自律神経失調症について その1
2019年10月22日 23:31更新
専門外来コラム
久しぶりに専門外来についてのコラムを書かせて頂きます。
自律神経失調症についての話をしていこうと思います。
それ以外の項目についても、不定期になりそうですが、ブログに書いていけたらと考えています。
2018年12月14日に出版となった拙書「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」から抜粋と一部手を加えての内容となっていく予定です。本の順番どおりではありません。
当院では、「頭痛外来」、「肩こり・首こり外来」、「自律神経失調症外来」、「気象病・天気病外来」、「寒暖差疲労外来」という特殊外来を開設しております。
自律神経失調症外来を受診される方で、私の説明を聞いて??と思われる方は多いです。
その理由は、私の自律神経失調症に対しての捉え方が、一般的とは異なっているからです。
通常でいえば、自律神経失調症というと精神的なストレスがメインであるという認識が強くあります。
自律神経
→ややこしい、理解しにくい、面倒くさい。これは、一般の方、医療関係者でも同じ場合が多い。
→動悸、めまい、全身倦怠感+慢性疲労、息苦しさ・呼吸苦、喉のつまり・違和感、不眠・睡眠の乱れ、腹部の不調などの様々な症状の原因が説明できない(原因が診察や検査でも確定できない)→これらの症状が1つではなく、複数ある。
→不定愁訴と診断される=自律神経失調症 という保険病名で説明が出来てしまう。
→悩んでいる方もそれで説明ができてしますので、納得してしまう。
→ストレス社会だから、精神的なストレスがメインだよね。
これが落としどころとなっていると考えています。
このような事が多々見られています。何故そう思うのかと、患者さんに話を聞くと、
①インターネットの情報で自律神経失調症に一致する
②医療機関で自律神経失調症と診断された
③家族や知人に自律神経失調症じゃないのか
と言われた。と話される方が多いです。
私自身の臨床経験では、精神的なストレス→自律神経失調症では、患者さんに納得のいく説明は出来ません。
46P~51Pからの引用です。
自律神経が乱れる原因は「精神的ストレス」だけではない
さて、「自律神経を整えよう」と思ったら、どのようにすればよいのでしょうか?
それを知るために、まず、「自律神経にはどんなことが影響するのか」ということを確認していきましょう。
自律神経に影響を与える主な要因は、ストレスです。
一般に、ストレスというと、「精神的な負荷」を意味すると認識されています。
しかし、1章でも述べたとおり、ストレスといっても精神的なものだけではありません。「身体的なストレス」、「環境的なストレス」も立派なストレスです。
医学・心理学においては、心と体にかかる外部からの刺激を「ストレッサー」と呼びます。そして、ストレッサーに適応しようとした結果、心身に生じるさまざまな反応を「ストレス反応」と呼びます。
ストレッサーには、次の4つがあります。
・物理的ストレッサー(暑さ・寒さ、騒音、混雑、悪臭など)
・化学的ストレッサー(酸素の欠乏・過剰、公害物質、薬物など)
・生物的ストレッサー(炎症、細菌・ウイルスの感染、睡眠不足など)
・心理・社会的ストレッサー(人間関係や社会生活上の問題など)
「ストレス」と聞くと、 「心理・社会的ストレッサー 」が真っ先に思い浮かぶ方が多いと思います。
しかし、実際には、暑さ・寒さなどの環境的要因によるストレスや、ウイルス感染や睡眠不足などの肉体的要因も含まれるわけです。
法律で定められている「ストレスチェック制度」からも、そのことがわかります。
これは、定期的に労働者のストレス状況について検査を行い、本人に結果を通知して自らのストレス状況に気づきを促し、個人のメンタル不調のリスクを軽減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげることを主な目的としています。労働者が 50 名以上いる事業所において義務付けられているため、毎年受けている方も多いでしょう。
ストレスチェックというと、精神的な要因を連想されると思います。しかし、身体的な要因や、環境的な要因に当てはまるものも多いのです。
厚生労働省が提供するチェック項目「職業性ストレス簡易調査票」から、当てはまるものをいくつか抜粋します。
【STEP1仕事について】
→「そうだ、まあそうだ、ややちがう、ちがう」のいずれかで回答します。
・非常にたくさんの仕事をしなければならない
・時間内に仕事が処理しきれない
・一生懸命働かなければならない
・かなり注意を集中する必要がある
・からだを大変よく使う仕事だ
・私の職場の作業環境(騒音、照明、湿度、換気など)はよくない
など
【STEP2 最近1ヶ月の状態について】 →「ほとんどなかった、ときどきあった、しばしばあった、ほとんどいつもあった」
のいずれかで回答します。
・ひどく疲れた
・へとへとだ
・だるい
・めまいがする
・体のふしぶしが痛む
・頭が重かったり頭痛がする
・首筋や肩がこる
・腰が痛い
・目が疲れる
・動悸や息切れがする
・胃腸の具合が悪い
・食欲がない
・便秘や下痢をする
・よく眠れない
など
抜粋したのは、身体的要因や環境的要因と考えてよい部分です(もちろん、精神的ストレスを受けた結果身体に影響が出てきているという部分もあります)。
57 あるチェック項目のうち、 20 程度となります。全体の3分の1程度ですね。
このことからもうかがえるとおり、もっと物理的・化学的・生物的ストレッサー、つまり身体的なストレス・環境的なストレスの影響について考えるべきではないでしょうか。
精神的なストレスで自律神経が乱れることはよくあります。一方で、身体的・環 境的なストレスで自律神経が乱れることもよくあります。
しかし、「自律神経の乱れ」というと、「精神的ストレスのせい」という解釈に行き着いてしまうことが多いのが現状です。これでは、残念ながらよい結果に結びつく可能性は低いでしょう。
心・体・環境、トータルで考えてみてください。
続きは次回以降で。
前へ:« 10/21月曜~10/28日曜の気象病(気圧+寒暖差疲労、湿度)の予想です。
次へ:婦人公論に掲載されました »
Blogメニュー
▶Blogトップ