立位での姿勢について
2020年12月23日 22:59更新
専門外来コラム
専門外来コラムを1年以上更新していませんでした。
自律神経と骨格(姿勢)は連動しているということを、日々感じていました。
当院で行っている専門外来(頭痛外来、肩こり・首こり外来、自律神経失調症外来、気象病・天気病外来、寒暖差疲労外来)では、姿勢評価は重要な部分となっています。
2018年12月14日に出版となった拙書「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」から抜粋と一部手を加えての内容です。
69~79Pの抜粋となります。イラストが入っていないので分かりにくいと思いますが。
「縦の軸」と「横の軸」
それでは、いよいよセルフチェックです!自分の骨格がゆがんでいるかどうか見てみましょう。
立った状態から「縦の軸」と「横の軸」をチェック
まずは姿勢をよくしようと思わずに、いつもどおりの姿勢で立ちます。
目をつぶって、3回ゆっくりと深呼吸をしてから、力を抜いて立ってみてください。このとき、正面から見てどんな立ち方をしているでしょうか?
全身が映る鏡、またはスマホで撮影してみてください。
【両足の位置がそろっていて、膝の皿が正面を向いていて、左右の骨盤・肩の高さが同じで、頭の位置がまっすぐ(首が左右にも上下にも曲がっていない)】の状態が理想的です。
この状態は、正面から見たときに、「縦の軸」(背骨のライン)と「横の軸」(耳のライン)が両方まっすぐになっている状態です。多少のゆがみは誰にでもありますが、あまりにも前後左右のバランスに偏りがあると要注意です。
・縦の軸:背骨のライン
縦の軸とは、正面から見ると、【眉間・あご・鎖骨のあいだの中間地点・へそ・膝のあいだの中間地点・かかとのあいだの中間地点】を線でつないだときの一本線です。地面と垂直にまっすぐつなぐことができると理想的です。
・横の軸:耳のライン
横の軸とは、【両耳の穴】をつないだときの一本線です。地面と並行に保たれているのが理想となります。
正しい立ち方は縦の軸と横の軸がまっすぐ頭が傾いていない
立ち方3つのパターン:
理想・反り腰・猫背
4足歩行から2足歩行に進化した人間の基本姿勢は、「立っているとき」です。
「立っているときにバランスが取れていること」がまず目指すべき状態となります。
・壁を使って立ち方をチェック
壁に沿って立ってみましょう。かかと・お尻・肩甲骨の3点を壁につけるようにしてください。見るべきポイントは次のとおりです。
①壁に頭がつくか
②壁と腰のあいだ(骨盤の上の部分)に指1本分の隙間ができるか
この2点を見るだけでも、正しい姿勢かどうか判断できます。
壁と腰のあいだの隙間は、まったく空かないのも、空きすぎているのも N Gです。
しかし反り腰の方は、大きく握ったこぶしほどになることもあります。逆に猫背の方は、骨盤の上に隙間ができないために、指が入りません。
頭については、自然と後頭部が壁に触れる状態が理想的です。がんばって壁につけようとしてあごを上げる方がいますが、それは首が前に伸びたまま無理に頭を上げようとしたときの動作です。その時点で反り腰か猫背のどちらかではないかと疑うことができます。
さて、立ち方にはざっくりわけて3つのパターンがあります。理想・反り腰・猫背の3つです。あなたはどれに当てはまるでしょうか?
それぞれのポイントについて解説していきます。
横から見たときに、
反り腰 カーブ2つ
理想 カーブ3つ
猫背 カーブ1つ
に見えます。
・理想
頭部と骨盤の間にある脊椎のカーブから考えてみます。本来、頚椎7個は全体で前にカーブ、胸椎 12 個は全体で後ろにカーブ、腰椎5個は全体で前にカーブしています。このカーブが3つあることで、全身にかかる重力にうまく対応しているのです。カーブがなくまっすぐな場合と、カーブがある場合では、かかる抵抗力は全く異なってきます。
前にカーブしているのは頚椎7個+腰椎5個で 12 個、後ろにカーブしているのは胸椎の 12 個で、骨の数は同じです。これは2つのカーブ( 12 個の骨)と1つのカー ブ( 12 個の骨)が釣り合っているということです。
このバランスが保てていること が重要なのです。どこかのカーブが崩れてしまうと、そのバランスをとるためにほかのカーブも連動して崩れていくことになります。
・反り腰
反り腰は、骨盤が前に倒れている(前傾している)ために、そのぶん腰を後ろに反らして、バランスを保とうとしている状態です。すると、胸椎が後ろにカーブしすぎてしまうので、そのぶん首も前のカーブをなだらかにしてバランスをとろうとします。これがいきすぎて、ストレートネックになってしまっていることがよくあります。3つあるはずの脊椎のカーブが2つになってしまいますので、体にかかる負担は増えてしまいます。
反り腰は、高いヒールを履いている女性により起きやすいです。高いヒールを履くと、自然に骨盤が前傾し、反り腰になるのです。
・猫背
猫背は、骨盤が後ろに傾いている(後傾している)ために、首は前のカーブをなくすことで、バランスをとろうとします。すると、ストレートネックやクレーンネックの状態になってしまいます。3つあるはずの脊椎のカーブが1つになってしまっている状態です。
反り腰も猫背も、理想のパターンである【前のカーブ2つ( 12 個の骨):後ろのカーブ1つ( 12 個の骨)】で重力に対してバランスをとっていたのが、崩れてしまっています。両方とも、首が前方へ出てしまっているのです。そうなると、重力は真下にかかっているために、首は頭の重さをより負担することになります。
前述したとおり、頭の重さは体重の8〜 10 %ほどと言われています。女性でも5キロ前後、男性だとさらに重くなります。5キロって重いですよね。それを首から下で支えているのです。
重たいスイカを持っているときをイメージしてみてください。手を体から離して持つことはあまりありませんよね。重いものを持つときは手を体に寄せて、体幹でしっかり支えたほうが楽に持てます。手をピンと伸ばしてスイカを持つと、数分だとしても大変疲れます。首が前に出ているというのは、これと同じです。さらに姿勢が悪い方は、常に指先でスイカを持っているような状態になっているのです。いかに体に大変な負担をかけているか、想像いただけたでしょうか。
そればかりでなく、姿勢はもちろん見た目にも関係してきます。 人の印象は、立ち姿勢がいいか悪いかだけでもまったく異なってきます。 立ち姿が悪いとそれだけでマイナスの印象を与えます。自信がなさげで疲れた印
象なので、ビジネス的にもプラスになることはありません。逆に、立ち姿がよいと、それだけでよいイメージを与えることができます。無駄な力が入っておらず、安定した状態なので、適度な自信や信頼感、安定感を与えることができ、「信頼できそう」「仕事ができそう」という印象につながるのです。
次回は、座っているときの話をする予定です。
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