9月なのに疲れが抜けない?長雨で起こる「多雨疲労」とは
2026年9月11日 23:44更新
専門外来コラム
9月なのに疲れが抜けない?長雨で起こる「多雨疲労」とは
9月になって暑さが少し落ち着いてきたのに、
「なぜか疲れが抜けない」、「雨の日は体がだるい」、「朝起きるのがつらい」
「頭痛やめまいが増えた」、「台風が近づくと体調が悪くなる」
と感じていませんか?
9月は夏の疲れが残っているだけでなく、秋雨前線や台風による長雨、気圧の変化、寒暖差、高い湿度などが重なる季節です。
こうした気象変化は、私たちの自律神経や睡眠、体温調節などに影響し、疲労感や頭痛、めまい、眠気など、さまざまな体調不良につながることがあります。
今回は、長雨が続く時期にみられるこうした不調である「多雨疲労(たうひろう)」について解説します。
※「多雨疲労」は正式な医学的診断名ではありません。
「夏バテなら夏に起こるのでは?」と思うかもしれません。
実は9月は、身体にとって負担の大きい季節です。
真夏の間、私たちの身体は猛暑や高湿度にさらされます。さらに、屋外の暑さと冷房の効いた室内との温度差にも繰り返し対応しています。
この調整に大きく関わっているのが自律神経です。
そして9月になると、今度は秋雨前線や台風によって天候が変わりやすくなります。
気圧が下がる、湿度が上がる、気温が急に下がる、翌日は再び暑くなる――。
つまり9月は、
夏の疲労 + 長雨 + 気圧変化 + 寒暖差 + 高湿度
という複数の負担が重なりやすい時期なのです。
「夏が終わったのに体調が戻らない」という方は、夏バテが残っているだけではなく、秋の気象変化への対応で身体が疲れている可能性も考えてみましょう。
長雨による「多雨疲労」でみられる症状
雨の日が続く時期には、次のような症状がみられることがあります。
・体がだるい、疲れが取れない
・朝なかなか起きられない
・日中に眠気が強い
・頭痛、頭重感
・めまい、ふらつき
・耳が詰まったように感じる
・首こり、肩こり
・体がむくむ
・食欲がない、胃が重い
・動悸がする
・集中力が続かない
・気分がすっきりしない
これらは一見すると別々の症状に見えますが、その背景に自律神経の働きや気象変化への反応が関係している場合があります。
特に、もともと片頭痛や気象病、めまいなどがある方は、天候の変化に伴って症状が悪化することがあります。
雨が続くと体調が悪くなる4つの理由
① 気圧の変化と「内耳」
気象病を考えるうえで重要なのが、耳の奥にある内耳です。
内耳には、音を聞く働きだけでなく、身体の傾きや動きなどを感じ取り、バランスを保つ働きがあります。さらに、気圧変化を感知する仕組みに内耳が関与している可能性も研究されています。
台風や低気圧が近づいて気圧が変化すると、その刺激が内耳などを介して脳へ伝わり、自律神経系に影響すると考えられています。
気象変化に敏感な方では、その結果として、頭痛、めまい、倦怠感、眠気、動悸
などが現れることがあります。
患者さんから、
「天気予報を見る前に、頭痛で雨が分かります」
「台風が近づいてくると体調が悪くなります」
という話を聞くことがあります。
重要なのは、雨が降っている瞬間だけが問題とは限らないということです。
雨が降る前の気圧低下や、雨が止んで気圧が戻るときなど、気圧が変化するタイミングで症状が出る方もいます。
② 高湿度で体温調節に負担がかかる
長雨では、気圧だけでなく湿度も重要です。
私たちの身体は、汗をかき、その汗が蒸発するときに熱を逃がすことで体温を調節しています。
ところが湿度が高い環境では、汗が蒸発しにくくなります。
すると身体に熱がこもりやすくなり、体温調節への負担が増えます。
9月は真夏ほど気温が高くない日でも、湿度が高いことがあります。
そのため、
「それほど暑くないのに体が重い」
「少し動いただけで疲れる」
「なんとなく一日中だるい」
という症状につながることがあります。
③ 日照不足で睡眠・覚醒リズムが乱れる
長雨が続くと、太陽の光を浴びる時間も少なくなります。
朝の光は、私たちの体内時計を調整する大切な刺激です。
朝に光を浴びることで身体は「朝になった」と認識し、睡眠と覚醒のリズムを整えていきます。
しかし、雨や曇りの日が続き、さらに外出する機会も減ると、朝の光を十分に浴びにくくなります。
その結果、
「朝起きられない」
「昼間なのに眠い」
「夕方から元気になる」
「夜になってもなかなか眠れない」
といった生活リズムの乱れにつながることがあります。
特に、雨の日に起床時間が遅くなってしまう方は注意が必要です。
④ 雨で活動量が減ってしまう
雨の日には外出する機会が減ります。
買い物をやめる、散歩をしない、家で一日過ごす――。
こうした日が何日も続けば、自然と歩数や運動量が低下します。
身体活動が少なくなると、睡眠の質や血流などにも影響し、疲労感がさらに抜けにくくなることがあります。
「疲れているから動かない → 夜よく眠れない → 翌日さらに疲れる」
という悪循環にならないよう注意しましょう。
「気象病」「多雨疲労」は何が違う?
「雨で体調が悪くなる」と聞くと、気象病という言葉を思い浮かべる方も多いでしょう。
気象病は、気圧や気温、湿度などの気象変化に伴って体調が悪化する状態を広く表現するときに使われています。
一方、本記事でいう「多雨疲労」は、
長雨が続く
↓
気圧・湿度・日照・気温などが変化する
↓
自律神経、睡眠、体温調節などへの負担が重なる
↓
疲労、眠気、頭痛、めまいなどが続く
という、長雨による全身的な不調をイメージしています。
ポイントは、「一日の雨」ではなく「雨が何日も続くこと」です。
小さな負担が重なることで、徐々に疲れが抜けにくくなることがあります。当院では、
今日からできる「多雨疲労」対策5つ
1.雨の日でも朝の光を浴びる
起きたらまずカーテンを開けましょう。
曇りや雨の日でも、屋外の光は室内照明より明るいことが多く、体内時計を整える刺激になります。
可能であれば、窓際で朝食を食べたり、短時間でも外へ出たりするのもよいでしょう。
2.休日でも起床時間を大きく変えない
「雨だから今日は昼まで寝よう」
これを繰り返すと、睡眠リズムがさらに乱れてしまうことがあります。
疲れているときこそ睡眠時間を確保することは大切ですが、起床時間を大幅に遅らせないことも意識しましょう。
3.室内でも軽く体を動かす
外出できない日は、ストレッチや軽い筋力トレーニングなどでも構いません。
長時間座り続けず、1時間に一度は立ち上がるなど、こまめに身体を動かしましょう。
4.エアコンや除湿器を上手に使う
9月だからといって、エアコンを我慢する必要はありません。
気温だけではなく湿度にも注意して、除湿機能などを上手に利用しましょう。
5.天気と自分の症状を記録する
気象病では、自分がどの気象変化に弱いのかを知ることも大切です。
例えば、
「雨が降る前日に頭痛がする」
「台風が近づくとめまいがする」
「雨が3日以上続くと朝起きられなくなる」
など、人によってパターンは異なります。
天気と体調を簡単に記録しておくと、自分自身の傾向を把握し、早めに対策を取れるようになります。
「雨のせい」と決めつけないことも大切
一方で、注意していただきたいことがあります。
疲労感、頭痛、めまい、動悸、強い眠気などは、気象変化以外のさまざまな病気でも起こります。
「雨の日だから仕方がない」
「自律神経が乱れているだけだろう」
と自己判断してしまうと、別の病気を見逃してしまう可能性があります。
特に、
症状が長期間続いている
日常生活や仕事・学校に支障が出ている
頭痛やめまいが以前より強くなっている
動悸や息苦しさを繰り返す
これまで経験したことのない強い症状がある
といった場合には、一度医療機関へ相談することをおすすめします。
9月の疲れは「休むだけ」では改善しないこともあります
疲れていると、「とにかく長く寝れば治る」と考えがちです。
もちろん、十分な休息と睡眠は大切です。
しかし、長雨に伴う体調不良では、長時間寝ているだけでは生活リズムが乱れ、かえって疲労感が抜けにくくなることもあります。
大切なのは、
朝は決まった時間に起きる
↓
朝の光を浴びる
↓
日中は適度に身体を動かす
↓
夜に自然と眠くなる
というリズムを維持することです。
9月は、夏の暑さを乗り切った身体に、秋雨や台風、気圧変化、寒暖差などが次々と加わる季節です。
「夏が終わったのに、なぜか疲れが抜けない」
そんなときは、単なる夏バテだけではなく、長雨による気象変化への対応で身体が疲れている可能性も考えてみてください。
雨の日が続く季節だからこそ、朝の光、睡眠、適度な運動、湿度管理など、毎日の生活リズムを意識することが大切です。
そして、頭痛やめまい、強い倦怠感などが続く場合には、我慢せず医療機関へ相談してください。
当院では、頭痛、めまい、倦怠感、自律神経の不調など、気象変化に伴って悪化するさまざまな症状について診療しています。
「雨が降るといつも体調が悪くなる」
「台風が近づくと頭痛やめまいが出る」
「検査では異常がないと言われたけれど、体調不良が続いている」
といった症状でお困りの方は、ご相談ください。
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