もしくは上着やストールなどを活用したり、首や足首などの露出を控えたりして風が当たる面積を減らすことです。そして、家に帰ったらしっかり湯船に浸かりましょう。入浴は1日の冷えや疲労をリセットしてくれる役割があるので、夏でも湯船で体を温めることをお勧めします。入浴には自律神経を整える作用や安眠効果などがあり、心身にとって良いことばかりです。
[寒暖差疲労]
春・秋は外の気温の変化による寒暖差疲労の影響が大きいですが、夏は室内外の気温差に注意が必要です。外は35℃近くの暑さで体から汗を出すために自律神経がはたらき、室内に入れば27~28℃(会社やお店だと寒いくらいの温度かもしれません)の環境下で一気に血管が収縮します。自律神経は体温調節をするために大忙しです。室内外の行き来が多い人ほど、このダメージを1日に何回も経験するので、気づいたらぐったり疲れているということもあるかもしれません。夏は暑さそのものによる疲労や夏バテ、熱帯夜による寝不足などでそもそも疲れやすくなっています。そこに寒暖差疲労が上乗せされると疲労感は大きいと思います。
[運動不足]
暑さを避けて外出の機会が減ると陥りやすいのが、運動不足です。運動不足自体は不調ではありませんが、体を動かさなくなると血流が悪くなって冷えも起こりやすいですし、不調の原因にもなります。炎天下の中で思いきり運動をするのは難しいですが、朝晩の気温の低い時間をみて散歩をする機会を作るのも良いですし、マットを使った運動(ヨガ・ピラティス)や自重で行う筋力トレーニングであれば家でもできます。具合が悪いので仕方がないですが、体調不良の人は運動不足が多く、活動量が減ると眠りも浅くなり、さらに体調が優れない…と悪循環に陥りやすいです。ブリージングと言って、呼吸をするだけでも運動になりますので、余裕のない人は深呼吸を積極的に行うだけでも違います。ぐったりしている夏こそ、動くことに気を配ってみてください。
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