低血圧について掲載されました。AERA 2019年12月23日号
2019年12月26日 19:53更新
メディア掲載情報
低血圧で悩んでいる方が当院には、多く受診されています。
めまい、たちくらみ、動悸、息切れ、倦怠感など様々な症状が出ることがあります。
高血圧に比べて、あまり注目されていません。貧血と間違われやすく、女性に多いのが特徴です。
17Pに掲載されています。

低血圧の治療と対処法について。
2018年5月5日 16:50更新
専門外来コラム
低血圧の治療と対処法について。
まずは、低血圧であるという認識を持つこと。
次に、生活スタイルなどを見直すこと。
そして、薬物治療。
生活について
①立ち上がりに注意:急に立ち上がるとめまいを引き起こしやすいためです。2段階で立ち上がる、物につかまってゆっくり起きるをすすめています。
②睡眠をしっかりと:6時間くらいは睡眠を取るようにすすめています。
③適度な運動やストレッチ:ウォーキングやジョギング、ストレッチ、ラジオ体操など、簡単に行えること+継続できることが重要です。
④日光を15分/日程度あびる:これは、生体内のリズムを整えるためには大事なことです。
⑤体を冷やさない:特に女性は冷え性の方が多いので、暑い時でもカーディガンなどの羽織れるものを持ち歩くことが大事です。
⑥冷たい食べ物は少なめに:体内から冷やしてしまうことは、冷え性をさらに強めてしまいます。厳格に制限するというよりは気をつけるようにして下さい。低血圧のある方には要注意です。
⑦塩分を多めに取る:高血圧のある方には禁忌です。塩分を多めに取ることで、血圧は上がりやすいです。健康のためには、塩分は低めが基本とされていますが、低血圧の方が健康を維持するためには、血圧を上げることが重要なのです。20~30g/日が目安です。漬物や汁物を取ることが簡単な方法です。
⑧入浴する:40℃前後のお湯に首までしっかりと10分程度つかることをおすすめしています。しかし、低血圧の方は入浴で血圧が下がりやすいのでご注意を。
⑨深呼吸する:3秒吸って→3秒止める→6秒吐く→3秒止めるという方法をすすめています。リラックスできると感じた方はたまに行うようにして下さい。苦しい、ストレスに感じる方は行わないでください。
⑩ストレスを溜めない:現代社会ではこれが一番難しいのではないでしょうか。嫌なことを避けるよりは、楽しいことをする時間を増やすことが良いです。笑っている時間が多くなると理想的です。
楽しいことでも、パソコンやスマホの使用時間が長くなることはおすすめしません、その理由は、首肩のこりから、最終的に自律神経を乱してしまいます。結局は低血圧の方は、それがより強く出ることになってしまうからです。
⑪好きな音楽を聴く、歌う:好きなジャンルで構わないです。クラシック、ジャズ、邦楽、洋楽何でも良いでしょう。
次に、薬剤での治療についてです。
血圧を上げる薬。これは交感神経に作用します。
①メトリジン(商品名):一般名 ミドドリン
交感神経α受容体を刺激する薬で、主に末梢の静脈を収縮させる事で血圧を上げることになります。
当院で第一選択として使用している理由として、口腔内崩壊錠があるからです。起床時に、水なしで使用することが出来るのが利点です。
当院を受診される方は起き上がるのが困難なほど症状が強い方が多いため、水分なしで使用できる方が良いと判断しています。
②リズミック(商品名):一般名 アメジニウム
ノルアドレナリンが不活性化することを防止して、交感神経を刺激して、静脈の鬱血を改善する作用と心臓からの血液拍出量を増やす作用があります。
メトリジンと比較するとこちらの方が効果は強いです。
西洋薬でも他にも選択肢はありますが、この2つをメインで使用しています。
漢方薬:低血圧に使用するのではなく、随伴症状に使用しています。
③五零散: むくみ、めまい、頭痛、二日酔、下痢、悪心、嘔吐、の治療に使用されます。
④当帰芍薬散:冷え性、貧血、倦怠感、更年期障害、月経不順、頭痛などの治療に使用されます。冷え性+生理周期での頭痛がある方には、選択することが多い薬です。
⑤桂枝茯苓丸:月経不順、月経痛、更年期障害、冷え症、頭痛のある方に選択することが多い薬です。
⑥半夏白朮天麻湯:めまい、頭痛、肩こりがある方には、選択することが多い薬です。
⑦葛根湯:かぜ薬のイメージが強いと思いますが、肩こり、頭痛、血行の悪い方に効果が出やすいです。
などです。他にもたくさんありますが、当院で使用している主な漢方を載せています。ちなみに、保険適応内で症状が当てはまる場合に使用しています。
私の考え方としては、以下の2パターンで考えています。
五零散と半夏白朮天麻湯は、むくみに効果が出やすいです。
当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、葛根湯は血流の停滞(肩こりや冷え性)などに効果が出やすいです。
ビタミン
⑧ビタミンB群:TCAサイクルという体内でエネルギー産生する過程でビタミンB群が必要となってきます。ビタミンBには様々な種類がありますが、その説明は今回は割愛させて頂きます。低血圧の方は、エネルギー産生が少ない方が多いので、ビタミンB群を取ることをすすめています。食事でも、サプリメントを使用するのも良いでしょう。低血圧では保険適応にはなりません。
⑨ビタミンE:ビタミンEが足りなくなると、血行が悪くなります。そのため、冷え性や肩こり、頭痛の原因となります。これらの症状を低血圧の方は併存している方が多いため、使用することで症状の改善が期待できます。直接血圧を上げるわけではないです。こちらも低血圧では保険適応にはなりません。
サプリメント
⑩コエンザイムQ10(出来れば還元型:体内への吸収が良いので)
コエンザイムQ10は、脂肪や糖からエネルギーを産生するときに働きます。細胞内にあるミトコンドリアがエネルギーを作るのですが、コエンザイムQ10が補酵素として働きます。
そのため、コエンザイムQ10が多いと効率よくエネルギーを産生できます。全身のエネルギー産生への効果を期待できますが、特に心筋での効果は高いと言われています。
低血圧の患者さんに使用すると、心拍出量が増加します。
保険適応でないため、市販のコエンザイムQ10をすすめています。ドラッグストアのサプリメントのコーナーに大体数種類は置いています。
⑪抗不安薬、抗うつ薬
効果はあるのですが、副作用として、血圧低下や倦怠感などがあります。長期間の使用で依存も出やすい事が難点です。
当院では、必要に応じて、少量から使用しています。
薬剤の細かい説明はあえてしません。何故かというと、当院を受診される方は、いくつかの抗不安薬や抗うつ薬を使用されている場合が多いためです。低血圧が原因の場合に、先に選択すべき薬ではありません。
低血圧について
2018年4月10日 23:46更新
専門外来コラム
低血圧についてです。
低血圧とは、収縮期血圧(最大血圧)100(mmHg)以下、拡張期血圧(最低血圧)60(mmHg)以下の事をいいます。
高血圧と違い、症状がなければ治療をしなくても良いというのが一般的な考えです。そのため低血圧はあまり臨床的には注目はされていません。当院の専門外来を受診される方には、坐位や立位の血圧測定にて、低血圧を認めることが多くみられます。
低血圧に伴う症状には、以下のものがあります。
① 立ちくらみ、めまい。ひどくなると失神する。
② 立っていると気持ちが悪くなる。動悸や息切れが起こる。
③ 入浴後に体調不良になりやすい。
④ 朝起きるのが苦手である。
⑤ 全身倦怠感がある。
⑥ 顔色が悪い、青白い。貧血がある。
⑦ 食欲不振や胃もたれ、腹痛が起こりやすい。食後に体調が悪くなりやすい。
⑧ 頭痛、首こり、肩こりがある。臥位の場合は出にくい。
⑨ 精神的ストレスで体調不良になりやすい。
⑩ 気象変化に弱い。乗り物酔いをしやすい。
他にもありますが、分かりやすく10項目にしています。
当院で行なっている専門外来での症状に一致することが多いです。首肩こり、貧血、自律神経失調症などと相互に関係していると考えています。そのため、当院では低血圧を疑う方には自宅での血圧測定をおすすめしています。特に起床時の血圧が重要です。
緊張しやすい方は、診察室では緊張して血圧も上がってしまうので、低血圧は隠れやすくなってしまいます。
低血圧には、急性低血圧と慢性低血圧があります。
急性低血圧には、アレルギー(アナフィラキシーショックなどで急激に血圧が低下します)、ショック症候群(外傷による血管外への出血、心筋梗塞などの心機能低下など)、アルコール(空腹でアルコールを飲んで急速に吸収されて血管拡張による血圧低下)によるものなどがあります。
急性低血圧の方は、それぞれの原因に対しての適切な治療が必要となります。
慢性低血圧には、体質性低血圧と症状を伴う、起立性低血圧、本態性低気圧、症候性低気圧などがあります。
起立性調節障害は厳密には起立性低血圧とは違いますが、よく似ています。当院の患者さんでは、起立性調節障害と診断され治療されている方は、比較的が多いです。以前書いた起立性調節障害のブログを参照されてください。
体質性低血圧:常に低血圧ですが、症状が全くないため問題ありません。
本態性低血圧:明らかな原因がなく慢性的に低血圧な場合です。症状がない場合は、体質性低血圧となっていると考えて良いでしょう。
血圧が低いのを自覚していたり、指摘されるため、当院に来る際にはすでに診断されている方が多いです。
症候性低血圧:貧血、糖尿病や悪性腫瘍、甲状腺機能低下症、パーキンソン病などの神経難病、その他様々な疾患が原因となっています。
起立性低血圧:臥位では収縮期血圧が100mmHg以上あるが、立位になると80mmHg以下にも下降する状態です。
収縮期血圧が21mmHg以上下がる場合となります。
起立性低血圧が起る理由には、自律神経が関係しています。
自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれています。交感神経は血圧を上昇させ、副交感神経は血圧を低下させます。起立直後に下がる直後型、時間が経って起きる遅延型の2つがあります。
起立性低血圧が起るメカニズムについて説明をします。血圧維持に関しては以下のシステムとなっています。
① 立ち上がると頭部への血流が減る。頭部へ行く血管は総頚動脈と椎骨動脈があります。特に総頚動脈の血流が多いです。
② 血流を減ったことを、頚動脈洞で感知します。
③ その信号が、自律神経を通じて、脳幹にある血圧中枢に伝わります。
④ 交感神経が優位になることで、心拍数の増加と末梢の血管を収縮させて、脳への血流を保持します。
この一連の流れがスムーズに行けば、起立性低血圧は起きません。
起立性低血圧は、寝ていてから起きるとき、特に早朝時に起きやすいです。これは、寝ているときは副交感神経が優位なためです。起き始めには、まだ活動モードの交感神経にうまくスイッチが入っていないと考えるとわかりやすいでしょう。
高齢の方では、動脈硬化が強い事が原因となりやすく、直後型の低血圧となることが多いです。
思春期や成長期の方では、成長発達段階(自律神経もまだ発達途中)のため起きやすくなります。起き上がることができない場合と遅延型が起きることが多いです。
思春期や成長期では、起立性調節障害と診断されることが多く、治療としては同じような薬を使用します。
骨格が急速に大きく来ることに、自律神経系が対応出来なくなっている場合や姿勢のゆがみ、首肩こりなどの自律神経の乱れやすい状態で起きやすくなります。朝気圧が下がっていると、低血圧のため、体が動かないという症状を持っている方は当院では多いです。
朝礼中に気持ち悪くなったり、めまいがしたりなどの体調不良、酷くなると意識をうしなったりする場合があります。立ち仕事を長時間されていて出る方もいます。
遅延型では、自律神経が乱れている方が起きやすいです。自律神経が乱れやすい骨格の状態の方が起きやすいと臨床では感じています。
貧血と間違われることもありますし、合併していることもあります。
様々な要因が低血圧と関係しますので、総合的な判断が必要となります。
治療や対処法に関しては、次回に書いていこうと思っています。
ビタミンD欠乏について
2026年2月15日 15:56更新
専門外来コラム
最近こんな症状はありませんか?
・なんとなくずっとだるい、倦怠感が続く
・やる気が出ない
・気分が落ち込みやすい
・頭が重い、頭痛が増えた
・立ちくらみがある
・朝なかなか起きられない
・筋肉が重い感じがする
・風邪をひきやすい
「疲れているだけなのかな」
「気のせいかも」
「メンタルが弱っているのかな」
でも、その不調の背景に
ビタミンDは単なる「骨のビタミン」ではありません。
主な働きは、
・カルシウム吸収を助け、骨を強くする
・免疫を整える
・筋肉の働きを支える
・神経の炎症やホルモン調整に関与する
・自律神経や血圧調整にも関わる
特に重要なのが、
日光(紫外線)を浴びることで体内で作られるという点です。
つまり、日照時間が短い冬や、外出が少ない生活では不足しやすいのです。
冬に増える理由:
寒冷地や冬場では、
・日照時間が短い
・外に出ない
・厚着で肌が露出しない
・在宅時間が増える
これらが重なり、ビタミンDが十分に作られません。
① 倦怠感・だるさ(気象病・天気病外来、寒暖差疲労外来、自律神経失調症外来でも、1か2番目に多い症状です)
最も多いのが「なんとなく続くだるさ」です。風邪ではないのに、数週間続く疲労感。
階段がつらい、体が重い。でも熱はない。
これらが特徴です。
② 気分低下・やる気の低下
ビタミンDはセロトニン調整に関与します。
不足すると
・気分が沈みやすい
・やる気が出ない
・ぼーっとする
といった状態になりやすいのです。
冬季うつ(冬季気分障害)との関連も指摘されています。
③ 頭痛
意外に知られていませんが、ビタミンD不足と頭痛の関連も報告されています。
・慢性的な鈍い頭痛
・締め付けられる感じ
・片頭痛の頻度増加
ビタミンDは神経炎症や血管反応の調整にも関わっているため、不足すると頭痛が起こりやすくなると考えられています。月に5回以上頭痛がある場合は、「もしかしたらビタミンDが足りてない」?と思ってみても良いでしょう。
④ 低血圧・立ちくらみ
あまり注目されませんが、ビタミンDは血管や自律神経の調整にも関与しています。
不足すると
・朝起きられない
・立ちくらみがする
・ふらっとする
・脈が弱く感じる
・血圧がいつもより低い
といった症状が出ることがあります。(自律神経失調症との鑑別が難しい、もしくは自律神経失調症の場合に低血圧があることも多い。)
特に若い女性はもともと低血圧傾向の方が多いです。(低血圧でも無症状なら、特に問題はないです。)
冬場にさらに悪化して
「やる気が出ない」
「動き出せない」
しかしそれは怠けではなく、
体の循環が落ちているサインかもしれません。
⑤ 筋肉・骨の違和感
・太ももやふくらはぎの重さ
・背中や腰の鈍痛
・押すと痛い部位がある
重度になると骨軟化症へ進行することもあります。
⑥ 免疫低下
・風邪をひきやすい
・治りが遅い
免疫細胞にもビタミンD受容体が存在するため、
不足は感染リスク上昇と関連します。
⸻
「怠け」ではない
重要なのはここです。
ビタミンD不足や低血圧による不調は、
気合いではどうにもなりません。
「甘えている」
「根性が足りない」
ではなく、
生理的に起きている変化なのです。
どう判断するのか?
血液検査で「25(OH)ビタミンD3濃度」を測定します。
30ng/mL以上:理想値は40~80ng/mL
20〜30:不足傾向
20未満:欠乏
また、血圧も参考になります。
・収縮期血圧が90㎜Hg前後
・立ち上がるとふらつく
こういった場合は、循環状態も合わせて確認するとよいでしょう。
対策
・日光を10〜20分浴びる(顔と手)
・サプリメント(一般的に1000〜2000IU/日)
・サーモン、卵、干し椎茸などの摂取
・朝は急に立ち上がらず、ゆっくり体を起こす
・水分をしっかり摂る
※高用量摂取は医師の指示のもとで。
最後に
もしあなたや大切な家族が
・数週間続くだるさ
・頭痛
・気分の落ち込み
・立ちくらみや低血圧
・原因不明の不調
を感じているなら、ビタミンDという選択肢を思い出してください。
冬の不調は、心の弱さではありません。体からの静かなサインかもしれません。
2025・9 気象病が女性に多い理由は?―自律神経や女性ホルモンとの関係―
2025年9月3日 06:44更新
専門外来コラム
2025・9
気象病が女性に多い理由は?―自律神経や女性ホルモンとの関係―
9月になり、台風や秋雨前線の影響で再び気象病が気になる季節になりました。気象病とは、気象変化によってさまざまな体調不良が起こることを言います。気象病の症状を訴える人は女性が多いですが、当院を受診される患者さんの中では、女性は7~8割を占めています。気象病が女性に多いのは、女性ならではのさまざまな特徴が関係しています。たとえば、女性ホルモン、貧血、低血圧、筋肉量・骨格、冷え性・むくみなどです。また、特にホルモンや筋骨格の要素は自律神経の乱れにも大きく関わっており、自律神経が乱れていると気象病も起こりやすくなります。
- 気象病と自律神経の深い関係
気象病と自律神経は密接な関係にあります。気圧低下や寒暖差などの気象変化が起きると、それに体を適応させるために自律神経が反応して乱れるためです。たとえば、気圧が下がった時、内耳にあるセンサーが気圧の低下を感じ取り、その情報が自律神経の中枢に届きます。気圧低下という変化に対して微調整を行うために交感神経・副交感神経のバランスが乱れ、不調につながります。そのため、気象病の症状と自律神経の不調の症状は似通っているところがあります。そして、自律神経が乱れている人は気象病になりやすいです。
- なぜ気象病は女性に多いのか?
[女性ホルモンの影響]
女性には月経周期ごとにホルモンバランスの大きな変動があります。女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種があり、自律神経にも影響を及ぼします。特に排卵後から生理前はプロゲステロンが増えて、副交感神経が優位になりやすく、だるさや眠さなどが出やすくなります。一方で、ホルモン低下期には不安・イライラなどの心の不調が出やすくなります。このように、生理周期や更年期などでホルモンバランスが乱れると、自律神経も乱れやすくなります。自律神経は気象変化にも敏感であるため、自律神経が乱れていると、気象病の症状がより出やすくなります。
[筋肉量が少なく冷えやすい]
女性は筋肉量が少ないため、体の熱を産生する量が少ないです。そして血流が悪くなりやすいため女性は体が冷えやすく、自律神経の乱れを助長します。冷えると特に交感神経の緊張を招き、血行不良、頭痛、肩こり、不眠などの症状が出やすいです。また、寒暖差疲労になると、体が感じる大きな温度差に体温調整が追いつかず、冷えの症状が出る場合が多くあります。その影響で気温や湿度の変化で冷えが悪化し、不調の悪循環に陥りやすいです。
[片頭痛の有病率が高い]
片頭痛はもともと女性に多く、数でいうと男性の約3倍と言われています。片頭痛は気圧や天気の変化に影響を受けるため、天候が悪くなったり季節の変わり目になったりすると片頭痛が悪化しやすいです。気象病で最も訴えが多い症状が頭痛ですので、気圧の変化などで頭痛は起こりやすく、気象病に女性が多い一因ともなっています。
[ライフイベントによるストレスや変化が多い]
妊娠・出産、育児、更年期など、女性はライフイベントによって生活スタイルやホルモンの変化が大きいです。これに伴い、心身のバランスも崩れやすく、自律神経が安定しにくい傾向があります。自律神経が苦手としているのが「変化」です。そのため、様々な変化が重なると自律神経が乱れ、気象病が発症しやすい状況ができあがります。
- 女性特有の気象病症状
[月経痛・PMS(月経前症候群)・更年期症状の悪化]
女性ホルモンと自律神経には深い関係があるため、女性のホルモンバランスに大きな変化が訪れる月経前後や更年期に気象変化が重なると、症状が重くなることがあります。実際、PMSの症状を持つ女性の3人に1人が天候の変化で症状が酷くなると言われており、頭痛、倦怠感、腹痛・気分の落ち込み・イライラ・不眠などのPMS症状が天気の変化と連動して強くなることがあります。そして更年期の女性は、ホルモンの急激な変化で自律神経が乱れやすく、その状態で気象の影響を受けるとのぼせ・ほてり・めまい・倦怠感などが悪化しやいです。
[冷え性やむくみ]
女性は元々冷えやすい体質にありますが、低気圧が訪れると体に水分を溜めこみやすくなるため、血行が悪化し、冷えやすくなります。低気圧の状態は、飛行機に乗るのと似たような状況です。飛行機でポテトチップスの袋が膨らむ現象があるように、私たちの体も大気圧が変化することによって膨らみ、むくみとして現れます。
[メンタルの不調(気分の落ち込み、涙もろさなど)]
気象病による自律神経の乱れで、うつや不安感、情緒不安定などメンタル面での不調が起こることがあります。特に雨の日や曇天が続くと、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が減りやすいため、精神的に沈みやすい状況です。気圧が下がるのと同時に、不可抗力で気持ちの急降下が起こる人も少なくありません。「気圧のせい」だと自覚ができると少しは気持ちが楽になるでしょう。
- 女性の心と身体のバランスを整える運動
[ヨガ・ピラティス・背骨リセット]
背骨は自律神経の通り道であり、背骨を意識して動かすこの3つの運動は自律神経を整える効果があります。ゆっくりとした深い呼吸をすることで、ストレスを軽減したり、不安の解消、睡眠の質の向上などが期待できます。また、血流が良くなるため、PMSや月経痛の緩和にも役に立つでしょう。ピラティスや背骨リセットは体幹の筋力を強化する効果もあり、筋肉量が少なく冷えやすい女性の健康全般の健康面のサポートになります。
[ウォーキング(特に朝の散歩)]
ウォーキングは無理なく手軽に続けやすい運動の代表例です。外に出て太陽光を浴びるとセロトニンが分泌され、うつ傾向を予防し気分が向上します。有酸素運動は「心の鎮静剤」ともいわれており、メンタル面の底上げになるでしょう。
[ダンス・エクササイズ(ズンバ・バレエなど)]
音楽と一緒に体を動かすことで、ドーパミンやエンドルフィンといった快感系のホルモンが分泌されるため、気分転換・ストレス解消にぴったりの運動です。自分を表現することが自信や解放感にもつながります。
気象病②ー自律神経との関係ー
2022年9月18日 21:22更新
専門外来コラム
気象病②ー自律神経との関係ー
せたがや内科・神経内科クリニックの専門外来では、気象病外来の他に、自律神経失調症外来もあります。気象病は自律神経のはたらきと関係している点が多く、2つの専門外来を同時に受診される方も少なくありません。自律神経を整える生活の工夫をしていくと、気象病の予防や改善にもつながります。先日の「気象病①」の記事は気象病の導入でしたが、今回は気象病と自律神経の関係についてお話していきます。
ⅰ気象病のメカニズム
・気圧に反応するのは内耳
地球上には、大気圧というものがあります。大気圧というのは、地球を覆っている空気による圧力のことで、人間の体は常にこの圧力を受けて生活しています。数値で示すととても大きな圧力なのですが(10t/㎥)、私たち人間の体が潰れてしまうことはありません。なぜなら、大気圧に対して体内からも同じ分だけ押し返す力がはたらいており、私たちは体感としての影響を受けることがないからです。特に負担などを感じることはありません。
しかし体に負担を感じないのは、気圧がある程度一定である時の場合であり、「気圧変動」が起きたときは違います。たとえば、飛行機に乗った時にお菓子の袋がパンパンになると言われていたり、耳が詰まったような感覚になったりするかと思います。このように、気圧が大きく変化する(上がる・下がる)と、体にも変化が生じます。
気圧の変化を感じるセンサーとなるのは、「内耳」という部分です。耳の鼓膜の奥に位置しています。先ほどの例にもありましたが、飛行機やエレベーターなどで体にかかる圧が変動すると、耳が痛くなったり・こもったりすると思います。これは鼓膜の内側が膨らんでいることによって生じる症状です。内耳で気圧の低下を感じ取ると、それが脳に伝わり、自律神経にも影響が加わります。気象病でめまい(一般的には耳鼻科の症状です)が出るのは、平衡感覚を担っている内耳と関係しています。
・体温調整と関係している自律神経
気象病は、気圧の変化だけでなく、気温や湿度の変化によって不調が起こることもあります。私たちの体温は、発熱していない限りは36~37℃程度で常に一定ですよね。外の温度に限らず体温を一定に保つことができるのは、ホメオスタシス(恒常性)と言って、体の状態を一定の状態(体温・血圧・電解質など)に保つことのできる人間の特性です(参照:コラム/自律神経とホメオスタシス)。
ホメオスタシスを維持するために重要な役割を果たしているのが、自律神経です。自律神経が体のあらゆる条件を微調整していることによって、ホメオスタシスが維持できます。体温で言うと、暑いと汗をかき、寒いと縮こまりますよね。暑さに関しては、末梢血管を拡張したり、汗をかいて体温が下がるようにし、寒さに関しては熱が奪われ過ぎないように末梢血管や筋肉を収縮して熱を産生します。これらの過程には常に自律神経のはたらきが関わっており、寒暖差が大きいと自律神経に負担がかかることになります。
・寒暖差疲労と寒暖差アレルギー
寒暖差によって起こる不調は疲労感とアレルギー様症状です。一般的には、7℃以上の寒暖差があると不調が出やすくなります。寒暖差に合わせて体温調整をするのに、自律神経が酷使されるためです。寒暖差による不調に注意したいのが冬から春にかけて暖かくなる3~4月、秋から冬にかけて寒くなる9月~12月あたりです。衣服による体温調整や冷え・のぼせ対策や環境調整をすることで症状を緩和することができます。
ⅱ気象病と自律神経失調症の違いは?
- 気象病
:気圧や気温の変化(寒暖差)、湿度などの気象条件が変化することによって、心身ともにさまざまな不調が出ることを言います。
- 自律神経失調症
:心身の調子を整えている自律神経のはたらきがうまくいかず、交感神経と副交感神経のスイッチングが適切にできなくなります。それによって出るさまざまな不調(倦怠感、首肩こり、頭痛、めまい、動悸、息切れ、低血圧、胃腸障害、不眠、抑うつなど、自律神経症状と言われているもの)が起こることを言います。
これらの不調に関して、必要な検査を行ない原因が特定されない場合に、自律神経失調症の可能性が高くなります。
気象病と自律神経失調症は似ている部分も多く、関係が深いです。気象病の症状は多岐にわたり、人それぞれ訴える症状が異なりますが、これは気象病が与える自律神経への影響が大きいためです。気象変化によって不調が起きると自律神経の乱れが起きていますし、逆に自律神経が乱れている方は、気象変化に弱く気象病を発症しやすいです。
ⅲ気象病の方は自律神経を整える工夫を
先ほど述べたように、気象病は自律神経との関係が深く、自律神経が乱れている方ほど気象病になりやすいと言えます。自律神経が整っている方は、日常にあるさまざまなストレス(身体・精神・環境など)に耐える受け皿が大きいです。そのため、気圧低下や寒暖差によるストレスが加わったとしても、不調になることなくストレスを乗り越えることができます。しかし自律神経が乱れている方は、はじめから心身ともにストレス耐性が弱くなっている状態です。気象変化に対応するだけのエネルギーが足りず、容量を超えた分だけ不調が出てしまいます。
自律神経は日常生活の工夫やセルフケアによって、整えることができるものです。特効薬のようなものはありませんが、自律神経失調症で不調が慢性化してしまった方でも、生活習慣を変えていくことで具合の悪さを少しでも和らげることが可能です。自律神経に関心を持ち、心と身体を大切にする習慣を作っていくことから始めると良いですね。不調は辛いですが、あまり神経質になり過ぎないことがポイントです。
気象病について-入門編-
2022年6月7日 22:27更新
専門外来コラム
気象病について-入門編-
今年は早い時期から気温が上下したり、気圧や湿度が変化したりと、自律神経に負担がかかる日々が続いていますね。私は5年以上前から気象病専門外来や自律神経失調症専門外来を開設していますが、最近ではやっと「気象病」や「自律神経」という言葉が世の中に普及してきたように思います。特に気象病に悩まされている方がとても多く、治療やセルフケアがより多くの患者さんに行き届いてほしいと願うばかりです。
梅雨の季節になってきたので、今回は気象病の導入について書いていきます。
・気象病とは?
▹気象の変化によって起こる不調
季節の変わり目や梅雨・台風の時期などに具合の悪くなる方はいませんか?
気象病とは、気圧や気温の変化(寒暖差)、湿度などの気象条件が変化することによって、心身ともにさまざまな不調が出ることを言います。
正式な病気として認定されている訳ではないですが、気象病は患者さんの生活に支障をきたしてしまう辛い不調です。重症度は「雨の降る前は何となく不調」という方から、「寝込んでしまって学校や仕事に行けない」という方までさまざまなケースがあります。
症状も非常に多岐にわたります。最も多いのは頭痛ですが、全身倦怠感やめまい、首肩こり、起床困難、低血圧、抑うつなど、心身、そして全身にさまざまな不調が出やすいです。
▹気象病は自律神経とセットで考える
気象病と深く関係しているのは自律神経です。
気圧の変化や寒暖差、湿度の変化などが起こると、自律神経がその変化に合わせて体温調整や身体のコンディションの調節がなされます。そのため、気象変化が激しい時ほど自律神経は酷使されていることになります。
何らかの要因で元々自律神経が乱れている方やストレスの多い方などは、気象病にもなりやすいです。逆に、気象病の治療や対策に加えて、自律神経を整えるためのメンテナンスをすると、気象変化に強い体づくりにつながります。
・気象病の方は増えています
最近では、「自分は気象病なのでは…?」と思われている方が多いです。まずはチェックをしてみましょう。
▹チェックリスト
1 天候が変わるときに体調が悪い
2 雨が降る前や天候が変わる前になんとなく予測ができる
3 頭痛もちである
4 耳鳴りやめまいが起きやすい
5 肩こり・首こりもち
6 姿勢が悪い。猫背・反り腰などがある
7 乗り物酔いをしやすい
8 スマホやパソコンを使用する時間が長い(1日4時間以上)
9 ストレッチや柔軟をすることが少ない
10 歯の食いしばり、歯ぎしり、歯の治療が多い。顎関節症がある。
11 年中エアコンが効いた環境にいることが多い
12 日常的にストレスの多い生活をしている
13 更年期障害ではないか?と感じることがある(男女ともに)
※1・2にチェックがつけばほぼ気象病と言って良いでしょう。3~13に3つ以上チェックがついた方は、予備軍と考えて良いです。
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▹なぜ気象病が増えているのか?
実際に私の気象病専門外来でも、患者さんが増加しています。
気象病の方が増えている要因はいくつも考えられますが、ここでは2つ挙げていきます。
1つは、世の中に「気象病」というという言葉や薬などが普及してきたことにあります。気象変化でなんとなく不調を感じていた方が、テレビや雑誌などをきっかけに、ご自身が気象病であることに気づいたケースですね。患者さんとお話していると、「やっとわかってもらえる病院を見つけた」「今までは気のせいと言われて辛かった」などの言葉を聴くことが多いです。隠れている気象病の方はまだまだ多くいらっしゃると感じています。
もう1つは、世の中が自律神経の乱れやすい環境になっており、単純に気象変化による自律神経系の不調を訴える方が増えていることにあります。最近ではスマホやパソコンを使用するのは当たり前、情報過多、異常気象などストレスフルな社会となっているように感じます。コロナ禍になって尚、ストレスが増えた方は多いでしょう。
スマホなどの長時間の使用は骨格のゆがみを招き、自律神経が乱れやすい体になります。また、脳に負担のかかる生活やストレスの多い日常は、自律神経を弱くしてしまう原因になります。自律神経が乱れていると、気象変化のストレスにも耐えきれずに気象病につながることが多いです。
・気象病の症状
気象病の症状は、本当にさまざまです。頭痛を訴える方が多いですが、他にも症状がたくさんあります。
・頭痛(もともと緊張型頭痛、片頭痛を持っている方は、ともに悪化しやすいです。)
・全身倦怠感
・首こり、肩こり
・めまい
・耳鳴り・耳がこもった感じ
・消化器症状(吐き気・胃痛・下痢・便秘など)
・動悸
・低血圧・血圧の変動
・朝起きられない
・メンタルの不調
・古傷の痛み、関節痛
・神経痛
・咳が出やすい・止まらなくなる(喘息のような症状)
・鼻炎
・冷え性(手足、体幹、体全体)
・手足のしびれ
先ほども書きましたが、最も出やすいのは頭痛です。気象病の方の80%以上の方に出ています。次に多いのは、全身倦怠感・だるさ。次に、首肩こり(これは気象に関わらず慢性的に持っている方が多いです)、めまい、朝起きられない、低血圧などです。
・気温や湿度も意外と大切
気象病専門外来にいらっしゃる患者さんの不調要因は、以下の割合です。
気圧:8~9割
気温:1~2割
湿度:湿度のみでの来院はほとんどなし
気象病は、気圧の変化による不調を訴える方が多いですが、気象条件は他にもあります。気象病の方は「気圧・気温・湿度」の3つをポイントにして生活していくと良いでしょう。
気温の変化(寒暖差)は疲労感や頭痛、冷え・のぼせ(体温調節の不良)などを引き起こすことが多いです。また、「湿度が原因で不調が出ます」と言って来院する方は少ないですが、湿度が不調と関係しているのも間違いありません。
湿度を下げると、同じ気温でも体感温度が下がります。そのため、湿度の対策をするだけで身体の熱がこもりにくくなり、自律神経にかかる負担を減らすことができるのです。梅雨や夏場は、睡眠の質の改善に役立ちます。
自律神経のしくみ ⑤ 自律神経と骨格の話
2022年4月25日 23:38更新
専門外来コラム
自律神経と骨格の話
私が行う自律神経失調症外来・気象病外来の最大の特徴は「骨格のゆがみと自律神経」に着目した治療です。一見、「背骨のゆがみや姿勢の悪さがそこまで体調と関係あるの?」と思われるかもしれません。私もそう思っていた過去があるのでわかります。しかし、原因のわからない自律神経の不調に悩まれている方こそ、筋肉や骨格のアプローチに可能性があると思いますよ。
・自律神経が乱れている人は骨格が歪んでいる
私は自律神経失調症外来・気象病外来・頭痛外来などの専門外来を始めて約7年経ちますが、自律神経が乱れている患者さんのほとんどが、背骨の弯曲や歪みがあります。ストレートネックや左右の肩の高さの違い、軽い側弯症、反り腰や平背、骨盤の高さの左右差などがあります。
骨格が歪むと、私たちの体にとってさまざまな不都合が生じます。骨格が歪んで姿勢が悪くなっている分だけ別の場所に負荷がかかり、さまざまな場所の筋肉が凝ることになります。たとえばストレートネックは、首が前に出ている分だけ頭の重さが何倍も首にかかることになります。そもそも頭の重さは4~6kgあるため、その倍になるだけで大きな負担です。その影響で首こり・肩こりが進むと、頭痛などの不調が出ます。
骨格のゆがみがある方は、頭痛だけでなくめまい・倦怠感・動悸・息苦しさ・胃腸不良・耳鳴り・低血圧など、あらゆる不調を抱えている方が多いです。
・骨格や背骨に着目する理由
①自律神経には呼吸が大切
自律神経にとって最も重要といっても過言ではないのが「呼吸」です。呼吸は無意識にできている方の方が多いと思いますので、命に関わる程苦しくならない限りは、そこまで重要視できないかもしれません。しかし、自律神経の不調を抱えている方こそ呼吸が浅く、うまく酸素や栄養が全身に回っていない方ばかりなんです。
呼吸と言えば、肺や胸を想像しますよね。骨格が歪んでいると胸郭が硬くなり、呼吸がしにくく、浅くなります。首や腰が痛い方は、一見首や腰そのものに問題があるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、実は胸椎や胸郭の動きに問題がある方が多いです。
②脊椎と自律神経の関係
自律神経の通り道を知っていますか?
自律神経は、脳と脊髄から始まり、各臓器や器官に分布していく神経です。
交感神経系は胸・腰髄から出ますが、副交感神経のルートは脳幹および仙髄から出て、それぞれ各器官に指令がいきます。実は、脳幹から腰髄までのラインは、脊椎(頚椎・胸椎・腰椎・仙椎)のラインと同じです。首・背骨のことですね。
骨格が歪んでいると、自律神経の伝達ルートが妨げられてしまいます。まっすぐな道を進むのと、くねくね曲がったり、狭い道があったりすると通りづらいですよね。ちなみに背骨が歪んでいると、脳脊髄液の流れも悪くなってしまいます(自律神経と脳脊髄液も密接な関係があります)。どちらにせよ、自律神経のはたらきが悪くなる原因になってしまうのです。これも、私が骨格や首・背骨に注目している理由です。
③背骨の動きと自律神経
先ほども言いましたが、私が重要視しているのが胸椎です。首肩コリ、腰痛などがある方は、実は胸椎や胸郭が固くなって、ほとんど動いていないことが多いです。胸郭の動きを良くするためには、背骨全体の動きを良くすることも大切です。ストレッチやヨガ・ピラティスは背骨を意識できるよい運動だと思います。
背骨や胸郭の動きを良くすると、今まで動いていなかった部分のロックが解除されたようになり、血流が良くなったり体の動きが良くなったりします。すると、自律神経をつかさどっている視床下部(脳)に酸素や栄養がより行き渡るので、自律神経のはたらきが良くなります。体の動きが改善すると身体的なストレスが減ることになるので、自律神経の負担も軽減しますよね。
④良い姿勢が体にもたらす効果
アメリカのある研究によると、人は姿勢を良くすると、前かがみなどの悪い姿勢よりもストレス耐性が上がると言われています。姿勢をよくして、抗重力筋を刺激することで、脳内にたくさんのセロトニンが分泌され、ストレスを感じにくい状態を作ります。
・気象病との関係
気象病にも触れておこうと思います。自律神経と気象病はとても深い関係にあります。
最近、気象病の認知度が上がってきたこともあり、「気象病は内耳の部分が問題なのでは?」と言われることが多いです。確かに内耳は気象病のメカニズムで重要な要因ですが、内耳だけが悪いというわけではありません。
内耳は頭蓋骨の中にあり、頭蓋骨は頚椎とつながっております。頚椎は胸椎と、胸椎は腰椎と、腰椎は骨盤群と下肢と足底までつながっています。人間の体は、骨格で構成されているので、「内耳の場所が体の中心線からどの程度ずれているのか」ということが診断の目安になっています。
内耳が安定しておらず揺れやすい状態にあるということは、より内耳が不安定な状態になりやすいと考えてください。骨格は気象病の方にとっても大切ですね。
自律神経のしくみ①自律神経とは何者なのか?
2021年12月21日 18:05更新
専門外来コラム
自律神経のしくみ①自律神経とは何者なのか?
こんにちは。
専門外来コラムをリニューアル中です。なかなか更新ができていなかったのですが、自律神経の不調や気象病についてきちんとまとめていきたいので、もう一度。
以前のブログの内容と重なっている部分があるかと思いますが、新しい情報も入れていきますね。
今回は自律神経の正体について書いていきます。
「自律神経」「自律神経失調症」「不定愁訴」など、意味が曖昧だったり、症状が幅広かったりして難しいと思います。医学的なことは少し難しいですが、これから体調を整えるためにご参考になればと思います。
『現代人の9割が乱れている自律神経』
「自律神経の乱れ」や「自律神経の不調」という言葉をよく聞きますよね。自律神経失調症専門外来を始めて5年以上経ちますが、パソコンやスマホの普及、コロナ禍の自粛疲れやストレスなどにより、自律神経の乱れによる不調をきたす方がより目立つようになりました。
自律神経の不調の症状は多岐にわたります。
・頭痛
・首・肩こり
・めまい
・疲労感・だるさ
・不眠
・動悸・息苦しさ
・低血圧
・胃腸の不調
・不安感・抑うつ・・・
症状は人それぞれなのでこれ以外にもありますが、上記の症状が多いです。
自律神経は、「生命を維持するために24時間はたらいているシステム」。本来であれば、私たちの身体と心を健康な状態に保ってくれるためのものです。しかし、自律神経は繊細です。ストレスの影響を大きく受けてしまいます。
精神的なストレスをはじめ、残業や疲労などの身体的ストレス、気圧や気温の変動による環境的なストレスなどにより、現代人の生活環境は厳しいものになっています。そのため、自律神経が乱れている人がほとんどなのです。
そして、忘れてはいけないのが骨格のゆがみ。骨格のゆがみや姿勢の悪さも、自律神経を乱す立派なストレスになっています。後ほど触れていきます。
『自律神経とはそもそも何なのか?』
自律神経のはたらき
自律神経とは、名前の通り、全身に巡っている神経の1つです。
簡単にいうと、
「生命を維持するために24時間、全身をコントロールしているシステム」。
難しいのでもう一歩踏み込んでいうと、
「内臓や血管などのはたらきを自動的に調整してくれる神経」です。
たとえば、
・寝ている時でも呼吸ができるようにしたり、心臓の鼓動が動き続ける
・ご飯を食べると自動的に胃腸が動いて消化活動がはじまる
・暑くなれば発汗をして体温を下げて適温にする
などは、すべて自律神経のはたらきのおかげです。人間の体は、体内の環境を一定の範囲内に保つようにできています(これを恒常性といいます)。自律神経は、この恒常性を保つために24時間休むことなく体の状態を微調整しているのです。
全身を巡る神経のうちの1つ
人間の体には、脳や内臓・血管などのさまざまな器官がありますよね。それらを支配して、うまくはたらくようにコントロールしているのが神経です。情報伝達の役割があります。
神経は大きく分けて2種類、より細かく分けると4種類です。
①中枢神経
脳と脊髄で構成されており、体の中心です。人体の「司令塔」の役割をしています。脳のイメージが強いかもしれませんが、脊髄(首から背骨に沿ったラインです)も重要な神経です。中枢からの指令を末梢神経に伝えたり、末梢神経が持ってきた全身の情報を受け取ります。
②末梢神経
末梢神経は、体にあるそれぞれの器官と細かいやり取りを行っています。脳や脊髄から来た指令を全身に伝えたり、逆に各器官から来たメッセージを中枢に伝えたりします。網目のように全身に広がっています。末梢神経はさらに「体性神経」と「自律神経」にわかれます。
(1)体性神経
体性神経はさらに「感覚神経」と「運動神経」にわかれます。やっとイメージつきやすい名前が出てきましたね。人間が活動をするうえで不可欠な神経です。体性神経は自分の意思でコントロールできるのがポイントです。
・感覚神経:温かい、冷たい、痛い、やわらかいなどの感覚を感知して、脳に伝えています。
・運動神経:手や足、首や口などの体の部分を動かす役割があります。
(2)自律神経
ようやく登場です。中枢を構成している脊髄は、脳の視床下部から腰まで(首から背骨のライン)をケーブルのようにつなげる神経の束ですが、自律神経もこの束から全身に分布しています。私が「自律神経と背骨のゆがみ」に着目しているのは、この点が関係しています。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つにわかれています。
・交感神経:心身が活動的で興奮しているときに優位にはたらく
・副交感神経:心身がリラックスしているとき、食べ物を消化しているときに優位にはたらく
交感神経・副交感神経については他のコラムで詳しく書こうと思います。
自律神経失調症とは?ー心身症とのちがいー
自律神経失調症の症状
日常生活や社会生活に支障が出るくらいの身体的な症状があるのにもかかわらず、「検査で異常が出ない」場合、自律神経失調症の疑いがあります。またその場合、自律神経系だけではなく、ホルモンや免疫のバランスも同時に崩していることが多いです。
症状は冒頭にも少し書きましたが、以下の通りです。
《全身症状》
・だるい
・眠れない
・疲れがとれないなど
≪器官的症状≫
・頭痛
・首・肩こり
・動機や息苦しさ
・めまい
・立ちくらみ
・のぼせ・冷え
・胃痛・吐き気・食欲不振
・下痢や便秘など
≪精神的症状≫
・情緒不安定
・イライラや不安感
・うつなど
当院にいらっしゃる患者さんについて
ちなみに当院の自律神経失調症専門外来にいらっしゃる患者さんは、このような方が多いです。
・自律神経失調症と診断されたが、どこの病院に行っても改善しない
・今の自分の問題は、体調不良がメインなのに、精神的なもの?と言われる。とくにプレッシャーを感じていたりはしていないが、精神的なものなのか心配
・ネットなどを見て自律神経失調症と思ったから、受診した
いずれにしても「症状がつらいのに理解されない」「病院に行っても相手にされない」「心療内科に回されるけど、心当たりがない」というお話をよく聴きます。
心身症とのちがい
心身症という病気を知っていますか?何らかのストレスが身体の症状に出ると、「心身症なのではないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。心身症は「身体の病気の背景に、心理社会的な要因が関係している病態」です。自律神経失調症と似ているようで違います。
≪心身症≫
・特定の臓器や器官に症状が集中する
・明らかな身体疾患が生じる(胃かいよう)など
※胃かいようがすべて心身症というわけではありません
・体質や生活習慣によるものではなく、心理社会的な要因が症状に直結する
≪自律神経失調症≫
・多数の臓器や器官に症状が現れる
・明らかな身体疾患はない
・症状が不安定で、出たりで消えたりする
・心因のときもあるが、体質や生活習慣の乱れが影響する
心理的・精神的ストレスで自律神経失調症が悪化することもあるので、「自律神経失調症=精神的なものではない」と説明する時に伝わりづらいのが現状です。
見過ごされてきた「背骨・骨格・姿勢」と自律神経の関係
私は自律神経の不調を診るにあたって、「骨格の歪み」「背骨の状態」「姿勢」「筋肉の凝り」などに着目しています。なぜなら、骨格が歪んでいると、自律神経のはたらきが悪くなり、呼吸も浅くなって、自律神経失調症を引き起こしやすくなるからです。
長年の臨床経験からも、骨格の歪みにアプローチすることで元気になる患者さんを多く見ています。もちろん骨格だけではなく、食事や睡眠などの生活習慣や精神面も考慮することも必要ですので、患者さんを診察するときはトータルで判断するようにしています。
≪参考文献≫
・久手堅司著.最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方.クロスメディアパブリッシング.2018
・久手堅司監修.面白いほどわかる自律神経の新常識.宝島社.2021
・久保木富房監修.専門医が治す!自律神経失調症.高橋書店.2016
・鈴木郁子編著.やさしい自律神経生理学.中外医学者.2021
・厚生労働省/自律神経失調症
://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html
7/12月曜~7/18日曜の気象病(気圧+寒暖差疲労、湿度)の予想です。
2021年7月11日 22:39更新
気象病、寒暖差疲労の週間予想
7/12月曜~7/18日曜の気象病(気圧+寒暖差疲労、湿度)の予想です。
新型コロナウイルス感染症を疑う症状のある方は、受診前に電話連絡をお願いします。
2021/5/25に、宝島社から「面白いほどわかる自律神経の新常識」が発売されました。監修をさせて頂きました。80Pに分かりやすくまとまっています。
2018/12/14に、「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」
クロスメディアパブリッシングから出版されました。
自律神経が不調で悩んでいる方や、パフォーマンスが上がらない方など、様々な状態へ対応できるような内容となっております。
関東での予測になります。
気圧差で出やすい不調は、頭痛、首肩こり、めまい、全身倦怠感、布団から起き上がれない、低血圧、吐き気が多くみられます。その他にも、様々な症状が見られます。
今週は、7/10土曜、7/11日曜と同じように午後に雷雨になる日がありそうです。
そのため、気圧が急に下がる時がありそうなので注意です。
寒暖差は少なさそうです。
しかし、最高気温も30℃前後となります。
湿度は高く+温度も高い+マスク使用なので、熱中症には注意しましょう。
7/12月曜は、雨予想(降水確率50%)です。気圧は急に下がりそうです。
午後に雷雨になりそうです。
最低気温24℃、最高気温31℃。一日の寒暖差は7℃。
7/13火曜は、雨予想(降水確率50%)です。気圧は急に下がりそうです。
午後に雷雨になりそうです。
最低気温22℃、最高気温29℃。一日の寒暖差は7℃。
7/14水曜は、曇り予想(降水確率40%)です。気圧は低めです。
最低気温23℃、最高気温28℃。一日の寒暖差は5℃。
7/15木曜は、晴れ予想(降水確率20%)です。気圧は安定しています。
最低気温23℃、最高気温28℃。一日の寒暖差は5℃。
7/16金曜は、曇り予想(降水確率40%)です。気圧は低めです。
最低気温23℃、最高気温29℃。一日の寒暖差は6℃。
7/17土曜は、曇り予想(降水確率40%)です。気圧は低めです。
最低気温23℃、最高気温30℃。一日の寒暖差は7℃。
7/18日曜は、晴れ予想(降水確率20%)です。気圧は安定しています
最低気温24℃、最高気温31℃。一日の寒暖差は7℃。
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