片頭痛とは?症状・診断基準から最新の治療薬までわかりやすく解説
2026年8月15日 08:15更新
専門外来コラム
片頭痛とは?症状・診断基準から最新の治療薬までわかりやすく解説
「頭がズキズキする」「頭痛がすると寝込んでしまう」「光や音がつらくなる」
このような症状が繰り返し起こる場合、**片頭痛(偏頭痛)**の可能性があります。
片頭痛は単なる「頭痛持ち」ではなく、日常生活や仕事、学校生活にも大きな影響を及ぼす神経疾患です。一方で、近年は治療が大きく進歩しており、従来の鎮痛薬やトリプタンに加えて、CGRP関連抗体薬などの新しい予防治療も選択できるようになりました。
今回は、片頭痛の症状、診断基準、治療薬、予防薬、そしてCGRP関連抗体薬について解説します。
当院の頭痛専門外来では、緊張型頭痛と片頭痛の方が多く、特に片頭痛の中は、痛みの回数、痛みの程度で悩んでいる方が多いです。
片頭痛の主な症状
片頭痛という名前から「頭の片側だけが痛む病気」と思われがちですが、必ずしも片側だけとは限りません。
典型的には、
- ズキンズキン、ドクンドクンと脈打つような痛み
- 頭の片側、または両側の痛み
- 中等度~強い頭痛
- 歩いたり階段を上ったりすると痛みが強くなる
- 吐き気、嘔吐
- 光がまぶしく感じる
- 音がうるさく感じる
などがみられます。
頭痛発作は、治療しなければ一般的に4~72時間持続します。
また、頭痛が始まる前から「あくびが増える」「眠気がある」「首や肩がこる」「集中しにくい」などの症状を感じる方もいます。
「前兆のある片頭痛」とは?
片頭痛の患者さんの一部では、頭痛の前に「前兆(オーラ)」と呼ばれる神経症状が現れます。
代表的なのが視覚症状です。
視野にキラキラ・ギザギザした光が見え、それが徐々に広がっていく**閃輝暗点(せんきあんてん)**がよく知られています。
そのほか、
- 手や顔のしびれ
- 言葉が出にくい
- 視野の一部が見えにくい
などがみられることがあります。
典型的な前兆は徐々に出現し、それぞれの症状は通常5~60分程度続きます。
片頭痛の診断基準
国際頭痛分類第3版(ICHD-3)では、「前兆のない片頭痛」について、以下のような診断基準が示されています。
① これまでに5回以上、同様の頭痛発作がある
② 頭痛が4~72時間続く
③ 次の4項目のうち2つ以上がある
- 頭の片側が痛む
- ズキンズキンと脈打つように痛む
- 中等度~重度の痛み
- 歩行や階段昇降など、日常的な動作で悪化する
④ 頭痛の最中に、次のどちらかがある
- 吐き気・嘔吐
- 光と音をつらく感じる
これらを総合的に判断して診断します。
ただし、頭痛には脳血管障害など別の病気が隠れていることもあります。診断基準に当てはまるからといって、自己判断だけで「片頭痛」と決めつけないことも重要です。
片頭痛の治療は「発作時」と「予防」の2本柱
片頭痛の治療は、大きく分けると、
① 頭痛が起きたときの急性期治療
② 頭痛そのものを起こりにくくする予防治療
の2つがあります。
頭痛の頻度や強さ、仕事や学校への影響などを考えながら、一人ひとりに合った治療を選択します。
片頭痛が起きたときに使う薬
1.鎮痛薬・NSAIDs
比較的軽い片頭痛では、アセトアミノフェンやNSAIDsなどを使用します。
ただし、鎮痛薬を頻繁に使用しすぎると、かえって頭痛が慢性化する**「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」**につながることがあります。
「頭痛薬を飲む日が増えてきた」という場合には、一度頭痛外来などで相談することをおすすめします。
2.トリプタン
トリプタンは、片頭痛発作に対して使用する代表的な治療薬です。
片頭痛に関係するセロトニン受容体に作用し、頭痛や吐き気、光・音過敏などを改善します。
一般的な鎮痛薬では十分に改善しない中等度~重度の片頭痛などで使用します。
3.ラスミジタン
ラスミジタンは、比較的新しい片頭痛急性期治療薬です。
トリプタンとは異なり、5-HT1F受容体に選択的に作用します。
血管収縮作用を持たないことが特徴の一つですが、めまいや眠気などが出ることがあるため、服用後の自動車運転などには注意が必要です。
片頭痛の「予防薬」とは?
片頭痛が頻繁に起こる場合や、発作によって仕事・学校・家事などに大きな支障が出ている場合には、発作が起きたときの治療だけではなく、予防治療を検討します。
従来から使用されている予防薬には、
- ロメリジンなどのカルシウム拮抗薬(当院では2番目に使用する回数が多い、予防薬です)
- プロプラノロールなどのβ遮断薬(当院では3か4番目に使用する回数が多い、予防薬です)
- バルプロ酸などの抗てんかん薬(当院では一番使用する回数が多い、予防薬です)
- アミトリプチリンなどの抗うつ薬(当院では3か4番目に使用する回数が多い、予防薬です)
- 漢方薬を使用する場合もあります。
などがあります。
患者さんの年齢、持病、妊娠の可能性、頭痛の特徴などを考慮しながら薬を選択します。
CGRP関連抗体薬とは?
近年、片頭痛治療で大きな進歩となったのが、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)に関連する治療薬です。
CGRPは、三叉神経などから放出され、片頭痛の発症に重要な役割を果たしている物質です。
このCGRPそのもの、あるいはCGRPが作用する受容体をブロックすることで、片頭痛発作を起こりにくくします。
現在、日本で使用されているCGRP関連抗体薬には、
ガルカネズマブ(エムガルティ®)
CGRPそのものに結合する抗体薬です。
フレマネズマブ(アジョビ®)
こちらもCGRPそのものに結合する抗体薬です。
エレヌマブ(アイモビーグ®)
CGRPそのものではなく、CGRP受容体に作用する抗体薬です。
いずれも注射による片頭痛の予防治療です。
従来の予防薬とは異なり、片頭痛の病態に深く関わるCGRPを標的として開発されたことが大きな特徴です。
この3種類が出たことで、片頭痛治療は劇的に変わりました。当院では、適応のある片頭痛患者さんで、これらの注射で効果が出なかったことはありません。1-2回注射では、頭痛の回数、程度ともに優位に減少しています。問題点としては、効果が4週間ということになるます(人により多少前後します)。金額も1回の注射で3割負担で12000円程度はします。皮下注射を行うので、注射場所に痛みが出やすく、かゆみがでることがあります。
CGRP関連抗体薬はどのような方に向いている?
例えば、
- 片頭痛の回数が多い
- 頭痛のため仕事や学校を休んでしまう
- 頭痛があると寝込んでしまう
- 従来の予防薬では十分な効果が得られない
- 副作用などで従来の予防薬を続けにくい
といった場合には、CGRP関連抗体薬を検討することがあります。
実際に使用できるかどうかは、頭痛の頻度、これまでの治療歴などを確認したうえで判断します。
さらに新しい治療薬「ゲパント」も登場
片頭痛治療は現在も進歩しています。
2025~2026年には日本でも、CGRPの働きを抑える**CGRP受容体拮抗薬(ゲパント)**が使用できるようになりました。
代表的なものとして、
リメゲパント(ナルティーク®)予防薬として使用するときは、2日に1回1錠の服用です。片頭痛発作時には1回1錠を出来るだけ早く服用します。患者さんに説明するときに、間違いやすいので。慣れるまでは、予防薬として初めはしようしてもらうようにしています。
片頭痛発作が起きたときの急性期治療と、片頭痛の発症抑制の両方に使用されます。金額は3割負担の方で月15回服用して、約13000円位程度します。
アトゲパント(アクイプタ®)予防薬として毎日1回4服用して、片頭痛を予防します。
片頭痛の発症抑制を目的として使用されます。金額は3割負担の方で月30回服用して、約13000円位程度します。
これらはCGRP関連抗体薬とは異なり、内服薬であることも特徴です。内服薬の予防薬では、今まであった薬とは違い、効果は非常に出やすいです。
片頭痛治療は、従来の「痛くなったら鎮痛薬を飲む」という治療から、片頭痛のメカニズムを標的とした治療へ大きく変化しています。
「頭痛だから仕方ない」と我慢しないことが大切です
片頭痛は、外見からはつらさが分かりにくいため、「頭痛くらいで……」と思われてしまうことがあります。
しかし、片頭痛は仕事、勉強、家事、育児など日常生活に大きな影響を及ぼす疾患です。
また、「市販の頭痛薬を飲めば何とかなる」と長期間自己治療を続けていると、薬剤の使用過多による頭痛を併発している場合もあります。
- 頭痛を繰り返している
- 頭痛で仕事や学校に支障が出ている
- 市販薬を飲む回数が増えている
- 頭痛が以前より増えてきた
- 吐き気や光・音過敏を伴う
- 自分の頭痛が片頭痛なのかわからない
このような場合は、一度医療機関で相談してみてください。
片頭痛は、正しく診断し、一人ひとりに合った治療を選択することで、日常生活への影響を大きく減らせる可能性があります。
※本記事は一般的な医学情報を提供することを目的としたものです。実際の診断や治療、薬剤の選択については、患者さんの症状や既往歴などによって異なります。医師にご相談ください。当院では、頭痛の症例件数が多く、患者さんにあった治療の選択肢を使用して、患者さんの納得される結果が出ています。
対面診療、オンライン診療としておりますので、一度ご相談されて下さい。
参考:国際頭痛分類第3版(ICHD-3)、日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
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