寒暖差疲労外来


寒暖差疲労外来を新たに設置することになりました。

(以前は、冷房病・クーラー病外来としていましたが、より正確に理解して頂くためには、寒暖差疲労という名称が適していると判断しています)

寒暖差とは、気温の差です。

人間が生きていくためには、体内を外の環境から、一定に保とうとする恒常性という機能があります。恒常性は自律神経によって維持されております。

  1. 外気温が高いとき:
    体内から熱を逃がすために、皮膚血流を増加して熱放散を促進したり、発汗を行い、体温を下げます。
  2. 外気温が低いとき:
    体内の熱を外に逃がさないために、皮膚血流を減少して熱放散を抑制したり、褐色脂肪組織や骨格筋での熱産生を行います。

寒暖差疲労とは

寒暖差の大きい環境(前日比、日内変動、室内外などの気温差が7℃以上の変化 ※5℃以上としていましたが、寒暖差疲労の患者さんの数が増えていくと、実際には7℃程度とするのが適切と判断して変更しています。にいると、自律神経の働きにより、体内を一定の状況にしようとエネルギーを消費することになります。このエネルギー消費が大きくて、疲労が蓄積した状態を寒暖差疲労といいます。

寒暖差には、気温が低くなって出る場合と、気温が高くなって出る場合の2つがあります。下り坂の寒暖差と上り坂の寒暖差があると思って下さい。さらに、室内外(エアコンを使用している状態と外気の暑い状態の差が大きい場合)の寒暖差でも起きます。

このように、春の暖かくなっていくときの寒暖差、夏の暑い時期の寒暖差(冷房による冷え)、秋の寒くなっていくときの寒暖差があります。

温度差は、体にとってはストレスですが、それが適切に対応出来ているときは、問題はあまり起きません。
それが対応出来ない、寒暖差疲労の状態になると、
冷え症、首こり・肩こり、頭痛、めまい、全身倦怠感、胃腸障害、イライラ、不安、風邪、アレルギーなどの様々な症状 が出現してしまいます。

体内のエネルギー消費が必要以上に進むことによる寒暖差疲労の中でも、特に冷え症になってしまうことが問題となります。

冷え症は、四肢→腹部→体全体と3段階に分かれています。

  1. 手足の冷え(末梢血管が収縮して冷えを感じます)
    症状としては手足の冷えが多くなっています。
  2. 内臓の冷え
    下半身の冷えが、骨盤からまできます。症状としては、胃腸系、泌尿器系、婦人科系などの症状がでてきます。
  3. 体全体の冷え
    ここまで来ると、全身倦怠感、めまい、ふらつき、頭痛、不眠、イライラ、不安などより様々な症状がでてきます。

寒暖差チェックシート

  • 暑さ、寒さが苦手
  • エアコン(冷房、暖房)が苦手
  • 周りの人が暑いのに、自分だけ寒い。長袖が常に手放せない。
  • 顔がほてりやすい、全身がほてりやすい
  • 温度差が強いと、頭痛や肩こり、めまい、だるさ、関節痛、喘息、下痢などの様々な症状がでる。
  • 熱中症になったことがある、近い状態になったことがある
  • 季節の変わり目に、体調不良になる
  • 冷え症がある
  • 温度が一定の環境にいる時間が長い(オフィス、自宅でも一日中エアコンをつけている)
  • 代謝が悪い、体がむくみやすい。



チェック 1~3個 → 軽症
チェック 4~6個 → 中症
チェック 7以上 → 重症

当てはまる方は体調管理に注意されて下さい。
チェックシートは目安ですので、『当てはまる=即治療が必要』というわけではありません。


夏のエアコンに関して(寒暖差疲労を人工的に作り出している状態)

現在は年間を通してエアコンを使用していることが多くなっています。
特に温暖化の影響もあり、冷房をつけている時間が長く、一日中冷房の中にいることも多くなっています。

通常は、暑い時には、皮下の血管を拡張して、熱を逃しています。(夏の体内環境)
寒い時には、皮下の血管を収縮して、熱を逃さないようにしています。(冬の体内環境)
これらの判断は、自律神経が調整を行っています。

冷房の中に長時間いることで、夏なのに体の中は冬の環境になっています。
→外の暑い環境に出ると、冬から突然夏に切り替わりますので、自律神経は夏に対応しようとします。ジェットコースターに乗ったようにアップダウンしていまいます。

これは、冬に室内の暖房から外の寒い環境から外に出た場合にも、起きてしまいます。

寒暖差疲労の症状でお困りの方は、一度当院にご相談ください。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加