概日リズム睡眠障害について
2026年4月13日 13:45更新
専門外来コラム
概日リズム睡眠障害について。
「朝どうしても起きられない」、「夜になると目が冴えてしまう」、「午前中は調子が悪い」
こうした悩みを、単なる生活習慣や意志の弱さとして片付けてしまっていないでしょうか。
しかし実際には、それは医学的な問題の可能性があります。概日リズム睡眠障害かもしれません。
この疾患は、体内時計(概日リズム)が社会生活の時間とズレてしまうことで、睡眠と覚醒のタイミングが合わなくなる状態を指します。人間の体には約24~25時間周期のリズムがあり、睡眠・覚醒、体温、ホルモン分泌などをコントロールしています。しかしこのリズムが後ろにずれたり、一定でなくなったりすると、「眠りたい時間に眠れず、起きるべき時間に起きられない」という状態になります。
自律神経の乱れが先なのか、概日リズム睡眠障害が先なのか、判断しにくいですね。
睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠覚醒症候群3つに分類されます。
特に多いのが「睡眠相後退症候群」と呼ばれるタイプです。これは、入眠時間が深夜から明け方にかけてずれ込み、その結果として朝起きることが極めて困難になる状態です。重要なのは、「起きられない」のではなく、「体がまだ夜だと認識している」という点です。つまり、本人の意思とは関係なく、生理的に覚醒できない状態にあるのです。
この疾患はしばしば誤解されがちです。「夜更かしの延長」「怠けているだけ」「早く寝れば治る」といった認識は正確ではありません。実際には、本人は改善しようと努力しても眠れず、朝起きられないことに強いストレスを感じています。努力ではどうにもならない点が、この疾患の特徴です。
では、どのような場合にこの病気を疑うべきでしょうか。まず、休日になると昼過ぎまで眠ってしまう、または放っておくとどんどん就寝時間が遅れていくといった生活パターンが見られる場合は注意が必要です。また、夜型の生活では比較的元気に活動できる一方で、朝の仕事や学校ではパフォーマンスが著しく低下する場合も特徴的です。
さらに重要なのは、「改善しようとしても改善しない」という点です。早く寝ようとしても眠れない、目覚ましを複数使っても起きられない、生活習慣を整えてもリズムが戻らないなど、こうした状況が続く場合は、単なる生活習慣の問題ではなく、医学的な評価が必要になります。
診断においては、特別な検査が必須というわけではありません。基本となるのは詳細な問診と睡眠記録です(この二つの基本は続けるのが結構大変です)。
2週間程度の睡眠日誌をつけることで、生活リズムのズレが明確になることが多いです。補助的に、腕時計型の活動量計(アクチグラフ)や、メラトニン分泌のタイミングを測定する検査が用いられることもありますが、実臨床では問診と記録だけで十分判断できるケースも少なくありません。
治療において重要なのは、「無理に合わせる」のではなく、「リズムを調整する」ことです。
代表的な方法としては、
①朝に強い光を浴びる光療法
②メラトニンの分泌を調整する薬物療法(効果があるないは個人間での差が大きい)
③就寝時間を少しずつ前にずらしていく行動療法
があります。
ここで大切なのは、一気に正常な生活に戻そうとしないことです。急激な変化はかえって失敗しやすく、少しずつ段階的に調整することが成功の鍵となります。
当院でいつも話しているのは、
「スマホは寝る1時間前にはやめておきましょう」、
「夕方以降は部屋は白色系ではなく暖色系にしましょう」、
「午前中に太陽光を浴びるようにしましょう」 などです。
医療現場では、この疾患が見逃されることも少なくありません。「早く寝ましょう」といった一般的な生活指導で終わってしまったり、不眠症や精神的な問題として扱われたりするケースもあります。しかし、概日リズムの問題である以上、アプローチもそれに合わせる必要があります。
「朝起きられない」という症状の裏には、本人の努力では解決できない生理的な問題が隠れていることがあります。もし、生活改善を試みても改善しない場合や、夜型の方が明らかに調子が良いと感じる場合には、一度この疾患を疑ってみることが大切です。適切な理解と対応によって、生活の質は大きく改善する可能性があります。
当院では、「朝学校(仕事)に間に合わない」、「朝起きられない」、「午前中怠くて起きられない」という日常生活に支障が出ているため、受診される方が多いです。
注目しているポイントがあります。
・当院が1件目に相談している医療機関ではないことが多い。
・起立性調節障害と診断され治療をしているが改善していないため、自律神経の問題(自律神経失調症)ではないかと考えて当院受診となった。
・10代〜20代の方で多い。
・気象病のチェックリスト:①天候が悪い時に体調が悪い。②雨が降る前や天候が悪化する前に、何となく天気の変化が予測できる。→該当する。
この注目しているポイントについては、どこかで書いていければとは思っています。
概日リズム睡眠障害という診断が付いて、治療がうまくいくこともあります。
しかし、自律神経の乱れや、起立性調節障害、気象病、などの対策も同時に行う必要がある方が多いのではないかと、実感しています。
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