今年の気象病対策2024



今年の気象病対策2024

2024年6月9日 20:07更新
専門外来コラム


今年の気象病対策2024

 

ここ数年は例年と異なる異常気象が続いています。今年度も5月は異例の暑さ、激しい寒暖差、不安定な気候などで最近は体調を崩されている方が本当に多いです。6月は梅雨、気象病が目立つシーズンです。今年の梅雨入りは全国的に6月中旬という予報も出ています。梅雨は気温が高めで湿気が多く、ジメジメした日が続きます。雨に伴って気圧変動も大きいため、心身ともに不調が出やすい季節です。体調が悪いと寝込んでしまったり、気持ちもふさぎ込んでしまったりで、活動量が減ってしまうと思います。体調が悪いと動けなくなるのは当然なのですが、動かなさすぎるのもそれはそれで体に良くありません。今回は梅雨を乗り切るための工夫についてお伝えしていきます。

 

・気象病になりやすい人の特徴―女性・デスクワークの方は要注意―

気象病は、気圧の上下や気温差、湿度の影響によって体調不良が起こります。代表的なのは頭痛です。そして、めまいや倦怠感、朝起き上がれない、メンタル面での不調などの症状も出ます。

 

[女性]

気象病になりやすいのは特に、女性、デスクワーク・運動不足の方です。女性は、月経周期がある関係で、元々ホルモンのバランスが乱れやすく、自律神経に負担がかかっています。自律神経が乱れている人は気象病にもなりやすいです。そして、女性は筋肉量が少なく、特に若い方は血圧が低めであることもあり、血流が悪くなりやすいです。血流が悪いと身体が浮腫みやすい(余計な水分を溜めこみやすい)ので、気象病の症状が出やすくなります。

 

[デスクワーク・運動不足の人]

「デスクワークになってから体調が悪くなった」という方は、実は結構多いです。長時間同じ姿勢で作業に集中していると、知らず知らずのうちに姿勢が乱れ、悪い姿勢が癖になってしまいます。特にデスクワークは、目線が下でうつむき姿勢が続きますよね。頭が前に出て首・肩に負担がかかり、猫背などになるのが当たり前になっている方が多いと思います。良くない姿勢が続くと、骨格そのものもゆがみ、自律神経を弱らせてしまうことになります。自律神経のキャパシティーが減ってしまうと気候変動のストレスに打ち勝つ力も減ってしまうので、気象病の症状が出やすくなります。仕事が忙しいとどうしても運動不足になりやすいですが、凝り固まった身体をほぐしたり動かしたりする時間を作っていきたいですね。

 

「暑熱順化」で体温調節をしやすい体に

梅雨のシーズンは、気圧の上下だけではなく蒸し暑さもあるので、まずは蒸し暑さに対応できるように暑さに体を慣らすことが大切です。自律神経は変化に弱いため、暑くなり始めのタイミングや梅雨入り時に不調が出ることが多く、梅雨の後半になると、案外体が慣れてしまっているという方もいます。

 

最近では「暑熱順化」という言葉が浸透してきています。暑熱順化とは、体が暑さに適応できるように、体を暑さに慣らすことを言います。人は暑さに慣れると、気温が上がった時に汗をかいて、体温が上がり過ぎないように調節できるようになります。この体温調節の機能には自律神経が関わっています。季節の移行時期で体がまだ暑さに慣れていないと、熱がこもりやすくなって熱中症になったり、体調不良を引き起こしやすくなります。

 

暑さに慣れるためには、汗をかく練習をしましょう。「体温が上がる→汗をかく」という流れを繰り返すことで、暑い時にもスムーズに汗をかくことができるようになります。おすすめなのは、軽い運動と入浴です。ウォーキングや自転車など、日常に取り入れやすいもので大丈夫です。汗をかく練習をしている最中なので、できれば間を空けず、毎日できると良いですね。

 

[体温調節をしやすい環境と服装]

梅雨の蒸し暑さを乗り切るのに暑さ対策も大切ですが、もう一つポイントとなるのが、湿気対策です。湿度は体感温度に与える影響が大きいのをご存じでしょうか?同じ暑い日でも、カラッとした日とジメジメした日とでは快適さが異なりますよね。湿度が高いと暖かく感じ、低いと涼しく感じます。除湿器を積極的に使用していきましょう。除湿をすることで体感温度も下げることができますが、汗が蒸発しやすくなるので汗もかきやすくなります。

 

セルフケア①耳のマッサージ

耳には、自律神経に良いツボがたくさん集まっています。耳は気圧を感じるセンサーでもあるので、耳を引っ張ったりして耳まわりの血流を良くすると、気象病の予防になります。少しマッサージするだけで顔回りがポカポカしてくるのを実感できるでしょう。

 

[耳のマッサージ]

両耳の真ん中あたりを持って水平に軽く引っ張ったり斜めに引っ張ったりします。10秒キープするくらいが良いでしょう。次に、耳たぶを持って前後にゆっくり大きく回します。前に5回、後ろに5回やってみてください。

 

セルフケア②背骨のメンテナンス

デスクワークや運動不足の方が気象病になりやすいのには原因があります。身体を動かさないまま不良姿勢を続けていると、骨格のゆがみが強くなるからです。背骨は自律神経の通り道でもあるので、背骨のメンテナンスをして骨格のバランスを整えることで、自律神経にも良い効果が得られます。自律神経が整えば気象病にもなりにくいです。

 

[背骨のリセット]

  • 両足を腰幅に開き、正面を向いて立ちます。
  • 息を吐きながら、首(鼻の奥のあたりです)から背骨を1コずつ丸めていくイメージで、おじぎするように上半身を倒します。
  • 肩や腕は力を抜いてだらんとしながら、呼吸は止めずに60秒ほどキープしましょう。
  • 軽く息を吐きながら、今度は背骨を下から(お尻のあたりが一番下です)1コずつ積み立てていくようにゆっくり起こしていきます。

 





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